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【エッセイ】はじめまして!モンキーパンツです。

~皆様、自己紹介は人生で何回やりましたか?~



正直、やる度に困りませんか?


自己紹介のテンプレートがあれば
良いのですが、毎回何を話そう?と
かなり戸惑いますよね。


自己紹介次第でその後の関係が決まってしまう可能性があるので本当に難しいです。


そんな自己紹介にまつわる
エピソードを今回お話ししたいと思います。


皆様、聞いていただけないでしょうか?









私が中学校に入学したばかりの頃です。


私はドキドキしていました。

小学校は1学年1クラスしかなく
クラスに15名ちょっとしかいませんでしたが
中学校は1学年4クラスあり
クラスに40名近くいるのです。



しかも、
私の小学校は地域でも
田舎の方になりますが
別の小学校は
都会からの移住者の方が多かったので
やたらオシャレな生徒が多かったのです。




私は田舎者だと
ナメられないように必死でした。





そんな時、
担任の先生が自己紹介シート
配りました。


書き終わったら回収して
廊下に貼り出されるそうです。


この自己紹介シートは
これからの中学校生活において
とても大切なものです。



ここでダサいことを書いてしまえば
ナメられてしまいます。






私はどのように自己紹介すればいいのか
脳をひねりまくって考えました。






まず名前からです。



普通に書けばナメられます。



だから私は
名前を大きく太めに濃い字で書きました。





筆圧でクラスの
みんなをビビらせようと思ったのです。






次に生年月日です。



私は7月生まれ
割りと早めに生まれたほうです。




7というのは素晴らしい数字です。


ラッキーセブン
007
ウルトラマンセブン
セブンイレブン
七人の侍



これらのものを見れば
7は特別な数字だということがわかります。

私は選ばれし人間なのです。


だから私は7月に生まれたことを誇りに思ってます。


いい加減に7なんて書きません。


「7」を丁寧に
カタカナの「ワ」のように書きました。




今度は趣味です。


ここが1番難しいです。



ここに何を書くかで、
印象が決まることが多いです。


ラップ、レゲエ、ブレイクダンスとか
嘘ついて書こうとしましたが
すぐにバレるので止めて
正直に、ここは「なし」と書きました。








しかし、
書いた後に失敗に気づきましたが…


「なし」って書いたら
梨と勘違いされないでしょうか。


趣味が梨ってなんでしょうか?



梨は好きですけど
趣味にするほどではございません。


「お前の趣味は梨なのかよ!」
くだらない弄られ方をされてしまえば
いくらLOVE&PEACEで溢れる私でも
すごい怒ってしまうかもしれません。


私は「なし」「し」にもう一本横に棒を付け加えて「ない」に変更しました。







次に特技です。



私は野球部に入るので
特技は「投げること」と書こうとしました。



しかし、特技が「投げること」って
なんかダサいです。


ほかにカッコいい言い方はないかと
少し考えました。


特技「スローイング」

少し気取ってる感じがしますね…


特技「たま投げ」

ちょっと古臭い感じがしますね…


特技「ボールをぶん投げること」

男らし過ぎますね…






あ!


1番カッコいい言葉を見つけました!






「全力投球」です。


これは間違えなくカッコいいです。

100人中100人はカッコいいと言うでしょう。



中学生男子はダルそうな感じを出すのが
カッコいいと思う節があります。



私も普段、少し猫背にして
常に眠そうな感じで歩くのがカッコいいと思ってました。


そんな私が野球の時だけは
「全力投球」なんてギャップ萌えではないでしょうか。


我ながら最高の言葉を見つけました。




ちょっとやり過ぎましたので
モテすぎないように気をつけないといけませんね…







そして、今度は好きなものです。


ここは、我が家が農家なので
「お野菜」と書こうとしました。


しかし、お野菜って書くと
じぃじ、ばぁばには申し訳ないですが
田舎者まるだしな感じがします。



だから、
じぃじとばぁばに心の中で謝りながら
「お野菜」と真逆の「お肉」と書きました。


なんかワイルドな感じがしてカッチョイイです!






これで最後に一言
「よろしく」
とクールな言葉で締めて終わりです。



できあがりました!

こんな感じです。






名前

【 モンキーパンツ(本名) 】


生年月日

【 ワ月○日 】


趣味

【 なしl 】


特技

【 全力投球 】


好きなもの

【 お肉 】


最後に一言

【 よろしく 】



まぁ、
もっとイケイケにできたかもしれませんが
初日から目立ちすぎるのも
良くありませんからね。


こんなもんで提出しましょう。



翌日、廊下に自己紹介シートが
貼り出されました。


クラスのみんなガヤガヤしながら
それぞれの自己紹介シートを見ていました。


私もほかの生徒達の自己紹介を
覗きに行くと
クラスで1番可愛いアミちゃん(仮)
笑いながら話しかけてきました。











「肉じゃなくて
お肉って書き方、上品でウケるね!」




…え?


上品?


大人になってから
「上品」は褒め言葉ですが
中学生男子にとって上品と思われるのは
なんか嫌なのです!!


悪い男に憧れる年頃なのです!


女子からは
「クール」だとか「ヤバい奴」だとか
「イケてる」とかって思われたかったのです。


「上品」な男子より
「悪い」男子のほうが中学生はモテるのです!!





私は心の葛藤やお肉だなんて
書き方をしてしまった後悔を隠して

ポケットに手をつっこみ
眉をハの字にし
「ふ~~ん」
少し悪ぶりながら
アミちゃんに返事をしました。



それ以来
何が悪かったのかわかりませんが
アミちゃんが話しかけてくれることはありませんでした。



やっぱり自己紹介って難しい…







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