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その人の世界 個人の宇宙

今年は暖冬と言いますがやっぱり1月・2月は寒さが厳しいですね。

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

今日、訪問の先生の日で朝からバタバタしました。

ようやく週1の看護師さんの訪問に慣れてきて

一応安定した状態をキープできていますが

これからどうなるかは不明です。

現在の父はどこか夢の世界をぼんやり漂っているようで

大きな宇宙空間にフワフワと浮かんでいるようにも見えます。

極稀にこちらの世界に帰って来ると

妄想・幻覚ベースの会話を繰り広げ周囲をドッキリさせます。

先日珍しくこちらへ帰って来た時もせん妄ワールドが炸裂しました。

父:「早くっ!部屋に生えているあの木を切ってくれ!」

幻覚に囚われ切羽詰まった様子で何時間も主張していました。

「木なんて生えていないわよ」「今切ったよ」と母が返事しても全然ダメ。

両親共に一歩も引かず延々と同じようなやり取りをしています。

これでは埒が明かないので助け舟を出しました。

私:「私にはその木が見えないから切れないんだ。ごめんね」と話すと

父:「あぁ、そうか。カオマールに見えないならしょうがない」と

驚くほどあっさり納得。

エッ・・・

あんなに力んで幻の木が有るって言ってたのに

納得しちゃうんだ。


突然話が通じるのでいつもビックリしています。

私は父の見えている物や人を否定するつもりは全くないけど

幻覚や妄想の世界に歩み寄る気持ちも無いので

やはり正直に話すのが一番なんだと感じました。

こんな父とのやり取りをしていて

幼馴染のMちゃんとの会話を思い出しました。

高校生の頃、二人で名古屋に遊びに行った時

私達の目の前にイケメンが歩いていたそう。

それに気が付かなかった私を

Mちゃんが「なぜ気が付かないの?」となじった事が有りました。

Mちゃんは友達と何でも共有し合いたいタイプ。

考えている事、見たもの全てに共感を求めてきました。

正直私はそう言うのに疎いし

連帯感を重視する女の子特有の感じが超苦手。

あまりにしつこくて堪忍袋の緒が切れました。

「アンタの目と私の目は別物なんだから気付かない位で怒んないでよ!」

と反撃し大喧嘩。

その後仲直りしたのですが随分時間が経過してから

あの時の喧嘩は「人生で一番ショックで寂しかった」と

Mちゃんが話してました。

私にとって至極当然の事を言ったのですが

当時の彼女の世界にはそういう概念が無かったのかなと。


自分を誰かに分かってほしい

誰かを理解したいという欲求は

大昔から人間が苦心している事柄だけど

それを実現するには様々な工夫や

丁寧に相手に伝える作業が必要だと感じます。

友達だから、家族だから、同じ民族だからと言って

見えている世界、感じ方が一緒だとは限らない。

その人の世界、個人の宇宙が有り簡単に把握する事はできません。

故に家族や人付き合いって難しいし面白いのかも。

だから多くの人に自分の世界がスッと理解されなくても

全然大丈夫。

他人の世界観に自分がついていけなかったとしても

それはそれでオッケー。

互いの世界を拒絶したり、馬鹿にしなければいい。

仮にほんの少しでも共感出来たとしたら

「おー♪嬉しい」と思うとちょっと楽しい。

不思議世界に生きている父の相手にしていると

色々と再発見があるんだなぁ。

そんな事を強く感じる今日この頃です。


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