森マリアンヌ

横浜市在住。読書感想文などを更新しています。現代文学 HIPHOP

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マガジン

  • マンガ感想文

    読書感想文にひきつづき、マンガの読書感想をまとめました。

  • 読書日記

    読書記録をまとめました。

  • 韓国文学と韓国のことについて

    韓国文学の読書感想文をたくさん投稿してきたので、まとめました。 韓国についての本もまとまっていくつかあったので、一緒にしました。

  • 禁煙日記

    禁煙する過程を綴っております。

  • エッセイ

    自分の体験から書いたエッセイです。

最近の記事

森の中に置いてあるピアノーー一色まこと著『ピアノの森 1-3巻』を読んで

 一色まこと著 講談社モーニングKC 2005年出版  本屋さんで働いてた時、上司の人が定期的にこのマンガの新刊を購入してたのがずっと頭に残っていて、最近いろいろマンガを読み始めた私としては、昔のマンガの方が面白かったんじゃないかとちょっと思って、このマンガ全巻メルカリで購入した。  まず、一巻から三巻までの話だが、主人公の海という少年は小学校に通っていて、その母親が淫乱売女でその二人の関係が主軸といえる。息子の海が好きなピアノは森にあって、そのピアノは普通の人は弾けない。

    • 「無字社会」と「有字社会」ーー畑中章宏著『宮本常一』を読んで

       畑中章宏著 講談社現代新書 2023年出版  新聞で見かけて、この学者はなんで最近話題になっているんだろうと、疑問に湧いたので、新書だったら読めると思って、図書館で借りた。  そもそもこの人が何をしている人なのかも知らなくて、この本借りてみたんだが、どうやら、民俗学のような学問を勉強していた在野研究者みたいななにかだったらしい。新書だけでは、分かりかねる人だった。  「明治以前の日本では、農民も、漁民も、山民も、日々を生きていくうえで文字はほとんど必要なかった。民俗学

      • ウェブトゥーンと紙の本ーー小川悠介著『漫画の未来』を読んで

         小川悠介著 光文社新書 2024年出版  近所の本屋さんの新書のコーナーをぶらぶらしてたら、この本に出会った。最近、流行ってるマンガを読んでいて、いろいろ疑問に思ってたんだが、帯に書いてある「韓国・ウェブトゥーンの世界戦略とは?」という言葉を見て、この本読めばなにか開けるかもと思って、買って読んでみた。  ウェブトゥーン、上下にスクロールできる画面にコマがあるらしい。というのも、すべて、コマが並んでいるという構図ではないらしい。上下にスクロールする流れに沿って、コマと吹

        • 設定とストーリーーー『ホテル・メッツァペウラへようこそ 1巻』を読んで

           福田星良著 KADOKAWA 2022年出版  近所の本屋さんで、なんかおもしろいマンガないかなー、と探してて、なんとなくこれかな、と思って選んで買った本。  ストーリーはフィンランド、ラップランド地方にある雪山の中に建っている別荘みたいなホテルの話。そこに、全身、刺青が入った日本人男性が舞い込んできて、ホテルのオーナーなどに一緒に働いてみないか、と言われて、しばらくそのホテルで働く様子が描かれている。  なんで、「こんなとこに日本人男性が」、「しかも刺青をした」、と

        森の中に置いてあるピアノーー一色まこと著『ピアノの森 1-3巻』を読んで

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          3本

        記事

          自治会日誌 20240203

           去年の暮れに私が住んでいる団地の大掃除があって、その時、話し合いで誰もやりたくない自治会の役員に自らやりますと申し出て、今年の四月から一年間役員として勤めを果たさなければならないことになった。これで、この団地に引っ越してきてから二回目の役員である。この団地は、とても古くてそろそろ建替えなきゃいけないとかいった議論が浮上していて、ちょっとめんどくさいことになっている。住んでいる人も年寄りばかりになっていて、その人たちがお亡くなりにならないと、建て替えは無理なんじゃないか、と密

