最近の記事

23-4-5-6

○ 4 · 4月はいつも、こころとからだの歩調が合わない。穏やかでいられないのは、自らそうしているせいな気もする。久しぶりにまた無月経で、睡眠欲も食欲もぼんやりとした気持ちもうまく制御できずにいる。生活習慣を正すこと、(まだ) 実体のない存在に思い悩まないこと。何もかも、上手くいけばいい。 · 許すことが愛することだと思っていたけれど、愛することを辞めたから許せた人や出来事があって、今は穏やかで居る。いいえ、正しく言うのなら、許せたのではなく赦したのであって、少しの諦めを

    • 23-1-2-3

      ○ 1 · 懲りずにまた、どうにもならなそうな恋をしたがるのは、ただ、この街に居るための理由が欲しいだけなのかもしれない。こないだよく知らないお客さんに、仙台のこと嫌いなンか?と笑いながら言われたので、あんたに、なにがわかるか、と心のなかでゆっくり啖呵きったけど、余計惨めに思っただけだった。神戸、住みやすいですから、という曖昧なことばに機嫌よくなる大人。やだナ、こういう自分の白々しさも。 ○ 2 · 路上、若い子たちはチカチカしていて、集い、戯れ、チカチカと、笑い、眩暈が

      • みどりちゃん

         みどりちゃんと初めて同じクラスになったのは中高一貫の中2のときだった。  何だか放っておけないひと、というのが初めの頃のざっくばらんな印象だったと思う。脆く繊細な壊れ物を抱えつつ(この壊れ物のことは少し経ってから気づけた)それを唐突に自らバリバリ割ってしまうようなハチャメチャさがあり、後でちゃんと後悔もするけど、でもどうにもならんしもういいや! どうにかする!という潔さもある。知れば知るほどに面白く、テンパる度に予想もつかないことをしでかすものだから、その突拍子のなさに、最

        • 太陽と月とマンボウと躁鬱

           月を冠した名前を貰った。自ら光る太陽ではなく他に照らされる月のような子だろう、という予見と期待とを背負っているらしい。悔しいほどにその通り育った気がしている。それなら柚は?と聞いたら、何となく可愛らしいからとのことで、対照的なまでの適当さよ。そういうところも含め、嗚呼ほんとに、名は体を表すんだなとひとしきり感心した。  それに柚も月も秋産まれって感じがするでしょう、と取ってつけたような理由が重ねられてゆく。確かに中秋の名月と言うし、柚子は秋の季語なんだけれど、季節の話をする

        23-4-5-6

          序章

           なんで、こんなに、いつまでも、わたしは大丈夫にならないんだろうかと、情けない泣きっ面で、何時間も何時間も床に転がっていた。こんなこと、もう、生まれてきてから何度目のことかもわからなくって、せめて今日は今日だったと記憶に残しておけるように、ちいさな記録をつけ始めた。  そういうものの積み重ね、日記にも詩文にも満たないような辿々しい書きのこしたちが、最近になって長い長いひと続きの文章みたく見えてくるようになった。それで不意に、そう、そうだ、それなら─────────ぐんっ、と