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無性の愛 その後

親子ほど歳の離れた男と付き合っていた

1980年代の終わり
時はバブル真っ只中のころ…

彼の名誉のために言っておくが
当時の大人たちが みんなそうであったように
すべては「お金で」
そうではない

わたしから口説いた
だって「イイ男」だった!

当時「座っただけで30万」時代の銀座

男はほぼ毎日通い
スマートに遊び
わたし好みに口数少なく

そして何より 
複雑な家庭環境で育ったわたしの
「中心部」をズコン!と射抜く人だった

生まれて初めてだったんだ
丸裸の心のままで すべてをさらけ出せたのは…


しかしそんな幸せも
時代に押しつぶされた

世の中のことなんて
まったく興味もない私でも解るほど
少しずつ「軸」が歪み始めたのを
世間知らずの小娘は
恐れ戦きながらも理解していた

男は わたし名義であちこちに「ツケ」をし
飲み歩くようになっていた

行きつけのBarの店長から電話をもらい 駆けつけた

見る影がないくらい泥酔している男を
店の外に連れ出し こぶしで殴りつけた

通り過ぎる人々の「キャッ」という奇声を背に

殴り続けた

男は植え込みに座り込み ただ殴られていた


雨が降っていた

わたしの誇りだった
愛していた
初めての「希望」でもあった


その「希望」が
ガラガラと音をたて
目の前で崩れ落ちるのを 見た

「もしもし」
男から電話があったのは 私が40歳の時

(´・ω・`)チッ
これだから「水商売」出身者に
プライベートはないのだ

どれだけすべての「縁」から逃れても
見つかったしまう…

彼は 胃ガン末期の宣告を受けていた
どうしてもと言われ「息子を連れて」新宿で会った


小さな「ふぐ屋」で食事をした
彼の息子が や○ざになってしまったこと
その影響で 奥さんが鬱病になり
現在「拒食」となっていること
そんな話をした


奥さんとは「当時」1度会っている
「わたしは貴女を好きよ」
そう言われたのを覚えている…

帰り際
おもむろに札束を「裸のまま」渡された
これに私は カチン!ときた

君はいつからそんなに「下品」になったの???

驚く息子の手を引き
「2度と連絡しないで!」
言い捨てて帰った

数日後
彼の鬱病の奥さんから電話をもらう

「バカなりに 貴女に詫びたいのよ
受け入れてくれない?」

彼女は当時でいう 「孤児(みなしご)」
ずっと孤児院で育ち
15歳の時に彼と付き合い始めた


「一途」
この二文字しか浮かばない女性…


そんな人に「お願い」されて 断るわけにもいかず
わたしは「それなりに」何度か会った


最後は見届けていない
彼も奥さんも・・・

今の人は こんな人間模様をどう思うだろう?


人は「形」より「心」

そこにしか「愛」は存在しない

そう伝えたい


#日記 #コラム #人生 #男と女 #無償の愛 #恋愛  #不倫 #別れ

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