          自治会日誌 20240203

          社会起業家の話ーー『アフリカで、バッグの会社はじめました』を読んで

           江口絵理著 さ・え・ら書房 2023年出版  図書館の子どもの本のコーナーをぶらぶらしてたら、偶然この本に出会って、おもしろそうだな、と思って借りた。  この本は、仲本千津さんというアフリカのウガンダでアフリカの布を使ったバッグを作って日本の百貨店で販売している起業家を彼女の生涯からドキュメンタリー的に一冊の本にまとめたものである。  「社会のあり方が原因で生まれる問題を、アイデアとビジネスで解決しようとするのが「社会起業家」」と説明があったが、千津さんという方はいわ

          社会起業家の話ーー『アフリカで、バッグの会社はじめました』を読んで

          言葉は戦争より先に立つーー『武器ではなく命の水をおくりたい中村哲医師の生き方』を読んで

           宮田律著 平凡社 2021年出版  図書館で子供が読む本で、なにか伝記を読んでみようと思って本棚を観てたら、この本が目に入ったので読んでみた。  中村哲さんってすごい人だと、亡くなったニュースを聞いて私は知ったのだが、福岡に住んでいる知人が中村さんの送る会に献花しにいったという話をきいて、同い年の人でも彼がどんな活動をしているのか知っているのか、と思った。きっと素敵な人なんだろうな、と思って、この本を手にした。  中村さんは始め、医者としてなにか役に立てないだろうか、

          言葉は戦争より先に立つーー『武器ではなく命の水をおくりたい中村哲医師の生き方』を読んで

          安いけどおいしいと思うイタリアーー『貧乏ピッツァ』を読んで

           ヤマザキマリ著 新潮新書 2023年出版  近所の本屋さんをぶらぶら歩いてたら、この本に出会った。  表紙が愛らしくて、ヤマザキマリさんのエッセイなら絶対おもしろいだろうな、と思って、購入してみた。  料理とか食べ物についていろいろな文章を読んでいるのだが、いざ自分が書くとなると、いまいち納得できる文章が書けなくて、どういうのがおもしろいんだろ、と探究しているんだが、このヤマザキマリさんの本は、それにひとつの回答を与えてくれるような本だった。  イタリア人の旦那さん

          安いけどおいしいと思うイタリアーー『貧乏ピッツァ』を読んで

          国籍という問題ーー温又柔著『「国語」から旅立って』

           温又柔著 新曜社よりみちパンセ 2019年出版  温さんの言語感覚がもっと知りたくなって、簡単に読めるこの本を読んでみようと思って、図書館で借りた。  よりみちパンセから出ていたから、ティーンに向けて書かれていてとても読みやすかった。私としては、もうちょっといろんなことが考察してある文章を読みたかったが、温さんにとっては、彼女が今まで生きてきた言語体験は、とても重要なもので、それを若者に伝えたい、という感じが伝わってくる本ではあった。  オン・ユウジュウ という名前を

          国籍という問題ーー温又柔著『「国語」から旅立って』

          普遍的な科学のエッセイーー元村有希子著『科学のトリセツ』を読んで

           元村有希子著 毎日新聞出版 2022年出版  最寄りの図書館に行ったら、割と出版されたばかりのこの本が本棚に刺さっていたから、借りてみた。  この本は、週刊誌『サンデー毎日』に連載されていたものを、時間系列順に載せたエッセイとのこと。科学と言ってもいろんな分野があると思うが、それが概略的に述べてある。始めの頃は、ノーベル賞受賞した人の研究分野とかブラックホールとかに言及があったが、この本の半分くらいはコロナ禍の話が結構書かれており、なんか最近の本なんだなと感じた。コロナ

          普遍的な科学のエッセイーー元村有希子著『科学のトリセツ』を読んで

          ロシアとウズベキスタンーー高山なおみの旅行記二冊を読んで

           『帰ってきた日々ごはん』のシリーズを黙々と読んでいたら、途中で、ロシア日記とウズベキスタン日記を出版したと書かれていたので、二冊借りて読んでみた。  『ロシア日記』高山なおみ著 新潮社 2016年出版  この本は新潮社から出版されていた。アノニマ・スタジオという出版社から出てる「日々ごはんシリーズ」違っていて、付録のレシピはついていなかったが、なかなか素敵な旅行記だった。高山なおみの本、って出版社が友人関係っぽいけど、なんかそういうの関係あるんだろうか。  ロシアの料

