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犬についてー福島

福島で犬の散歩をする。周りに人が住んでいる家はないが、なぜか縄を着けて散歩をしている。


うちが飼っている犬はアイリッシュセッターの雑種で猟犬の血が流れていて、鳥や生き物をみると反応して、猛突進していく。イノシシとキジをみると急発進するのである。ある日、近所に鶏を放し飼いをしている家があって、うちで飼っている犬を放し飼いにしたら、そこの家にいって、鶏狩りをした。大虐殺である。両親は謝罪を込めて、ワインを持って行ったり、いろいろしたらしいが、その近所の人は、鶏がひん死の状態になったことよりも、うちからのお返しが嬉しいと思っているらしい。うちの犬はそんなことも知らずに、綱につながれて生きている。


父はそんな犬を短い赤い綱をつけて一mくらい近い位置で毎日、犬を見届けながら散歩をしている。


私はそんな散歩の風景を実家へ帰るたびに見ていると、なんだか犬がかわいそうに思えていたが、あまりにも、父とラブラブなので、それもいいんじゃないか、と思えてきた。犬が率先して父を引っ張っている。だんじり祭りのようなのである。おかげでうちの犬の後ろ足の筋肉はもりもりで、父は、食ってしまいたくらいプリプリだろ、という。実際、犬はかわいい。が、食ってしまいたいくらいかわいい、というわけではない。事実、父とはラブラブだが、父があげるビスケットとガムは、仕事で食っていると思う。というのは、私の思い込みだが、そうでもない。父が「お留守番しててね」と彼にあげるガムは、時にはそのまま食べないで小屋の中に無残にもほっぽってある。夕飯も食べないときは、私の名前を言って、あげちゃうよ、というと最後まで食べるらしい。実際、私が実家に帰ると、夕飯を食べ残していても、私が彼のそばに行くと残さずに食べる。たぶん、うちの犬は私のことを一番愛していると、私は思っている。


そんなうちの犬の名前は曽祖父の名前にちなんで、大という。犬を飼ったときに、犬小屋を父とつくって、表札に「大」と書いたら、それを見た人は、「点をかいて「犬」にしたいね」と言った。事実、うちの大は犬である。

20211225_大


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