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iPS細胞で動く心臓

大阪万博が開催されるかどうかも危ぶまれていますが、おそらくされるでしょう。そこでの目玉がiPSで作られた動く心臓だそうです。確かに目玉になりそうだ。

さて、皆さんはiPS細胞をご存知だろうか?

iPS細胞は未分化な細胞だ。今まではiPS細胞以前は未分化な細胞を持ってくる場合は、ES細胞と言って受精卵から持ってこないといけなくてどうしても倫理的な問題をはらんでいた。
ちなみに未分化な細胞というのは何にでもなれる細胞のことでそこから分化、つまり各々の仕事ができる細胞になっていくのだ。ときには骨の細胞であり、ときには筋肉の細胞であり、ときには各種内臓の細胞になるということだ。
iPS細胞のすごいところは1度分化した細胞を4つの遺伝子を入れることによって、未分化な細胞に戻すことに成功したのだ。その結果、倫理的な問題もクリアしたし、免疫反応の問題もクリアした。

iPS細胞には難しいポイントがある。それは未分化な状態を保つことだ。このためには24時間おきにある液体をかけないといけない。これを怠るとどうなるかというと、分化始まる。そして最初に分化するのが神経細胞と心筋の細胞なのだ。

薄いシャーレの上でiPS細胞を培養していたら薄い膜状のものがうっすら脈打ち出す。比較的最初に治験が多いのが心臓にまつわるものか神経細胞にまつわるものが多いのはそのためだ。しかも心臓はなぜかがんにならない。この手の研究で困るのが、人体に入れたときに制御できないことだ。細胞分裂を制御できていない状態をがんというのだ。このあたりの心配が比較的少ないと言える。もちろん全く心配がないとは言えない。

それを分厚い組織ぐらいで動いているのを見せるのか、心臓の形まで持っていくのかはわからない。心臓の形まで持っていくことはおそらくないと思うが、立体の組織っぽいものにはするのではないだろうか。

僕が研究していた頃は3D培養が難しく、めちゃくちゃ大変だった。ちなみに僕は3D培養をしていたから苦労はよくわかる。しかし、3Dプリンタができて、それが生物学系の研究に持ってこられたことによって劇的に流れが変わったのだ。

豚の心臓を移植されたひとはなくなったが、もしかしたらiPS細胞で心臓の病気を克服できる日はそんなに遠くないのかもしれない。

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