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今いる場所で受けた評価に必ずしも振り回されなくていいと思うんだ。

「あいつさあ、ほんと下手くそだよな」


中学の頃、サッカー部に入っていた僕はいつもメンバーに選ばれず、後輩が試合に出ているのを眺めることが多かった。


おそらく後輩には舐められていただろうし、
どれだけ練習しても上手くなれない自分に腹が立っていたこともあった。


ある日、練習終わりに部室に入ろうとした時、中から後輩の喋り声が聞こえた。


「あいつさあ、ほんと下手くそだよな」


その後に続く会話から、それは自分への陰口だということがすぐに分かった。


ただでさえ、後輩に抜かれてしまったことでプライドはボロボロだったのに、さらに自分の陰口を言われていると知った時は「この世の終わり」とすら思えた。


悔しいのと、恥ずかしいので、すぐに部室から離れて、一人になった。


そのあと一人になって、
自分には何の価値もないんだ。
試合にも選ばれないから誰からも必要とされていないんだ。この世からいなくなってしまいたい。とすら本気で思った。


このように思春期ど真ん中だった頃の僕は、どうしようもなく狭いその世界で起こる小さな出来事のひとつひとつを過敏にキャッチし、一喜一憂していたことがあった。


いま考えたら、
サッカーが少し出来ないくらいでなぜそこまで悲観するのかと思うけど、
当時の自分にとっては「サッカー」が全てで、「所属しているサッカー部」は自分の世界の全てだったのだ。


その世界で「サッカーが下手くそだ」と後輩に認定されたのだから、自分の全てを否定されたのと同じような気持ちになって絶望してしまったのだと思う。


社会に出た今だからこそ分かるけど、
この世の中には
いまいる場所以外にもたくさんの世界が存在していて、
いま自分がいる世界で認識されているルールは、他の世界では全く通用しないことすらある。


ある場所では失敗ばかりして、馬鹿にされていた人がいたとしても、違う場所に行けば「天才だ」と称賛されることすらざらにある。


わざわざ周りから馬鹿にされ、悲しくなるような環境にいなくても、自分が必要とされる場所に移る選択肢を誰でも選ぶことができる。



もしかしたら、それぞれの人が自分に合う居場所の選択肢を広げるために、世の中にはこれだけたくさんの人がいるのかもしれないと、つい最近考える。


だって、世界がひとつしかなかったら、
そこの世界のルールでしか人を評価できないでしょう。


そしたら、その狭い世界のルールでは評価されない人は、はじき出されてしまって、とても不公平だ。


だからこの世の中には
いろんな人がいて、いろんな世界がある。


つまり自分がいる世界だけが世界ではないのだと思う。


というかそうだ。そうじゃなきゃおかしい。


あの頃の、学生時代の僕は、とてもとても小さい世界にいたんだと今ならわかるし、
タイムマシンに乗ってあの頃の自分に「そこだけでの評価があなたの評価ではないよ」と今の自分になら伝えられる。


そんな苦い過去の経験を思い出したきっかけは、「泣くな、はらちゃん」というドラマを久しぶりに観たからだ。


そのドラマのワンシーンで、
漫画の世界から人間の世界にやってきた「はらちゃん」という主人公が、薬師丸ひろ子さん演じる「矢口百合子」と話す場面がある。


以下、その場面のセリフです。
ーー

はらちゃん「私のように違う世界からこの世界にやって来る人は他にもいるんでしょうか」

矢口「いるんじゃないかなあ。
でもその人達はただの変な人って思われてしまって気付かれてないんだろうね、きっと。
人はさあ、自分の世界を疑わなくなっちゃうんだよ。自分のいる世界だけが世界だと思ってしまう。
だから、世界の常識と違うことを言ったりしたりする人を変な人だと決めつけてしまうんだ。
おかしいよね、そんなの。
だって、今いるこの世界だって、誰かが書いている漫画の中かもしれないでしょ」
(「泣くな、はらちゃん」最終話より)

ーー


ここからは
ドラマのネタバレになってしまって、申し訳ないが、昔のドラマなので許して欲しい。


最終的に、この物語では「はらちゃん」は漫画の世界に帰ってしまう。


それは上の言葉にもあるように、
人間の世界で「はらちゃん」は変なことばかり言う「ただの変な人」になってしまうからだ。


つまり、人間の世界は「はらちゃん」には合っていなかったということ。


だけど、「はらちゃん」がもともといた漫画の世界は「はらちゃん」に合っているし、その漫画の世界では「はらちゃん」が必要とされている。


だから、はらちゃんは自分の好きな漫画の世界に戻るのだ。


この物語では、はらちゃんが自分の知らない「人間の世界」にやってきて、人間の世界の怖さも経験するけれど、

最後には「どの世界にも嫌なことはあるんです。どんな世界でも好きになれば素晴らしい世界になる。この世界は素晴らしい」と言って漫画の世界に帰っていく。


様々な世界を知ることは自分の弱点や強みを知る良い機会になるし、
たとえそれが自分にとって合っていない世界だとしても、「素晴らしい」と認める。


どの世界も誰かにとっては大切な居場所だからだ。


そう認めた上で自分が好きな世界を選べばいい。

その好きな場所が分からない場合の探し方は模索中ですが、
ひとつ分かることは、いろんな場所に試しに自分で行ってみるしかないと思いました。


本当は誰かが「あなたはこっちだよ」とか教えてくれれば楽なんですが、

「好きなこと」が誰かに教わるものじゃなくて、自分にしか分からないことと同じで、

「好きな場所」も自分にしかわからないことだと思います。

だから、僕は自分の足を使っていろいろ試してみたいと思います。


少なくとも今いる場所が自分に合っていないと感じても落ち込まなくていいと思うんです。

今いる場所以外の世界もたくさんある。
ここだけじゃない。

つまり、
今いる場所の常識だけが全てじゃないし、今いる場所で受けた評価だけが自分の評価じゃない。


そう思えるだけでずいぶん気分が変わるなあと思います。

気分が変われば、見え方も少し変わる。

見え方が少し変われば、今いる場所も自分に合っている場所に変わるかもしれません。

「そんなの当たり前じゃん」と思われるかもしれないけれど、
僕自身、過去にこういう考えができず、落ち込んで、自分を追い詰めてしまった経験があるので、誰かに伝えられればいいなと思い、記事を書きました。

それでは読んでいただき、ありがとうございました。
更新遅くて申し訳ないですが、本年も何卒宜しくおねがいします笑

おわり

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