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吃音(きつおん)の当事者で専門家ではありません. 現在は社会人2年目. ツイートは個人…

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吃音(きつおん)の当事者で専門家ではありません. 現在は社会人2年目. ツイートは個人の見解 読んだ本(主に吃音, 発達障害)の感想を紹介するブログやってます📚

最近の記事

過去のプレゼンテーション資料を公開しました

大変お久しぶりです。 ものくろです。 最近は本の紹介をできておらず、申し訳ないです。 理由はここ数ヶ月忙しくなってしまい、書評を書くエネルギーが残っていなかったというのが大きな理由ですが、自分で読んで満足してしまうことが多くなってしまったことも理由だと思います。 最近読んだ本の紹介(雑談)最近読んだ本を紹介しますと、 『認知行動療法と精神分析が出会ったら―こころの臨床達人対談』 『精神分析と脳科学が出会ったら?---免疫細胞が生み出す快と不快の不協和音』 『精神分析

    • 『ハイパーワールド 共感しあう自閉症アバターたち』を読んでみた

      こんにちは。 ものくろです。 はじめに今回は、池上英子(2017)『ハイパーワールド 共感しあう自閉症アバターたち』NTT出版を読んでみての感想となります(かなりのネタバレを含みます)。 本書について 本書では、ニューヨークを拠点に活動する社会学者の池上英子先生が「Second Life(セカンドライフ)」というメタバース(仮想世界)で、自閉症のある人(自閉症アバター)をエスノグラフィーという手法を用いて観察した本となります。エスノグラフィーとは、Wikipediaによる

      • 『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んでみた

        こんにちは。 ものくろです。 はじめに 今回は、東田直樹(2016)『自閉症の僕が跳びはねる理由』角川文庫(原著は2007年に書かれています。)を読んでみての感想となります。ただ、単なる紹介ではなく、自分の感覚と絡めて紹介していきたいと思います。 僕は「当事者研究」に憧れがあり、自分でもやってみたいとは思っているのですが、僕の鈍感なセンスでは感じていることを高精細に描くことは非常に難しく感じています。そのため、本書の力を借りて少しでも自分と向き合いたいという思いで今回のn

        • 変化を起こす:スティグマを減らすために、私たちはどのように協力できるか マイケル・P・ボイル

          本記事では、Stammering Pride and Prejudice Difference not Defect(吃音プライドと偏見 欠陥ではなく差異)から第11章 Making change happen: How we can work together to decrease stigma Michael P. Boyle(変化を起こす:スティグマを減らすために、私たちはどのように協力できるか マイケル・P・ボイル)を紹介します。 まず、著者のマイケル・P・ボイル

        過去のプレゼンテーション資料を公開しました

        • 『ハイパーワールド 共感しあう自閉症アバターたち』を読んでみた

        • 『自閉症の僕が跳びはねる理由』を読んでみた

        • 変化を起こす:スティグマを減らすために、私たちはどのように協力できるか マイケル・P・ボイル

          水ダウについて思うこと

          こんにちは。 ものくろです。 今話題の水ダウ(水曜日のダウンタウン)視聴しました(方法は聞かないでください笑)。 インタレスティングたけしさん(以降、インたけさん)の人柄の良さと、そんな後輩を可愛がっている先輩芸人の優しさを感じました。 吃音当事者としてのバイアスがかかっているのでニュートラルな視点ではありませんが、彼が言葉を繰り返しながら話しても笑わずに聞いてくれる先輩の姿はとても印象に残りました。 しかし一方で、ワイプ上の霜降り明星の粗品さんの反応などはあまり気分

          水ダウについて思うこと

          『自閉スペクトラム症を抱える子どもたち 受身性研究と心理療法が拓く新たな理解』を読んでみた

          こんにちは。 ものくろです。 今回ご紹介する本は,松本拓真『自閉スペクトラム症を抱える子どもたち 受身性研究と心理療法が拓く新たな理解』,金剛出版,2017年。です。 本書を選んだ理由は,ウィングとグルード(Wing & Gould, 1979)の自閉スペクトラム症の対人関係の3パターンである孤立(aloof),積極奇異(active but odd),受身(passive)の3グループの中で,一番見過ごされやすい受身グループに特化した内容であるからです。①孤立は他者に関

          『自閉スペクトラム症を抱える子どもたち 受身性研究と心理療法が拓く新たな理解』を読んでみた

          Stuttering and Tokyo Ghoul

          Hello. I am Monochro. This time, I would like to share my thoughts on reading Chapter 1, Self-advocacy for people who stammer, from "Stammering Therapy from the Inside (STI)" (It has little to do with the text.) Please refer to the followi

