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日光東照宮の逆さ柱

記事のタイトルに「柱」とありますが、今回は「鬼滅の刃」のお話ではありません。

最近、ウーマンラッシュアワーの村本氏が書いた「おれは無関心なあなたを傷つけたい」(ダイヤモンド社)という本を読みました。

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その中で、とあるニューヨークの寿司屋の、70歳くらいの大将の話が出てくるのですが、その話が印象深かったのでした。


村本氏が大将に「何を大事にしているのか」と聞いたところ、大将の答えは以下の通り。

「ふしんちゅう」

大将曰く、

「日光東照宮の柱は1つを逆にしていて、それは完成すると崩壊が始まるというメッセージなんです。」
「9割自分が正しい。1割は間違えている、と考えるようにしている。これが正しい答えだと決めると崩壊が始まる。未完成のまま、完成に向かって突き詰めていくが、完成はさせないんだ。」
「答えを持ったときに人は年寄りになり、若い頃はなー、お前らはなー、と言い出してしまう。」

とのこと。


調べてみると、日光東照宮の陽明門にある12本の柱のうち、1本が逆さまに建てられているようでした。「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という伝承があることから、わざと完成させなかったそうです。

形あるものはいつかは崩れていく。全ては移ろっていく。

それでも不変・不滅を願ってしまうのは、地上に生きる者の弱さなのかもしれません。

しかし、この伝承を人にあてはめて、「完全だと思ったら滅びの始まりだ」と自分の教訓にしてしまったところに、ニューヨークの大将の智慧を感じた次第です。


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