          ロシアとウズベキスタンーー高山なおみの旅行記二冊を読んで

          たぶんOrganicという言葉がポイントーー井手留美著『ちくまQブックス SDGS時代の食べ方』を読んで

           井手留美著 筑摩書房 2021年出版  ちくまQブックスというものが、どういうものか知らなかったが、図書館歩いてたら、ティーンズのコーナーでこの本を見かけて、面白そうだから、この本を借りてみた。  SDGsって最近すごく聞くようになった言葉だけど、それがどう説明されているのか、気になった。気になったけど、やはり、この考え方って、なんかどこか政治的なもの、ユニセフ的なものを感じる。ある人は、教育と互換性がよい、って言っていたが、その気持ちは分かるが、当たり前だろ、といった

          たぶんOrganicという言葉がポイントーー井手留美著『ちくまQブックス SDGS時代の食べ方』を読んで

          『スラムダンク』の新装再編版を読んで

           井上雄彦著 集英社 2018年出版  高校生の頃、友達がみんな『スラムダンク』にハマっており、なんで読んだことないのーと言われていた。なんで、そんなにみんなそのマンガ好きなのかな、と疑問に思っていた。最近、ミニマリストの本読んでいたらその人が、いまだに『スラムダンク』を読んだことない人はうらやましい、これから初めて読む楽しみを味わえるから、みたいなこと言ってて、そんなに面白いマンガなのか、と思った。なので、今更ですが、近所の本屋でみかけたので購入した。  なんでみんなそ

          『スラムダンク』の新装再編版を読んで

          老朽化した建物と住民ーー朝日新聞取材班『朽ちるマンション老いる住民』を読んで

           朝日新聞取材班 朝日新書 2023年出版  この本は、朝日新聞で連載されていた記事が新書になったもの。古くなったマンションに住んでいる人たちのこと、マンションの管理などが書かれている。  私が住んでいる団地もだいぶ古くなっていて、数年前に管理組合の理事会の役員になってから、これから先どうするんだと考えるようになった。この本に何か役に立ちそうなことが書かれていたらいいな、と期待して読んだが、そんなに実用的な情報は書かれていなかった。ちょっとがっかりである。  私としては

          老朽化した建物と住民ーー朝日新聞取材班『朽ちるマンション老いる住民』を読んで

          要点がつかめなかった本ーー奈倉有里著『ことばの白地図を歩く』を読んで

           奈倉有里著 創元社 2023年出版  Amazonでなんかの本検索してたら、ついでにこの本がオススメにあがってきて、興味がそそられたので図書館で借りて読んでみた。  ロシア語の研究者が執筆した本らしいが、あんまりおもしろくなかった。ロシア語ってあんまり研究者のいない分野だと思うが、そういう研究者が書く本ってマジョリティの人とは違った言葉が出てくると私は思っていたのだが、この作者さんは、若いのかそんなにおもしろいことは書かれてなかった。  出版社が創元社で割と良い出版社

          要点がつかめなかった本ーー奈倉有里著『ことばの白地図を歩く』を読んで

          見えない圧ーー松田青子著『自分で名付ける』を読んで

           松田青子著 集英社 2021年出版  松田青子さんの本を全部読んでみようと思って、いろいろ読んでいるが、たまたま図書館の特集コーナーで紹介されていたので手に取って借りてみた。  この本は子育てのエッセイ。妊娠中の時、お産の時、出産後の子どもとの話などが書かれている。  妊婦さんマークをつけているときに、電車に乗ったら譲ってくれる人がなかなかいなかったこと、とかそういう話は、妊婦だったら誰しも感じたことのある話かもしれない。こういう話を文章にしてこういうふうに書かれてい

          見えない圧ーー松田青子著『自分で名付ける』を読んで