僕がむちゃくちゃ好きな歌詞の話

 こんばんは。寒いという言葉に会話を侵略される季節がやってきましたね。個人的にも楽曲制作に必要なインスピレーションが鈍る時期で、毎年noteに冬嫌冬嫌書いている気がします。こんな時こそ!素晴らしい名曲の素晴らしい一節に酔いしれて恩恵を賜ろうと!そんな訳ですよ!つらつらと書いていくので読んでもらえたら嬉しいです。

1.優しさ-藤井風

ちっぽけでからっぽで 何も持ってない
優しさに触れるたび 私は恥ずかしい

優しさに殺(や)られた あの人の木陰で

 一曲目は彗星の如く現れた天才-藤井風さんの名曲『優しさ』。これがもうね...やばいんですよ...曲が良いのはもちろんのことなんですけど、この上記の三文に僕はやられました。そもそも優しさってタイトルは抽象的かつ大きすぎて、一人のシンガーソングライターが背負うには少し重すぎると思うんですよね。表層的な歌詞になればなるほど優しさって言葉が偽善っぽく聞こえる。でもこの曲は違うんです。優しさに触れた私は「嬉しい」でも「好き」でもなく『恥ずかしい』と感じたわけです。彼女の心情風景が透けて見えますね。相手からの優しさを享受する資格が自分にはない、そんなこと言ってしまう彼女には現実的にも精神的にも余裕はなかったはずです。

 そんな彼女がその優しさに抱擁された時、殺(や)られたと表現する。このイメージの対比が美しく、技術的にも感服させられます。藤井さんが孤独の中に見出した救いを本当に感じないとこんな言葉は出ないんじゃないでしょうか。

2.さよなら前夜-ヤユヨ

左側が無音のイヤホンから 
わかって欲しかった 恋の歌

 僕が歌詞を書く時に大切にしているのが一文目の吸引力。最強のキャッチコピーであると共に、状況や人間関係の説明にもなっていれば言うことないのだけど、『さよなら前夜』の一文目はスゴイ。わかって欲しかった恋の歌というくらいですから、恋の歌をわかってくれない=自分の気持ちを理解してもらえなかった、と捉えることができます。そして...左側が無音だと、カップルが一つのイヤホンをお互いの右と左の耳につけて同じ曲を聴く例のやつ、ができないじゃない!!!女の子の気持ちの方が強く、男の子の関心があまりないことの比喩になっています。うまい。なあなあの関係に終わりを告げるさよならの前夜の曲。

3.とびましょう-AL

開始5分でシュートを決められた
SAMURAIたちの表情と
君の悪戯に無邪気な失望を見つめながら
とびましょう

 天才かな?言わずと知れた伝説の3ピースバンドandymoriと盟友である長澤知之が組んだバンド『AL』。快活に進行するこの曲におっ、と耳を持っていかれたパートがあった。正直、特に理由とかないんですけど、僕はこういう相反するイメージを持った言葉が並ぶ歌詞が好きなんですよね。奥行きというかリアルというか。本人がとても良いことをしているつもりが、受け手にとってとんでもない苦痛になっていたりすると誰も責めることができないし、そういうのってあるよなぁと感心すらしてしまう。この曲はとびましょうとびましょうをずっと繰り返して、合間にお小遣いをもらって河川敷を走れーとか、金木犀におはようと呟く君とか幼気なイメージのものが出てくる。そして終盤に上記の歌詞。ちょっとピリっとくる失望という言葉のチョイスと絶妙な描写がたまらない。大人から逃げたけりゃ、とぶしかないのさ!


 沢山書けて満足です!!さぁ!仕事に取り掛かるぞ!!みんなもいい歌詞があったら教えてね!!

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