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CANYON Aeroad CF SLX 8 Di2 2023年版 Vol.1 購入編

CANYON はロードバイクに乗っている人なら当たり前に知っているドイツのメーカーではないかと思う。ただ自転車に興味がない、もしくはスポーツ自転車の入り口にしか立っていない人には未知のブランドである、というレベルを乗り越えられてもいないのではないだろうか。

それは別に不思議でもなんでもない。
通販で数十万、場合によっては100万円を超える金額をカード決済せよ、と言われて鼻白まない人は殆どいないであろうし、その最初のステップを超えて初めてドイツ本国からはるばる届けられるからだ。

グランツールでナイロ・キンタナ(クインターナ?)がクライマーとして当確を表し始めた頃、彼が操っていたのがモビスターに供給されていた CANYON の Ultimate だったかと思う。モビスターといえば往年の名選手としてアレハンドロ・バルベルデの名前も思い出深い。
現代においてはアルペシンとマチューの組み合わせの方が印象に深く、プロモーションも彼を中心に行われており、マチューがロードで主バイクとしているのがこの Aeroad CFR であり、その系譜の先にいるミドルグレードが所有している Aeroad CF SLX になる。

2023年の春、私はロードバイクの世界に再び足を踏み入れ ANCHOR をリストアして乗ってみたわけだが、浦島太郎になっている間にどうも世界はいくつかのトレンドがあるらしい、ということを知った。

  • エアロ化

  • 電動コンポーネントの普及

  • ディスクブレーキ化

  • タイヤのワイド化

例えばタイヤのワイド化などはブレーキをディスクブレーキ化したことによるリムのワイド化が可能になったことによる副産物であろうし、リストには書かなかったがケーブルがフル内装化することも可能になったのはエアロ化のトレンドに先にあると言える。

そうなると最新のバイクも試してみたいし、ANCHOR は練習用機としてイベントやホビーレースに出るならモダンなバイクも1台あってよかろう、という気持ちで調査を開始した。

…そして値段に驚愕した。全てが高い。
買えないとは言わないが、何やら全てが倍くらいの値段になっているイメージといえばいいのだろうか。
コスパで皆さんの味方と思われていた GIANT や MERIDA でも全然安くはない。そして調べていくうちに中華と呼ばれる新興メーカーの勃興を知ることになるのだが、それは別稿に譲る。

話が逸れたが CANYON である。まあ当然値段は高くはなっているが、他のメーカーのバイクと比較すると別に相場内の安い方に分類されることはわかった。それは浦島太郎になる前からそうだったので不思議はなかった。
であるならば Ultimate か? と最初は考えたわけだが、それは出戻り一般ピーポーライダーがエアロロードバイクなど片腹が痛かろう、と思ったからである。
だがどういうわけか CANYON が全世界で売れてるらしい。全く在庫がない。サイズの合わないサイズばかりが処分プライスで売られていたものの、172cm の私の身長に適する S や XS のサイズがさっぱり無いのだ。
一ヶ月待っても二ヶ月経ってもさっぱりない。

剛を煮やして ELVES の FALATH EVO をバラ完してやろうか、と90%くらいまで気持ちが高まっていたところで、不意に Aeroad CF SLX Di2 8  のペールグリーン XS が在庫アリ、になった。

自分の少しぽちゃった腹でエアロロードに乗る、だと?
モビスターカラーのフレームが欲しいのではなかったか?

おそらくキャンセルや返品など訳あり品が在庫として陳列されたであろう、という予測はついた。となるとフレーム数は1本や2本程度のごく少数でしかないだろうし、購入希望者は日本に限らずワールドワイドでその本数を争うことになるので猶予はない。

しかしプライスタグは70万円を超える値段が付いている。
リアルで家の中をウロウロしながら30分ほど迷い、着座して即座に購入プロセスを完了させた。

まあ元々カラーリングはそんなにこだわりが薄い。だいたいモビスターカラーは CFR じゃないと売ってないし、値段はさらにあがるし、フレームは素人には固すぎるレベルになるだろうし、パワーメーターは最初からついているし、ディープリム(F50mm R60mm)で追加の投資もいらないし、見れば見るほど最初からほしいものは95%くらい完成車として送られてくる。
買わない理由は値段以外になかった。なので決断に至るまでの迷う分岐路は殆どなかった。

注文して届くまで一ヶ月くらい、ということだったのでGW明けに注文したため届いたのは6月に入ってから、関税としてクロネコヤマトに6万くらい追加で料金を支払って無事に受け取った。

アンボクシング、と英語で言うようだが日本語で言えば開封して説明書にしたがって組み立てていく。
そうすると予想通り、これが原因だろうなという不具合が見つかった。

はげとる

フロントフォークに塗装のハゲがある。
これをTwitter上で投稿したところ、CANYON Japan からメンションで連絡を求む、というアクティブなサポートがあり、額面は言えないが利用に問題がないので購入金額から一部返金することでどうだろうか、という提案をいただいた。それで了承し、現在も禿げたところに少しタッチペンで誤魔化したまま乗っている。

それとこれは私の想像でしかないので、批判でもなんでもないのだが、日本ユーザーは右手が前ブレーキ、左手が後ろブレーキの設定で乗っている。理由は知らないが昔からそうで疑問に思ったこともない。
しかしどうも最近知るまでわかっていなかったのだが、海外ユーザーの大半は左右が逆で左が前ブレーキらしい。
そして CANYON では日本向けの出荷について、わざわざ右前左後に組み替えて送ってくれているようである。(だからある程度時間がかかっているのだろう)

今回のバイクはディスクブレーキ仕様なので、ブリーディングと呼ばれるエア抜きが必要なわけだが、どうにもこうにもリア側のブレーキレバーの感触が右と違った。簡単に言うと遊びが大きく、フィーリングが悪い。
組み替えをしてちゃんとエア抜きせずにサッと送ったか、飛行機の空輸中に気圧差などで何かが起こったか、どっちかであろうことは予想がついたので仕方ないと諦めも早かった。

結論を言えば己でブリーディングを左右ともやり直す必要があったわけだが、自転車をある程度いじっている(技師資格はない)私だから「まあなんとかするか」と思えるのであって、昔から「CANYON なんて持ってくるんじゃねえぞ!」って息巻いてる自転車があることを知っている私からすると、最近のウェルカムな雰囲気の店舗があること自体が隔世の感があるのだが、それは間話であろう。
ともあれ整備を届いてからもある程度は覚悟する必要があるんだな、ということは知ることができたし、そりゃそうだろうねとも思う。だからこそ一般の整備知識がない人からすると CANYON を選択肢にすることが難しかったわけなのだが。

エア抜きキリがないねん…

メンテナンス用のスタンドであるとかブリーディングキットであるとか、ミネラルオイルも含めて準備は簡単ではない。しかしまあ己の命を乗せて走るものを己の責任において整備することが必ずしも悪いとは思わない。

ただまあエア抜きは結構ダルい作業の範疇に入るのでなるべく頑張った。
おかげで昨年の初夏にやってから1年近く、各所を走ってロングライドもレースも経験したがフィーリングはカチッと決まったままで、ディスクブレーキの恩恵を受けて走れている。作業の経験値もたまった。遠からず経年劣化したミネラルオイルの交換も比較的スムーズに行えることを期待している。


そしてご近所の試走を数回短距離繰り返し、しものせきクリテリウム2023の60分エンデューロにて実戦デビューしたわけだが、そこで早速試走中に子供をよけたら落車したのは苦い思い出。ブラケットのゴムが少しちびたくらいで影響は特になかったですが。

長くなったので、Vol.2 へ続く。

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