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合気道見取り稽古 - 高い合気道的センスを身につけるために


あなたは、「鈴木鎮一」という方をご存知ですか?
ご存知ならば、あなたはきっとヴァイオリンを習っていた人かも知れませんね…


鈴木鎮一


この方は、「スズキ・メソード」という教育法を考案し、江藤俊哉、豊田耕児など、多くの世界的ヴァイオリニストを育てました。そして、この教育法は、アメリカをはじめ海外に広く普及しました。また、鈴木鎮一氏は、永年音楽を通して幼児教育に貢献した功により、勲三等瑞宝章を受賞しました。

私は、鈴木鎮一氏を彼の著書「愛に生きる 才能は生まれつきではない、講談社現代新書」を読んで知りました。

鈴木鎮一氏は、その本の中で次のようなことを書いています。

この本をとおして、わたしたちはみんな、生まれつきだとあきらめることなく、それぞれに努力すれば、望ましいひとになりうるし、能力を獲得できる、ということがわかっていただけたはずです。

「愛に生きる 才能は生まれつきではない、鈴木鎮一著、講談社現代新書」より

スズキ・メソード


では、どのようにして、スズキ・メソードにおいて世界的ヴァイオリニストが育ったのか?それについての示唆があります。それは、これです:

鈴木先生は幼児期からさかんに音楽を、しかも芸術的に最高のものを聴かせることを唱えておられます。ヴァイオリンではクライスラー、チェロではカザルスといった大家の演奏を母国語と同じく幼児期から耳にすることで高い音楽的センスを身につけられるということです。

「スズキ・メソード全国大会プログラムによせて」より

世界のスズキ・メソード 〜松本発 鈴木鎮一氏提唱の教育論〜 (前編)

世界のスズキ・メソード 〜松本発 鈴木鎮一氏提唱の教育論〜 (中編)

世界のスズキ・メソード 〜松本発 鈴木鎮一氏提唱の教育論〜 (後編)


見取り稽古を思いつく


この「スズキ・メソード全国大会プログラムによせて」の言葉を目にして、私は閃きました。

「合気道において才能を開発しようとするならば、合気道的に最高のものを観ること、それによって高い合気道的センスを身につけられるのではないか」と…

また、鈴木鎮一先生は、次のようなことも述べています。

だいじなことは、生まれたときからいい環境におく、正しい訓練をさせることだという論にもどるのですが、五百回やってできないひとも五千回やればできるようになる、ということを忘れてはいけないのです。

「愛に生きる 才能は生まれつきではない、鈴木鎮一著、講談社現代新書」より

見取り稽古を実践する


そこで、私は考えて、「合気道的に最高のものを五千回以上観る」、そのためには、今入手できる「最高のものを観る、それを実行しよう」と思いました。

ただ、その当時(今から46年前)は、今のようにDVDやYouTubeなどありませんでした。そこで、私が下宿していた家にたまたま8ミリ映写機があったので、合気会斉藤守弘九段の8ミリフィルムを購入し、観ることにしました。千回以上は観たと思います。

斉藤守弘九段とは


斉藤守弘九段は、植芝盛平翁から直々の稽古を23年も受けることのできた唯一の人物です(他の高弟の中でも同じぐらい稽古を受けた人物は存在しません)。植芝盛平翁から武器稽古を受けることのできた数少ない弟子の一人であり、また東京の合気会本部道場での剣・杖の教授を許された唯一の師範でもありました。また合気会名義で発行される段位免状とは別に、武器技に関する独自の免状を発行することも黙認されていました。後に植芝盛平翁の武器技を整理分類し、誰でも段階を追って学べるように、7の素振り、31の杖、13の杖、20の素振り、合わせ、組太刀・組杖等を考案しました。ちなみに組太刀等の型そのものは植芝盛平翁が生存していたときから既に存在していました。

斉藤守弘九段の動画

素振りの極意(剣)


合気剣とその稽古法①


合気剣とその稽古法②


体術とその稽古法①


体術とその稽古法②


武産合気とその稽古法


見取り稽古を道場の稽古に活かす


それらの演武のイメージを脳裏に焼き付けて、道場における稽古に活かしました。その結果、入門して1年9ヶ月で合気道三段を取ることができました。その辺りの詳しいことは、次のサイトをご覧ください。

まとめ


私は、生まれつき運動神経が鈍く、小学校・中学校の体育の成績は2でした。高校では、柔道部に所属していて真面目に部活動をしていたので先生のお目こぼしもあり体育の成績は4か5でしたが、柔道の試合には補欠はおろか一度も出させてもらえませんでした。そのような私ですが、合気道は入門してわずか1年9ヶ月で三段を取ることができました。これは異例中の異例だとのことです。

以上のことに関連して、鈴木鎮一先生は次のように言っておられます:

正しい方法による、より多くの訓練。これは能力の育つ原則です。この原則に忠実ならば、必ず正しくすぐれた能力が育つのです。

毎日五分間ずつ練習するひとと、3時間ずつするひとと…このふたりを比較してみると、その差は、同じ毎日の練習でも、途方もなく大きい。練習不足のところには、能力は育たないのです。そして、やっただけは正直に育つのです。

毎日3時間のひとの3ヵ月の練習時間を、もし、毎日五分間のひとがやろうとするならば、実に九ヵ年を費やされなければならない。計算すればそういうことになります。一方が三ヵ月でやることに、片方は九年かかる。りっぱな能力が育つ道理がありません。

江藤俊哉君も豊田耕児君も、小林建次君も志田とみ子さんも、みんな、毎日三時間かそれ以上の練習をしたひとびとです。

正しいすぐれた道を歩むこと 
より多くの、その訓練 
この二つのかみ合わせによって、すぐれた能力はだれの上にも育つ。

「愛に生きる 才能は生まれつきではない、鈴木鎮一著、講談社現代新書」よ

以上の鈴木鎮一先生の言葉を私も実践していました。そして、正しいすぐれた道を歩むことは、「見取り稽古」によって可能になると思います。

是非、鈴木鎮一先生の「愛に生きる」という著書を読まれることをお勧めいたします。

以上

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