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由希子 第4話

おととし、新入社員で同じ部署に配属された後輩と最近、
昼食を一緒に食べるようになった。

仕事が立て込んで自分のデスクで昼食を済ませることが多くなり、同じチームの彼女も、最初の頃はいつも違う部署の同期と食べに出ていたみたいだけど、それも段々機会が減り、隣の席同士、食べながら業務外のお喋りをするようになった。

私が34の時に22歳の彼女が入ってきたので、かなり歳の差もあるし共通の話題があるように思えなかったけど、オシャレが好きな子でオススメのコスメや美容グッツを色々教えてくれたり、芸能ネタや話題のスポットや流行っているもの・・・話題が豊富で聞いていると楽しい。

彼女ももう入社して三年目、仕事の悩みも同じ目線で話せるようにもなったし、はじめは遠慮がちに話をしていた彼女も、最近では「先輩!先輩!」と積極的に話かけてくれるようになって、素直に慕われるのはうれしい。

プライベートの話もしてくれる。

彼女は私とは対照的に恋愛に情熱的。
そして純粋、そう思える。

小悪魔テクだのなんだの恋愛テクを語ったり、彼氏の不満だとかあれやこれやと話ているけど、たぶん恋愛に対してすごく純粋なんだろうと思う。

見た目で判断は良くないとはいえ、話す前はそういう印象はなかったけど
相手にも純粋な愛を求めるそれ以上に、自分が愛情を注ぐ・・・そんな可愛い子だと思う。

それに比べ自分は冷めている、

というか
そんな気持ちがどんなだったかも忘れかけている。

純粋さ、そんなものは男女関係において一番求めても手に入らないものなんじゃないか。
両想い、すら存在しないんじゃないか―

なんて思ってしまっているくらいだ。

どちらかに気があって、それを拒む理由がなければ成立している、
そんな関係しか大人になってからは自分は知らない。

だから彼女を見てると、自分がどれだけ心がくすんだかってことを改めて感じる。

恋をすればくすんだ心も色を取り戻せる・・・?

恋、

なんてワードを口にするのも躊躇するような自分に
一瞬だけでもそんな気にさせてくれる、若いパワーって
ああ、なんて素敵なんだろう。


でも。

自分が自分じゃなくなるのが一番、ヤだ。
そんな風に思っている自分は、彼女のような恋愛はできないだろう。


この先も、きっと・・・


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