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建物は雄弁

ここはどこでしょう。外国の美術館の一角のようです。

子どものときに訪れた場所に、大人になってから行ってみると、その頃とは違う見え方がしたり、感想を持つものです。特に、学校の行事などで主体性が失われているもの(有意義ではあるのですが)は、記憶もおぼろげで、行ったことは覚えていても、何がどうだったかまでは覚えていないことも。

そんな体験をしてきました。

国の最高立法府である、国会へ行ってきました。

写真はその中心。いわば日本の中心の中心です。

菅内閣発足以来、初めて開会してたった数日の国会。代表質問の真っ只中でした。

幸いなことに、議員さんの紹介を得て、午前中に議事の傍聴をさせてもらいました。傍聴席までのプロセスが、いろいろと煩雑でしたが、意外にも、この時期頻繁に遭遇する検温はなかったなと記憶しています。

あまりにも大切な場で、しかも警察が入り込まない(国会の独立性を守るため、国会には独立した警察組織がある)ので、警備は厳重すぎるほどでした。【と、記載していましたが、正確には下記の通り、議員検察警察権に基づく、衛視という職務でした。】

議院警察権の性質は保安警察作用に属するため、保健衛生や建築基準などこれと競合しない狭義の行政警察作用は当然に議院内部に及ぶとされる(保健所の検査などは可能とされる)ー出典:wikipedia

監視員の方も丁寧かつ厳格で、同じ制服を着ていても場によってその表情が違うためか、演技をしているようにさえ感じられました。ただ、冷たい感じがなく、居心地はとても良かったです。

小学生のとき以来の議場。しかも、目の前にはテレビで観たことがある人たち。前日に仕事で行った式典の来賓だった政務官もいらっしゃいました。
大学の偉大すぎる先輩が総理大臣の席におり、とても高揚しました。

それぞれの議員の声が通り、野次も思ったより多くて、ただ原稿読んでるだけなのに、きちんと野次飛ばすのはライブ感を出すためなのかなぁと、変なことを考えてしまいました。

このご時世ならではの"マイクパフォーマンス"対応もあり、ますます劇場的な感じがして、なるほど現場とは、良くも悪くも、熱量が半端ないと思ったのです。

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代表質問は、何問もまとめて質問し、まとめて答えるという場であり、事前に質問と答弁が練られているため、アドリブさえなければ、比較的穏やかなものですが、実際には性別の差なく鋭い野次が飛んでいました。

政党名を挙げると読みづらくなるので割愛しますが、与野党の差がはっきり出た質問には、作成者の意図が垣間見え、また読み方のうまさでも説得力が違いました。傍聴席という場も、じゅうたん敷きの床に、椅子の布もとても手ざわりがよく、国会の格式のようなものがとても大切にされているように感じました。時代が時代ならば正装して訪れる場であり、とても貴重な体験でした。

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昼食は、その議員さんも交えて・・という予定が、その議員さんだけでなく、あれよあれよと同じ政党の議員さんたちを紹介していただきました。「同僚の」と言っていたのが印象的で、会社みたいでした(笑)

職場では殆ど出番がない名刺も、何枚も飛び立って行きました。

noteに推し議員のことを熱く書いていた仲間が、その"推し議員"と対面し、だいぶ緊張というか高揚されていました。反対に、その議員さんの気さくさはとても優しく感じました。さすがです。

食べたような食べてないようなランチ(美味しかった)のあと、議員さんの部屋に行ったり、お土産を買ったり。国会土産もなかなか面白くて、菊の紋章さえ目をつぶれば、革の製品は品質が良く、とてもリーズナブルだと思いました。

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この写真は、参議院の食堂です。

午後からは、国会見学ツアー。担当の方がついてくれて、色々な場所でガイドをしてもらいました。ふたたび議場の傍聴席に戻って見学をしていると、いろいろな疑問が浮かんできたり、様々な設備や遺構に感心してみたり・・やはり国会というのは、国の粋を集めた一大事業の結晶でありました。

ある部屋だけで、国会建設費全体の1割が割かれているという話(議場ではなく!)や、ほぼすべての資材が国産で賄われているという話、ダンスホールの存在、大正から昭和にかけて建設にかかった期間の長さなど、とても興味深く、また楽しく聴くことができました。

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長く残すための建物づくりと、国を作るための場への畏敬というか、プライドというか、その迫力は静かに僕の胸に迫るものがありました。今回は傍聴も出来たことで、観光地としての場ではなく、日本の行く末を見据える中枢での働きを見たように感じています。

議員さんそれぞれの態度には、やや目をひそめてしまうものもありましたが(笑)、国民の代表として日本のために働いているという気概が、建物からも感じられるような不思議な場所でした。

ただ、それにも増して強く感じたのは、「本当に、ただの人間がいた」ということ。総理大臣も、大臣も、議員さんも、職員の方も、ただの人間でした。表情は豊かで、おしゃべり好きで、真面目で、一生懸命で。話してみれば、とても話しやすくて優しいという印象が残っています。

僕たちのために時間を作ってくれたことへの感謝と、国会という場がもっと多くの人に知ってもらえるような期待を込めて。

ありがとうございました!

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