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子どものころに読んでおけばよかったと思った本②ーージュール・ヴェルヌ

 ルイス・キャロルと同様で、子どもの頃読んでおけばよかったと思ったのはジュール・ヴェルヌである。最近読んでみたが、すごくおもしろい本だった。

 大学院志望を考えていた時、ガイダンスに出席したら、なぜかフランスの児童文学の作家の研究をしたい、といっている人が偶然にも数名集まっており、その中に、ジュール・ヴェルヌの研究者になりたい、という人がいた。それ以降、私はその大学院に入学しても、彼には会わなかったので、その後どうなったのかは知らない。

 でも当時の私は、ジュール・ヴェルヌの名は聞いたことがあっても、読んだことはなかったがちょっと気になって頭の中にこびりついていた。研究室でフランス人の友達ができたら、彼も、ジュール・ヴェルヌが大好きで、子どもの頃よく読んだ、といっていたので、私もその時、初めて読んでみた。

 まず、一冊目は『地底旅行』を岩波の古い本で読んだのだが、「こんなに面白い本がこの世にあって?」と本気で思った。というか、こんなに面白い小説が1800年代に書かれていたなんて。驚異的。こういう冒険物語の定型を作ったのがヴェルヌなんだろうか。とにかく、その後も、『海底二万マイル』『八十日間世界一周』など、読んでみたが、どれもこれも面白い。大人になった今読んでもこんだけ面白いんだから、多感な中学、高校の時に読んでみたら、鳥肌たったろうな、と思ったりした。というか、ほんとに、ヴェルヌの本は、なんで、子どもの頃読んでなかったんだろ、と思う。子どもの頃に、こんなに、すげーワクワクドキドキする話を読んだら、読書や文学の世界が大好きになるだろう。大人でも、こんなにおもしろいんだから、というよりも、この本も、アリスと同じで、自分がまだ子どもだったら、どんなふうにこの本読めたかな、と思うんだけど、ヴェルヌはアリスと違っていて、大人でも、こんだけワクワクする話だから、子どもの時に、文学でこれだけのワクワク体験をしてほしい、と私は思う。

 子どもの頃に、良い本に出会うってことはすごく大事で、その後の、その人の文学や読書体験に大きく影響するように思う。私は子どもの頃、そんな劇的な体験してないしな、と大人になった今、若干思うが、私の場合、中学の頃、山田詠美の小説に出会ったことは大きかった。その後の私の人格に左右していると思う。

 なんかそういう男と女の出会いに敏感だった時期に山田詠美に影響されたの私はなんとなくお決まりのような気がするが、もっと、読書が楽しくなるきっかけとして、アリスやヴェルヌに出会っていたら、また違っていたのかもしれない、と思う。

 友達の子どもがもう少し大きくなって読み物を読みだしたら、この本送ろーと独身の私はひそかに楽しみにしているのでした。


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