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横顔

人の横顔というのが好きだと気づいた。人の横顔は綺麗だと思う。横顔を見ているとき、こちらがそちらを見ていると分からないから、その人も緊張のないニュートラルな顔になるからかもしれない。

真正面から人を顔を見るというのは面接とかダンスとか、お見合いというか、儀礼的になって緊張する。動物で例えたら、戦いになる寸前のような、相手との距離を測ったり戦力を推測したりするような緊張感がある。

でも横顔を見るというのは、近くても遠くても、ただ一人で気ままに「綺麗だ」と言葉にもならないような感慨にひたるような良さがある。

真正面から人の顔を見るというのは、凹凸や立体感をあまり感じられず、ある意味で不気味なのかもしれない。さらに眼球で見つめ合うともなれば、その効果は絶大で、戦闘なり情愛なり何かしら起きてしまうような慌ただしさがある。真正面は寸前。顔面は何かしら凹凸の情報をなぞれるアトラクションがある。

そうした点でも横顔は素晴らしい。眼球がどうとかあったけれども、眼球の丸みさえ分かる横顔はなんて偉大なのかと思う。立体的で、広い山並みとか、絶えず動く海とか、そういう景色を眺めているような良さに似ている。横顔は風光明媚。真正面は行政。時間の進み方がゆったりしていて良い。
そういえばプロフィールという言葉には横顔という意味もあるらしい。自分のプロフィールというのは証明写真のような真正面からのものではなく、本当は横顔のことを言うのかもしれない。

猫の横顔も好きだ。

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