パシフィック・リム アップライジング

 前作と比較するとあまり良くないという評判を聞いていたが見てきた。いや、言われるようなヒドい映画ではないと思う。

 自分が気に食わないのは、最終決戦の行われるトーキョーの街に簡体字(中国大陸で使われる文字)の広告看板のある点だ。気にしなければ通り過ぎる問題だし、一見「よくある間違えた日本」のようにも見えるがおそらくそうではなかろう。

 前作の「萌と健太 ビデオ」は正しく日本語で間違っているからだ。これは他の映画でもそうで「居酒屋 だるま」とか「カニラ対ハブラ」とか、なんかおかしいけど「日本」にはなっている。明確な中国を描写して「日本でござい」ってのは少なくなっているんじゃないだろうか。

 今回の作品のカイジュウにも「ハクジャ」、「ライジン」があるが、これを中国っぽい名前にする事もできたはずだ。

 設定では2035年という事になっているようだ。私は「日本にも簡体字の看板が立てられる未来が来る」とスタッフが予測したと見た。もはや日本はアジアで特別な国ではない。ワンオブゼムである。中国系の大会社の本社が東京に建てられる時代も遠くないかもしれない。

 そのトーキョーの街と○○○の距離が近すぎるという指摘があったが、これはスーパーロボット系の作品を見ているガイジンさんの感じる距離そのものだろう。実際飛行機で日本に戻ってくると、このくらいの距離に感じる。

 前作は「神」であった。日本のスーパーロボット作品を理解し、インスパイアされ、「ロケットパーンチ!」「ブレストファイヤー!」な作品であった。その辺は確かに違う。

 主人公のジェイクは多少のブランク描写はあるものの、あまり難しくない感じでイェーガー操縦士としての勘を取り戻す。もう少し葛藤があってもと思う。いや、ストーリー上、その辺は彼がしっかりしなければならない部分はあるのだが。

 各イェーガーの必殺技の描写も充分とは言えない。終始力技で戦っている感じである。そこがいいのだが。

 今回良かった点というと、ボスボロット的ポジションのメカが出てきた所だった。これがそこそこ活躍する。ジャンクから作られた未登録イェーガーがあるという設定は面白いと思った。この「ジャンクからせっせとメカを作る」というのはガンダムシリーズにもあった。

 マジンガー的というと、スクランダー以前に飛行するのに使ったようなモノも登場する。

 全体的に今回はあまり1970年代のスパロボ、怪獣モノ、ウルトラっぽくは無かった。どちらかというともう少し後の時代だろう。「機動警察パトレイバー」の「廃棄物13号」、「新型のOSの暴走」、「『お披露目』の場に現れる正体不明の漆黒の機体(水中行動もたやすい)」、「セイバー・アテナの頭部って・・・」だったり、「新世紀エヴァンゲリオン」の「未来的VTOL」、「エヴァンゲリオン参号機」、「量産型無人機」、「避難用シェルター」を感じさせるシーンがあった。

 そういえば「味方側の発する光が青、敵側の発する光が赤」というのは「スター・ウォーズ」にもあったが「ガンダム00」を思わせる。銃座がある機体(もはや精神の同調とか関係無い)というのは「リアルロボット路線」だろう。

 ニュート博士のエピソードなど、全体的にもう少し掘り下げて欲しかったが、テンポを優先したのだろう。

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