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元気にしていますか。

約10年程前に会えるかと思ったものの、会えなかった友人について思い出している。

高校時代の友人で、同じクラスにはなったことはなかったけれど、部活動で一緒だった。
作り込んだ美ではなくて、ナチュラルな可愛らしさを纏う人だが、その外見と反比例するかのような、オリジナリティある天然の面白さと、意外にも気骨があって真剣勝負のひたむきさがまた魅力的な人(自然にカワイイ人がそういった性質を持っていても全然構わないのだが)。
卒業後にも、時々、会っていたが、彼女と美術館に足を運ぶのは、格別に楽しかった。
美術館に他の人と一緒に足を運ぶと、相手によって双方の行動が異なるのが分かる。たとえば、それぞれ自分のペースで鑑賞するため、一緒に入っても会場では別々に進んで出口で再会するタイプ。ほぼ一緒のペースで進むので近くにはいるものの、場所柄、その場での会話は最小限にとどめて、追って、感想などを言い合うタイプ等。
彼女は、動きは後者よりだったが、これは!と思った作品に対するコメントをその場で口にするタイプで、そのコメントに現れ出る発想がまた独創的。こちらが思いもよらないことを突然口に出すのがとても面白かった。
彼女のあの独特な語録は、ふと思い出すと懐かしい。

約10年程前の帰省の際に電話をして、一旦、会う約束をした。しかし、しばらくして、折り返しの連絡を受け取る。
約束をして、電話を切った後に、家族の人たちにわたしと会うことについて話したところ、彼女にとってはデリケートな時期だから今回は見送って欲しいと止められたそうで、その旨の連絡だった。
麻疹が流行っていたりということもあったのか(?)外国から戻って来た人に会いに行くのはちょっと……というのがその理由だと。
わたしは、その理由を聞いても傷付かなかった。それ以上に、その時はそういったことを懸念する人がいるんだ!という発見と驚きを強く感じた。そのことを他の人に話したら、他の人の反応の方がわたしよりも大きかった。
(その後、コロナ禍になって、人々の行き来に対してかなり敏感になっている状況を目の当たりにし、つまり、そういうことだったのか、と……)

その後も何度か帰国はしているものの、連絡が途絶えている。
元々、筆不精(メール不精)だった人なので、それほど頻繁に文章でのやり取りはしていなかった。連絡を取りたい時は国内からの電話でつかまえるという相手だった。
今、連絡を取るにはメールなのだろうとは思うものの、メールアドレスが有効なのかも微妙だ。共通の友人はいるものの、その友人の方がわたしよりも連絡が途絶えているようなので、確認のしようがないか。

この話は、しばらく温めてあったものだが、ここに来てふと降りて来た。
気になるということは、何かの兆しかもしれない。

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