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ゴジラ-1.0 雑感想|2023年で一番面白かった邦画かも。

面白かったよ、ゴジラ!
宇野維正さんのMOVIE DRIVERを見て、ウノコレさんが面白いというならぜひ見たいと思い、映画館へ。

まず、ゴジラのビジュアルが良い。なんだあの、背びれが一個一個出てきて光るやつ。効果音もいいし、光り方も高級感のあるLEDみたいでいい。チェレンコフ放射をイメージした青なのかな。やばいことが始まったのが本能でわかる。
今回のゴジラはもう勝てっこないよ…と思うほど怖くて強いのだが、人々を絶望させる大きな要素が、あのゴジラの皮膚の感じだと思う。怒った火山のような、もはや人類と同じ生命体だとすら思えないほどの圧倒的なごつごつ、山感。
ビジュアルは、恐竜と人間の間ぐらいの二足歩行の怪獣なのだけど、光線を発した後の皮膚の下の炎のようなもののちらつき、海から上がってきた時のひび割れた皮膚の間を洪水のように塩水が落ちる感じ…もう無理だ、勝てっこない、と絶望しながらも、ゴジラの強そうすぎるビジュアルに興奮してもいた。
それから瞳が綺麗。猫みたいな丸い瞳孔で、明らかに意志を感じる瞳。ここまでくると、ゴジラのビジュアルをあそこまで堂々と白昼に見せてくれただけで山﨑監督に感謝である。ゴジラについては話題が尽きない。

それから神木隆之介さんの顔。私はアリエッティの声優以外の彼の活躍をほとんど存じ上げないのだが、こんなに特徴的な顔の人が日本の俳優にいるのかと驚いた。表情は彼の演技力の賜物でもあると思うのだが、感情が見えやすい大きな目と意思の強そうなしっかりした鼻、叫ぶのに最適な大きな口、そしてがっしりとした輪郭。なのに長時間見ていても暑苦しすぎない印象の、素晴らしいビジュアルだった。特に鼻血が出ていたシーンの汚れ方は秀逸だった。あれだけ顔を汚しても様になる俳優さんはとびきりだと思う。
戦争で死ねなかった、情けなく臆病な男として自覚しながらも、典子を簡単に組み敷くことのできる成人男の暴力性も内に持っている。その主人公の顔として、もはや神木隆之介さんの顔が最適解すぎる。ゴジラに並んで、ビジュアルが大優勝である。

そして一番好きだったところは、やはり安藤サクラさん、吉岡秀隆さん、佐々木蔵之介さん、山田裕貴さん、青木崇高さんら、キャスト陣。それぞれの持ち味に加えて、演技には山崎監督の味付けがあるように見えたが、それにしてもキャストを眺めているだけで満腹になる華々しさがあった。特に安藤サクラさんが演じる澄子は、序盤から忘れられない存在になった。次にいつ出てくるのだろう、と思うほど、私は非常に惹きつけられた。このあとは他のゴジラ映画を見てみるのも良いが、安藤サクラさんの映画を芋蔓式に見たくなった。

色々と突っ込みたくなるところはたくさんあった。そもそも終戦直後が話題なので活躍するのは皆男性で、浜辺美波さん演じるヒロインはステレオタイプ的な側面がある。ゴジラに関する疑問は山のようにある。
ただ、メタファー的な面白さや、映画史の文脈を考えずとも手放しに次の展開にワクワクハラハラさせてくれた映画を見たのは非常に久々で、私はそれにとても興奮した。
前評判では、ゴジラが男性性を表すとか、戦争で死ねなかった男が主人公とか…三島由紀夫みたいなことを言っている映画なのかなと構えていた。しかも「ゴジ泣き」って言葉をすでにXでちらほら見ていたから、ちょっと苦手な映画かも?と警戒もしていた。
だけど、良い意味で色々とスルーできるくらいとても面白かった。

できることなら記憶を消して、もう一度ワクワクしたい。何度でもあの圧倒的なゴジラにドキドキしたい。ちなみに私はDolbyで最初のゴジラ-1.0を見てしまい、もう普通の上映で満足できるか不安である。が、友人を連れてもう一度見に行きたい。これは映画館で、2時間2000円払って見る価値があると断言できる。だってあの大きさでゴジラを見れるんだよ、むしろ安いよ。それくらいのゴジラだった。あそこまでゴジラをたっぷり見せてくれるゴジラ映画、気力も覚悟も相当必要だったと思う。山崎監督、ありがとうございました。


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