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視線の中に感じるもの

私はある種の年上女性に嫌われる。

街なかでのすれ違いざまだったり、たまたまエレベーターで一緒になったほんの束の間のことだったり。話しかけられることはなく、突然視線がぶつかる。その表情に好意的なところはまったくない。知らない人達なので普段の生活に影響はないけれど、いい気持ちはしない。

一時帰国した時のこと。
信号待ちをしていると、数メートル先に立っている小柄な女性が値踏みするかのような冷ややかな視線を送ってきた。
またかと思いながら受けてたつ。

見ず知らずの相手に、なぜこんなにも強気でくるのだろう?
心の中で彼女を分析する。相手が凶器を持ってないなら、私のほうが心身ともに強いことはわかっていた。

『あなたのいじめターゲットに私はならないからね』
そんな念を送っていたら、向こうから目を逸らした。狙った獲物をとり逃がした動物のようにゆっくりと去っていった。

あの執拗な視線に相当な年季を感じる。
自分より弱そうな相手を見つけ、力を誇示するために蛇のような粘着ある視線を放つ。理由は割と単純で、日本人らしくない私の外見が目障りだっただけかもしれない。
だけど、知らない相手に威圧的になったところで自身の力が高まることはないし、心に抱える問題を解決することもできない。

普段のコミュニティ外で心の闇を吐き出す。
面識ない相手だから匿名のままでいられる。
そこに自己肯定感の低さが見え隠れしている。
ネットや若者だけのお話ではない。


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