          Stuttering and Tokyo Ghoul

          吃音と東京喰種

          こんにちは。 ものくろです。 今回は、『Stammering Therapy from the Inside(STI)』から、第1章 Self-advocacy for people who stammer(吃音のある人のためのセルフ・アドボカシー)を読んでの感想となります(本文とはほとんど関係ないです笑)。 ですので、セルフ・アドボカシーについては以下のKaienさんの記事を参照してください。 題名にある「吃音と東京喰種」とは一体どういう意味なのかと疑問に思われるかと思

          吃音と東京喰種

          ASDを抱える人のためのサイコドラマとTRPG

          こんにちは。 ものくろです。 今回の記事では、以前紹介した『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』の「第3章 サイコドラマの視点からの自閉スペクトラム症のある人へのアプローチ」、「第8章[2] 自閉スペクトラム症のある人を対象にした会話形ロールプレイングゲーム(TRPG)を通じた楽しいコミュニケーション」を読んだ上で、僕なりの解釈をざっくばらんにお話していきたいと思います。 結論から言えば、ASD(自閉スペクトラム症)のある人は、他者目線で物事を見る

          ASDを抱える人のためのサイコドラマとTRPG

          Stammering Therapy from the Inside: New Perspectives on Working with Young People and Adults (内側からの吃音治療: 吃音のある若者や大人と接する際の新しい視点)を読んでみよう!

          こんにちは。 ものくろです。 本記事では、Carolyn, C., Rachel, E., & Sam, S.(Eds) (2013). Stammering Therapy from the Inside New Perspectives on Working with Young People and Adults. J&R Press.を紹介していきます。 Stammering Therapy from the Inside(STI)は、Stammering Pri

          Stammering Therapy from the Inside: New Perspectives on Working with Young People and Adults (内側からの吃音治療: 吃音のある若者や大人と接する際の新しい視点)を読んでみよう!

          『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』を読んでみた

          こんにちは。 ものくろです。 今回ご紹介する本は、倉光 修(監)『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』、金子書房、2021年。です。 本書を選んだ理由は、自分自身にASDの傾向があると自覚しており、青年・成人のASDへの治療法に興味があるからです。 ASD児の場合、ABA(応用行動分析)やTEEACH(自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育)などがありますが、成人のASDに対する治療法はあまりパッとしない印象で

          『自閉スペクトラム症のある青年・成人への精神療法的アプローチ』を読んでみた

          『ニューロダイバーシティの教科書 多様性尊重社会へのキーワード』を読んでみた

          お久しぶりです。 ものくろです。 今回は、一度『Stammering Pride and Prejudice Difference not Defect』から離れて、最近読んだ中で面白かった本をご紹介していこうと思います。 今回ご紹介する本は、村中直人『ニューロダイバーシティの教科書 多様性尊重社会へのキーワード』、金子書房、2020年。です。 そもそも「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」とは何なのでしょうか? 自分なりにざっくりと説明すると、「そもそも脳(人間)

          『ニューロダイバーシティの教科書 多様性尊重社会へのキーワード』を読んでみた

          #4 傘:吃音のある人の平等 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          こんにちは。 ものくろです。 今回は、前回「10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community #3 吃音コミュニティにおける峡谷」の続きからになりますが、第10章は本記事#4で終了となります。 傘:吃音のある人の平等 雑談になりますが、「Disability is an umbrella term covering impa

          #4 傘:吃音のある人の平等 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          #3 吃音コミュニティにおける峡谷 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          こんにちは。 ものくろです。 今回は、前回「10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community #2 盲人と象:吃音における社交不安」の続きからになります。 吃音コミュニティにおける峡谷 峡谷とは、2つの崖の間に存在する深い裂け目のことです。峡谷の片側から反対側へ渡ることは簡単なことではありません。峡谷のどちら側に立つかは、自

          #3 吃音コミュニティにおける峡谷 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          #2 盲人と象:吃音における社交不安 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          こんにちは。 ものくろです。 今回は、前回「10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community #1 導入編」の続きからになります。 盲人と象:吃音における社交不安 読者の方々は、「群盲象を評す」ということわざを聞いたことはあるでしょうか? 数人の盲人が象の一部だけを触って感想を語り合う、というインド発祥の寓話から由来してい

          #2 盲人と象:吃音における社交不安 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          #1 導入編 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community

          お久しぶりです。 ものくろです。 前回の記事からだいぶ時間が経ってしまいましたが、第10章 Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community(一致団結。吃音コミュニティにおける象、峡谷、傘の存在)をご紹介したいと思います。 第10章は、パトリック・キャンベルがアン・パックマン、グラント・メレディスと共に議論を進めていく形式になっていま

          #1 導入編 10. Coming together in collaboration: Elephants, canyons and umbrellas in the stammering community