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『青空』

今回は、かなり暗い話をしようと思う。


いつも楽しみにしていただいてる方には
申し訳ないが
暗い話が苦手な方は読まないようにして
ほしい。




これは話そうか話さないか
かなり迷ったが
この過去も含めて僕なのだ。

そして、誰かに話すことで
僕は楽になりたいのかもしれない。















僕が20才の頃に大好きだった父が自殺した。



父が亡くなったのは梅雨の時期で
毎日のように雨が降っていた。

その日、僕は大学生で
東京でバイト中だった。

夜遅くまでバイトをして
バイト終わりに携帯画面を開くと
弟からたくさんの着信が入っていた。

妙な胸騒ぎがした。

弟に電話すると、
1度も泣いた所を見たことない弟の声が震えていた。


「おとうが死んだ。」


それを聞いたとき、僕はなぜかすごく冷静だった。

弟を落ち着かせてから、電話を切り
東京から田舎まで帰るために電車に乗った。


平日の夜遅くの電車ということもあって
疲れたサラリーマンばかり乗っていた。

僕は、電車に乗りながら色んなことを考えた。

おとうが死んだ?
なぜ?どうして?
もしかして病気だったのか?
事故でもあったのか?
これから僕達家族はどうなるんだ?

田舎で終電が早いため
行けるとこまで電車で行き
途中からはタクシーに乗り家まで帰った。


家に着いたのは夜の2時過ぎだった。
母が玄関まで出てきて泣きながら


「お父ちゃんが死んじゃった。」

と言った。

母に詳しいことを聞くと
父はその日、仕事が休みで1人で家にいたらしい。

母が仕事から帰ってくると
飼っていた猫2匹が
2階に繋がる階段をじっと見ていた。

母が不思議がって
階段を見ると階段の手すりにタオルと首を巻き付けて父がだらんと垂れ下がっていた。

母は急いで父の首に結ばれているタオルを取るが当然間に合うことはなかった。

飲み干された缶ビールが、家にはたくさん散らかって置いてあったらしい。




僕は、それを聞いたとき混乱した。

あんなに家族想いで
頼もしい父が僕たち家族を置いて自殺なんかするわけがない。

僕は段々怒りでいっぱいになった。

どうして僕達を置いていくんだ。
あまりに突然過ぎる。なぜ何も話してくれなかったんだ。

実家には父を除く家族全員(祖父、母、姉、弟)がいたが朝まで誰も眠ることができなかった。

朝になり、母が父の愛車から遺書を見つけ出した。

内容は、自殺した理由は書かれておらず
ただひたすら色んな人にすみませんと謝り続けていた。

僕の名前も書かれていた。

僕は謝るぐらいなら死なないでくれよと思った。

そして、それから数日後に
警察や様々な所へ行っていた
父の遺体が返され家に戻ってきた。

真っ白い布団に真っ白い服を着せられ
顔には白い布を被せられていた。

僕は、この白い布の下にある顔が全くの別人で全部ドッキリでした!とどこからか父がふざけて出てくるのを期待した。



だが、布を取ると
そこにあるのは見慣れた僕の父の顔だった。

僕はそこで初めて
この世にもう父がいないことを知り
涙が溢れ出た。

いつも辛いことがあったら
父に助けてもらっていたが
その父がもういないのだ。

お父ちゃん、なんでだよ。
いつもみたいに笑わせて助けてよ。

何度も心の中で叫んだが
父が助けに来ることはなかった。


それから、色々と葬式などが終わり
僕は日常に戻った。



ただ、誰にも父のことを言えなかった。

僕は上手く笑うことができなくなり
たくさんの人に冷たくして
友達をたくさん失った。

そして、僕は自分の人生の結末を考えるようになった。

僕の人生もきっとこれから嫌なことが
たくさんあって、それに立ち向かうことが
できなくなれば父と同じ最後をむかえるのだろうと。


何にもならない人生で終わるのだろうと思っていた。





でも、普段の僕のエッセイを
読んでわかるように
今は、こんな僕でも家庭を持ち最高に幸せだ。

そして、僕のアホなエッセイを読んで面白かったと言ってくれる人がたくさんいてくれる。

こんな僕の人生でも
誰かの役に立つことができるんだと思えて、嬉しくて嬉しくて堪らない。





いつか、僕が死んで
父とどこかで会えたなら
僕のくだらない人生をたくさん話して
思いっきり笑わせてやりたいなんて思ってる。







皆さん、今日はいつもと違って
突然、暗い話をしてしまってすみません。

どうかこれからも、そんな僕をよろしくお願いします。

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