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ファンキーな真夏の夜に

旧盆あとの日曜日。
夏休みも残すところ10日あまりという頃、地元のお寺の境内で毎年盆踊り大会が開催されていた。狭い庭に小さなやぐらが組まれ、提灯やちり紙で作ったバラの花が飾り付けられる。

この夏の夜のビッグイベントはのど自慢大会。当時小学2年生だった私は、同級生の女の子と二人でピンクレディーの『渚のシンドバッド』を歌った。おじさん、おばさん達は演歌で競い合う。美声で知られたおばあちゃんの
民謡などもあってそこそこ盛り上がっていた。

全てが終了した後、特別参加として高校生バンドが登場した。本堂にドラムやスピーカーなどが設置され、中央にマイクスタンドが一本。
そこへ、ちょっとグレ気味という噂の近所のお兄さんと一緒に見知らぬお兄さん達が現れた。

何が始まるのだろうかと興味津々だった。近くで見たくて、上がり口の隅にひとりで座った。ボーカルはなかなかハンサムなお兄さんだったし。
ドラムのカウント音がして、大音響で流れた曲は初めて聞くものだった。
それがキャロルのファンキー・モンキー・ベイビー。この高校生バンドが
上手だったかどうかはわからない。ただ、ボーカルと曲に小学2年の女の子が魅了された。圧倒された。ドキドキときめいた!

ファンキー・モンキー・ベイビーは私の中で一線を画した。日本語なのにクール。ちょっと妖しげで色っぽい。でも、誰にも言わなかった。言ってはいけないような気がしたのだ。田舎の盆踊り大会には似つかわしくないと、周りの大人達はきっと顔をしかめていただろう。バンドの参加はこの年の一回きりだったことでもわかる。
だけど、あの夏の夜に境内に響いたロックンロールは、一夜だけ小さな恋とともに胸の奥に大切にしまっている。





こちらの動画で、当時の若者の反応を参考にして下さい。



今回こちらの企画に参加しました。


ボーカルのお兄さんは好きなアイドルの一人です♪
名前も顔も覚えていませんが(笑)


#あなたのアイドル


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