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地磁気逆転

「チバニアン」で話題になった『地磁気逆転』。

ご記憶の方も多いかと思いますが、あらためて。
地磁気逆転というのは、地球の磁場が南北逆になる現象です。

■正式な英語は「geomagnetic reversal」

デザインの中には、少しくだけた言い方の『Polar Flip-Flop』という文字を入れましたが、『地磁気逆転』は英語で正式には『Geomagnetic Reversal』といいます。
※ちなみにflip-flopは考えや方針が急転換すること。または、1ビット(0か1のどっちか)の状態を記憶することができる論理回路のこと。

■地球は大きな磁石

地磁気とは地球が持つ磁場のこと。

そもそも地磁気はどうして発生するのかというと、地球内部の外核というところにあるどろどろに溶けた鉄の対流によって電流が起こり、そこから磁気が発生すると考えられているそうですが、詳しいことはまだはっきりと分かっていないみたいです。

現在は、北極付近が「S極」、南極付近が「N極」になっています。
「North」だから「N」と間違いやすいですが、北極は「S極」。
方位磁石の「N」が北を指すのは、北極方面の「S」に引き付けられるからですね。

ただ、これも今だからこそ。地球の長い歴史をみると、地球のS極とN極は何度も逆転しているそうです。
つまり、「北極=N極」「南極=S極」だった期間もあったわけです。

そうは言っても、ある日を境に急にくるんと反転するのではなく、だんだんと地磁気が弱くなる時期が続き(地磁気減少)、そのあと逆方向に磁場が強くなってゆくらしく、5千年から1万年くらい(!)かかるらしいです。
そしてなんと、地磁気は過去360万年の間に11回も逆転してました!

なんでそんなことが分かるのかというと、もちろん誰かが見てきたワケではなく、古い地層の岩石とかにその時代の地磁気が記録されていて、地質学者の先生たちが調べてみると「あ、この地層の年代はN極とS極が逆だったわ」となるんだそうです。一番最近では約77万年前に起こったらしい。

そしてこの、約77万年前の地磁気逆転が「チバニアン」で有名になった地層に記録されています。

■「チバニアン」は地質年代の名前

ちょっと前に、地質年代の名前に日本の地名由来の「チバニアン」が採用されたことで、すごく盛り上がりましたよね。

有名な「ジュラ紀」とか「白亜紀」とかと同じように「チバニアン」も地質年代の名前です。

地質年代区分というのは、化石や地質を見て、その特徴によって期間を分けたものです。

例えば「ここですごく生物が進化した」とか「恐竜が絶滅した」とか、それこそ「地磁気が反転した」とか、そういう地球規模の大きなイベントがあった期間を「こっからここまで〇〇時代っていう名前にしま~す」と決めているものですが、まだ名前の付いていない期間もあるんだそうです。

ところでそれって、誰が決めているのか?
今は国際地質科学連合 (IUGS) というところが決めてるらしいです。
このIUGSさんの仕事の1つとして「各年代の見本になる『基準地』を全世界の中から選んで1か所設定する」というのがあるんですね。
それで世界中の研究者は、まだ基準地がない年代の地層でいいカンジのを見つけたら、「ウチのココんとこの地層をこの年代の基準地にしてください!」と立候補するわけです。

千葉県市原市の地層を研究していた人たちが基準地として千葉を推したのも、基準地が未設定だった約77.4万年前から12.9万年前までの時代の特徴を、この地層がとっても良く保存していたから。その中でも直近(というには昔すぎるけど)に起こった「地磁気逆転」(約77万年前)の記録がすごく良く分かる地層なのだということです。

イタリアとか他の国とかからも立候補があったけど、日本の研究グループががんばって粘り強くデータを揃えて提出した結果、めでたく千葉が基準地に! 基準地に選ばれると、その地名に由来した『地質年代名』を命名することができるので、研究チームが『チバニアン』という年代名にしたというわけです。

今後もこの地層から、さらにいろいろな研究が進むのが楽しみですね。
それにしても、地球の内部でドロドロの鉄が対流してるとか、北と南が何度も入れ替わってたとか、そんな話を聞くとあらためて「地球は生きてるんだな~」と感じますよね。


ということで、今回は地球のダイナミズム『地磁気逆転』のお話でした。

このデザインのTシャツとかを置いているので、ウチのショップも覗いてくれるとウレシイです。

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