桜の季節過ぎたら

桜が咲き、鳥は囀ずり、子供達の声が聞こえ、とても賑やかだ。高すぎもしない気温、曇っていて、少しの気温上昇に着いていけない私には、過ごしやすい季節のはずだった。でも私はさっきから布団の上で携帯とにらめっこである。春だからなんだよ、この野郎。

Sと会ってきた。
彼のほうが移動に時間がかかるのに、私のほうが到着するのは遅かった。まったく歩く速度を合わせる様子はなく、当たり前のように割り勘で、特に話が盛り上がるわけでもなく、まだ明るい時間に解散した。通話ならいつでも出来るので、と丁寧に言われた。
女として扱われない、もしくは年上の女として扱われるということはこういうことだ。NやHが特殊なのはわかっていた。彼らはちゃんと私のことを、「女」として扱っていたから。
嫌いな顔の系統じゃないんだけどな、と思いながら顔を見ていた。トラガスの開いた耳や、首筋やら、デコルテやら、爪を眺めていた。これは一種の視姦ですね。抱けるかを考えていました。抱けます。年下の男性なら食えます。
パスタのソースはおろしたてのひらひらしたブラウスの襟に飛んでいた。向こうは抱く気はないでしょう。
有給消化中のはずなのに、一向に連絡がつかないHに返信すると、また時間が取れなそうな旨の返信でした。私は病んだメッセージを何通か送りつけました。
こいつは私のことを抱けるし、私も彼を抱ける、けど。

もうだめかもな。精神的に健康で、余裕があって、まぁ関わっても揺らがないかな、というくらいの状態でないと、異性と関われない気がしてきた。Sは、まぁフェードアウトしていいよ。Hへは執着だけがかなりあるから、辛いかもしれないけど。返信自体来ない可能性がありますけどね。

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