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外科医あっちゃん、幽患です! あっちゃんと真由エピソード0-2

彼女は僕の隣の席に座っているんだけど、僕はすぐに女の子に声をかけられるタイプではない。弟の毅(つよし)は割とどんどん話しかけているお調子者、今はその弟がちょっとうらやましい。
気になる女の子がこんなに近くに座っているのに、のどから声も出てこない。弟だったらきっと
「俺。藤枝毅、藤枝毅だよ~よろしくね」
って感じなんだろうなあと、入学式でもらったパンフレットを見ながら考えていた。

illustさんのフリー素材をお借りしています
真由の申し出にドキドキのあっちゃん

トントン、僕の机をとなりの掛川真由さんが指でノックしている。
「初めまして、掛川真由っていいます、ねえ入る部活って決まっている?」
入学したばかりなのに、部活の勧誘かよって、驚いて呆然としている僕に、彼女は
「3年生に漫画・アニメ研究会の中学の先輩がいて、入学したら入る約束しているんだけど、一緒に入らない?」
「僕、あんまり・・・詳しくないんだけど、それに部活に入る気ないんだ」
「部活に入る気ないんだ、ならよかった。幽霊部員でもいいの、実は今3年生が3人で私が5人集めないとその部活、なくなっちゃうの」
本当は、漫画は少しは読むけど、アニメは子供のころ以来あまり見ていなんい僕。藤枝さんと話すきっかけになればと思った下心からだ。

「少し考えさせて、僕入院している祖母がいて放課後はお見舞いに行かなきゃいけないから」
僕は、おばあちゃんのお見舞いに行っているうちに、担当の先生と仲良くなって、将来は医者を目指していた。だから医学部に入るのにはどんな勉強をしたらいいかとか、おばあちゃんの周りにある医療器具や看護師さんたちの動き、患者さんたちの発言、全部が僕の学びになっていたんだ。


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