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改めて自己紹介。

今週から子どもたちの学校も始まり、ようやく通常運転に戻った我が家。
久しぶりに騒がしい日々から開放された私は、子どもたちの送迎から帰宅した後、ソファーにダイブした。

仰向けに寝っ転がり、天井に手足をグーンと伸ばし、体中ストレッチをした。
さて、今日は何をしようか、そう考えていると、履いていたジーンズの裾から何か出ていることに気がついた。
布だろうか。
それを引っ張り出した瞬間、幸せな朝に霧がかかった。

あれは、数十年前のことだ。
「ビンテージジーンズは洗わない」そうどこかの芸能人が言ったのが私の運の尽きだった。
不潔だった私はその画期的な発想を誰よりも早く生活に取り入れた。ビンテージのジーンズなんか1枚も持っていないのに。

その日は同窓会だった。
土曜日なのに仕事だった私は、夕方シャワーを浴びて、部屋の隅に転がっていた悪臭漂う下半身の抜け殻をそのまま履いて同窓会へと出かけた。

会場は全国チェーンの居酒屋だった。
案内されたのは畳座敷の個室、到着すると総勢15名ほどの旧友達がすでに集まっていた。
楽しい時が流れ、お酒が進んだ。お酒が進めば、尿意をもよおす。
トイレに向かい、無事放尿。
スッキリした下半身を撫でながら、自分の席に戻り座ると、足首付近に違和感を感じた。
触ってみると、なぜだかジーンズがごわついている。何か入っているようだ。
足首の裾から手を突っ込み対象物に触れた。ハンカチだろうか。指先でつまんだそれを引っ張り出し、目の前で広げた。

黄色い汚パンツだった。

旧友あゆみちゃんが吹き出した。
「ちょっと、まっ子、それ。」

「なぜ、汚パンツがジーンズの裾から出てきたのか」
私は回想を始めた。
昨日ジーンズと一緒にパンティも脱ぎ捨て、そのまま床に放置したんだ。そしてパンティをジーンズの内側に入れたまま履いてしまったのだ。
トイレでジーンスを脱いだ時、太ももあたりにあったであろうパンティが裾まで落ちてきたんだろう。

よくあることだな。

聞かれてもいないのに、回想した内容を旧友全員に説明した。
全員にあるあるじゃないし汚いと罵られた。

ヤケを起こした私は可哀想に、隣に座っていた高木くんにパンツを差し出した。

私「いる?」

高木くん「くたばれ」

圧のある静かな一言だった。

小学校の頃から私に対する口癖が「くたばれ」だった高木くん。アラサーになってもそれは変わらなかった。
私「口癖ぜんぜん変わらないね」
高木「お前に他にどんな言葉があるんだよ」
血走る眼でキレてくるユーモアのない人間のつまらないこと。

その日、私は高木君に「ろくな人間にならない」と断言された。
「くたばれ」しか語彙力のない奴にそんなこと言われる筋合いはない。その時はそう思った。

でも高木君は正しかった。

だって、月曜日もジーンズの裾から、汚パンツが出てきたのだから。
人は変わらない。私のような人間はいっそAIに乗っ取られたほうが、世のため人の為なのかもしれない。
高木君の言う通り、しっかりとろくでなしになってしまった。

私はアイフォンをバックから取り出し、高木君にメッセージを送った。
「またジーンズの裾から汚パンツが出てきた。送る?」

既読スルーになると思いきや、速攻で返信が来た。

「くたばれ、うじ虫」

「うじ虫」
不快感の塊じゃないか。
それにしたって、高木くんは成長したようだ。
「くたばれ」に「うじ虫」をつけるようになったのだもの。
私もいつか、ハエに成長できるの日が来るのだろうか。

そんなことより、高木くんの口癖が未だに「くたばれ」で少しだけ安心した。社会的に立派になった彼だって人様に向かってこんな残酷な言葉をはくのだ。それに比べて誰も傷つけない私の汚パンツなんてキュートなもんじゃないか。

でもなぜだろうか。
私はなぜ私は高木くんに「パンツを送ろうか?」なんてメッセージを送ったんだろう。
あんなメールを送れば罵られることくらい分かっていたのに。

思い当たる節は他にもある
このnoteだ。

海外に住んでいるのだから、それ関連で人様のお役に立てる記事でも書けばいいのに。でも私の脳がそれを許さない。いや、違う、そんな技術も能力もないからだ。でもだからって、せめてもう少し人並みに…。そう願ってみても、この脳は下品な方向へと暴走してしまう。

noteを書き始めて2年以上も経つけれど、まさか全記事か下々(下品・下ネタ)で埋め尽くされると誰が予期できただろう。
「こいつバカじゃないの?」「頭おかしいんじゃない?」
「この、うじ虫!!」
そう言われ、引かれることに快感を感じているのだろうか。

41年生きてきて知らなかった自分自身の側面をnoteが私に教えてくれた。
私は間違いなくただの馬鹿だ。

















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