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今月よく聴いた音楽10枚(2022年11月)

ORIGINAL LOVE / MUSIC,DANCE & LOVE(2022)
11月にリリースされた新作の中で、聴いていて、作品の中から一番熱量を感じて気分が上がったのはORIGINAL LOVEのニューアルバムだったかもしれない。60年代以降の“SOUL MUSIC“と呼ばれるジャンルの音楽がそもそも抱えてきたディープなフィーリングと、氏の今なお衰えぬ熱き音楽に対する探究心と、昨今スルーすることができない社会情勢に対する視線がガッチリと合致した力作。それでいて名曲「接吻」新録やTENDOREとのコラボなど、洒落感も忘れてはいないところが大人な感じ。ニクい。

Sobs / Air Guitar(2022)
シンガポールのインディポップ・シーンを軽やかに先導するSobs。彼女らの4年ぶりとなる2ndアルバムのキラキラとした突き抜けっぷりが痛快すぎてたまらない。80年代のニューウェーブサウンドや90年代の渋谷系やパワーポップ、それ以降のドリームポップなどのもっとも美味しいテイストを切り取り紡ぎ切る折衷感と、そのサウンドを“ポップソング”として鳴らし切る潔さが、胸と耳にキュンとクる。

TIME IS  AWAY / BALLADS(2022)
NTSラジオで活躍するJACK ROLLO、 ELAINE TIERNEYから成るデュオTIME  IS AWAYが“バラッド”をテーマに選んだ楽曲のコンピレーション・アルバムを繰り返し聴いている。ただ美しいだけでなく、ロマンティックかつ奇妙なエキゾ感が伝わってくる楽曲が絶妙な曲順でセレクトされていて、このアルバムを深夜から朝方にかけて耳にしている時間は深淵で贅沢なひととき。

sugar me / Independent(2018)
2018年に、Paris - Tokyo Single Clubという企画で7inch盤としてリリースされていたsugar me「Independent」。そのMVがYoutubeで公開されたこともあって、11月はsugar meの作品を聴き返す機会が多かった月でした。淡々したビートと、抑揚を利かせつつ挑発的かつ頑なさを感じさせる彼女の声が合わさったときの説得性から、私の耳は逃れることはできなかったのです。

For Tracy Hyde / Subway Station Revelation(2022)
ボーカルにeureka嬢を迎え入れてから、今まで“東京”や“アメリカ”などコンセプトを固めてアルバムをコンスタントにリリースしてきたFor Tracy Hyde。先に配信リリースされた「Milkshake」や今月リリースされた「Subway Station Revelation」、それに12月にドロップされるアルバムに先駆けて公開された動画トレイラーをみても感じたことだけれど、今まで彼らを語るときに付き纏っていた(自身でそう選択していた!?)シューゲイザーやドリームポップ、渋谷系といった括りともいよいよお別れの時期に来ている気がする。それらのジャンル性は礎にしつつも、その範疇に収まりきれないスケール感とバンドサウンドとしての強さを結実させてきているような。そういった意味で、もうすぐリリースされるアルバム『Hotel Insomnia』は彼らの真の代表作となるのではないか、と期待している。

Sunny Day Service / DOKI DOKI(2022)
なんだろうね、この作品を聴いて感じてしまう「何処かへ誘ってくれる」感は。その“何処か”とは、本来永遠には続かないであろうパンクロックの刹那の果てなのかもしれないし、または脈々と途切れることなく鳴らされ続けてきたロックンロールの世界なのかもしれないし、或いは簡易な言葉で綴られる文学性を帯びた日本語ギターロックのその先、なのかもしれない。いずれにしても、僕はまだまだ鳴り止まない彼らが生み出すロックの魔法にかかりながらDOKI  DOKIし続けるだけなんです。WAKUWAKUするだけなんです。ただそんだけ。

THE GENTLE WAVES / Swansong for you(2000)
寒さが次第に体に沁みてくる、秋から冬の季節にかけて。または、人の気配のしない静かな深夜から朝方にかけて。そんなときにさほど大きくない音量で聴くならこんな音楽が素敵なのではないかと思う。アンニュイが故の優しさと美しさを内包したイザベル・キャンベル嬢の声。そこに自然に寄り添うアコースティックでノスタルジイなサウンド。そこにあるのは繊細で質実な音楽の良さ。それを堪能できる時間は、実は贅沢なひととき。

V.A. / SERENE No.1 Music seleted by HIROSHI FUJIWARA(2022)
CD盤としては、2005年『HIROSHI’S KICK BACK(PRIVATE MIX)』Vol.1,2以来のリリースであろう、藤原ヒロシ氏セレクトによるコンピレーションCD。年代やジャンルにとらわれることなく、氏の耳とセンスによってチョイスされた曲たちによるメロウ感が、やはりたまらなく良き。今回は今までよりフィメール・ボーカル物のピックアップ率が高いかも。レターセットのようなパッケージ・デザインもさりげなく凝っててニクい。

スチャダラパー / WILD FANCY ALLIANCE(1993)
11/19に下田・白浜で開催された音楽フェス「Shimoda to Rhythm」。そのトリがスチャダラパーということで、今月はスチャダラ聴き率が高い一ヶ月だった。ひと通り今までのアルバムやシングル群を聴き返してフェスに臨んだ訳だけれど、思っていたよりメジャーデビュー直後の頃の曲が多くて、ノスタル爺になりつつも楽しきひとときを満喫。まあ、2016年発表「レッツロックオン」とかも聴きたかったけどね。

naomi & goro / ケサランパサラン(2022)
新曲3曲と「エーデルワイス」「オー・シャンゼリゼ」など耳に馴染みのあるカバー6曲が収録された『RIO TEMPO』以来6年ぶりとなるnaomi & goroの新作。「12月の雨(荒井由美)」「クリスマス・イブ(山下達郎)」といったカバー曲が、これからの季節にもフィットすることと思う。そして、ごくごく個人的な今作の関心どころは、ジャケットのイラストを、ギタリストであり画家でもある西脇一宏氏が手がけているところであったりする。

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