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欲がないんじゃなくて日常が大切なんだ


彼と付き合ってすぐの頃、お互いの呼び方について話した。話したと言っても、「みずちゃんって呼んでもいい?」と聞かれたから「いいよ、嬉しい」って答えた。私は自分の名前を気に入っているから、名前は大事にしたいし呼んで欲しい。だから、彼のことも “下の名前+くん” で呼ぼうと思ったんだけど、今までの呼び方の “名字くん” に慣れすぎていて、下の名前を呼ぶのが恥ずかしくて、なかなか呼べずにいた。

恥ずかしがるところじゃないでしょ、って自分でもわかってるけど、恥ずかしくて、ぎこちなさが出てくるのが嫌でちょっと避けてる自分もいた。

その時、彼は「負担になるなら無理に名前で呼ばなくていいし、好きに呼んでよ」と答えた。
呼んで欲しいって欲とか無いのかなとふと思った。

欲が無いなと感じる場面は他にも多々あった。


◇❖◇


そして昨日は久しぶりまた、そんな話をした。
呼び方問題について。

するとまた、同じことを言われた。
「好きに呼んでいいよ」

だから聞いてみた。
「私は名前が好きだから名前で呼んで欲しいみたいに、こう呼んで欲しいとかないの?」

「確かに名前は好きだけど長いし、母親とかも適当に呼ぶし、一緒に居れれば十分だよ」

そう、返ってきた。
納得いかなくて、問い詰めるように聞いてみると、そう答えた理由がわかった。



日常を大切にしたいんだ。
いい所で食べるご飯は当たり前に美味しいけれど、そのために日常を我慢するのなら、楽しい日常をたくさん作りたい。
だから、“ちょっといい所” より “ちかくの美味しい居酒屋さん” が好きなんだ。

そこから見えてきた彼の価値観。

欲がないんじゃなくて、日常の当たり前を大切にしたいってこと。
名前も呼んでくれたら、きっとそれはそれで嬉しいと思ってくれるけれど、それが負担になるなら好きに呼んでくれていい。

一緒に過ごす
一緒に美味しいものを食べる
それをなるべくたくさん積み重ねる

それが彼にとって一番大切にしたいことなんだと思った。


そんな価値観を持つ、ほんっとに素敵なひとに出会えたなってしみじみ思った。
毎日が楽しくて幸せで、その延長線はきっと幸せで楽しい生活だ。私もそんな生き方をしたいと思う。


でもやっぱり、名前で呼びたいと思います。それはそれ、これはこれなのでがんばります。

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