ありがとう、そしていってらっしゃい・・・#2愛の呪縛からの解放についての考察


アニメ最終回放送から1週間経っても進撃ロスが抜けない。
前回の親と子についての記事以外にもさらに語りたいことがあるので、記事を書きたいと思う。今回も前回同様、最終話までの内容を把握している方向けである。

#1の記事↓

今回考えたいのは、「愛の呪縛」についてである。

愛について語る上でとても印象的なのは、数年前にNHKで放送された「深読み読書会 進撃の巨人回」である。私は放送を録画し、食い入るように観ていた。
この回に出演していた有識者らは、当時未完結だった進撃のラストをズバリ言い当てたのだ!(「進撃の巨人にまだ加わっていない要素は愛(異性愛)だから、最後は愛に帰着すると思う」と話していた)
この回は本当に面白かったし、また有識者を集めて完結後の考察を語ってほしい。

話をもとに戻し、進撃の巨人で愛の話、となると、真っ先にイメージするのはミカサとエレンだ。最初から、ヒロイン・ミカサと主人公・エレンの描き方は、一般的な少年漫画とは一線を画していたと思う。

主人公と恋仲になるヒロインというのは相場が決まっていた。男性の恋仲になるということは、ヒロインは愛でる要素(かわいらしい描写)があることが多い。ずば抜けた能力がある一方、腕力はどうしても男性には劣り、戦いの最中では主人公の弱みになってしまうというのも見かける展開だ。

しかし、ミカサは腕力でも物語随一の圧倒的な強さを誇る。これに加えて連れ去られるのは、特異な能力(巨人化能力)をもつエレンばかり。一般的な少年漫画の主人公とヒロインの役割とは逆である。

また、ミカサは愛嬌があるわけではない。常に淡々としていて、どちらかというと暗くて、エレン関係でしか口を開かない・・・。最強の力をもつ暗いヒロイン、なかなかいない。

そして私は進撃初期のころから常々感じていた。
ミカサって、エレンのどこが好きなの・・・?
ミカサはとても献身的にエレンを愛し、守っていたのが様々な場面で見受けられる。しかし、エレンはというと、彼自身のこと(壁の外への夢だったり、記憶に囚われていたり)で、あまりミカサのことを気にかけている描写が少ない気がした。
「マフラーを巻く」くらいしか、ミカサに対しての行動がないのではなかろうか。ミカサはなぜあんな化け物になってまで、彼のことをずっと好きでいられるんだ・・・。

しかし、それこそが、始祖ユミルと同じ「愛の呪縛」なのである。
最終話でエレンとアルミンの会話に出てきた「始祖ユミルはカール・フリッツ(初代フリッツ王)を愛していた」という言葉に「なんで?」と思った読者も多かったと思う。
始祖ユミルやミカサにとって、相手が自分のことを大切にしていようがしていまいが、あまり問題ではない。自分が彼のことを愛していて、彼は自分を必要しているなら十分。彼女らは愛こそが全ての原動力となっている。

始祖ユミルは自分を愛していた娘たちの存在に気付き、IF世界で王を見殺しにして、娘たちをかばう道が見えたことで成仏したのだと思う。また、私はミカサは10年後にジャンと結婚したと信じている派閥なのだが、自分のことを想う相手と幸せに暮らす選択を下すと思う。

このように、愛の呪縛や奴隷的な側面を描いて、物語の結末に持っていった進撃の巨人は素晴らしい。最後男女の情熱的なキスで一件落着、という話は多いが、主人公の生首を持ち上げて初キスをするヒロインがいただろうか・・・。

今日はこのあたりで。




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