アナログでロックを鑑賞するという大人の嗜(たしなみ)について
最近アナログレコードをよく聴くようになった。
アナログレコードが今とても人気らしい。
そのブームに乗ったというわけではないが、
近頃はレコードをよく聴いている。
きっかけは、ライブラリ―用に借りた部屋に
レコードプレイヤーがあったからだ。
この部屋のオーナー、つまり大家さんの持ち物だ。
プレーヤー:テクニクスのSL1200 Mr5
アンプ:ラックスマンのL505f、
スピーカー:JBLのS3100とヤマハのAST-1。
オーディオに疎い私でもこのセットがすごいものだということはわかる。
試しにレコードをかけてみた。
山下達郎の「softly」(今年の新譜なのにLPも発売)。
「うわあ、いいね」。
一緒にいた妻が感嘆の声を上げた。
ジャズ喫茶で聴くような音の豊かさ。
自宅のプアなシステムとはまったく違う。
ボーカルやアコースティックの、音の響きが気持ちいい。
さっそく実家から学生時代に買ったレコードを取り寄せた。
友人、知人にこの話をしたら、みんながレコードを抱えてやってきた。
いつの間にか、レコードが200枚以上になった。
70年前後のロックが中心。
ノイジーな曲はこのセットに合わないけど、
山下達郎さんのアカペラとかジョニ・ミッチェルとかが最高。
レコードが当ライブラリ―のもうひとつの魅力になってしまった。
こういう偶然って、あるのだなあ。
聞き流すのではなく、音楽を鑑賞するという感覚
音楽を聴くということが本当に簡単になった時代に
レコードをかけるという行為はまるで儀式みたい。
しかし、聴かせていただきます、という謙虚な気持ちになれる。
ライナーノーツや歌詞カードを読みながら聴いていると、
昔、学校の音楽室でバッハやモーツアルトを
聴かされていた時みたいな気分になる。
それが今、ポール・サイモンやボブ・ディランになったという訳だ。
なんでもかんでも、配信で気軽に聞き流してしまうけど、
アルバムを丸ごと、こうして1曲ずつ鑑賞する行為は、
今の時代にとても貴重かつ贅沢なことのように思える。
スピードや量や効率を無視して、深さと響きに身を委ねる。
これこそアナログ、大人の嗜み(たしなみ)と
言えるのではないでしょうか?
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