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フリーランスのデザイナーになって1年たったので、今の心境を書いておく

こんにちは、もりぐです。
奈良でフリーランスのデザイナーをしています。

独立して1年ちょっとたちました。
その時に感じたことをを書いてみようとしたものの下書き保存され続けていたのですが、Xでトムさんに背中を押され、この度めでたくnoteデビューとなりました。


【ざっくりプロフィール】
30代後半フリーランスデザイナー
奈良 → 大阪10年→ 東京4年 → コロナ禍で奈良にUターン(イマココ)
グラフィックデザイン会社に新卒から7年半、東京のWeb制作会社に2年半勤めて、2022年秋からフリーランスで活動。今年4月でデザイナー歴13年目突入。
この1年のお仕事はロゴ制作、バナー制作、Web制作、ビジュアル制作、その他グラフィックツール制作、広告企画、スクール講師、制作会社デザイナーのメンターなど。
趣味は海外旅行。バックパックでふらっと行くのが好き。

※公開用ポートフォリオは作ってませんごめんなさい!


今回はフリーランスになって1年経過した時点での心境を思いつく限り回てみました。一次情報はふんだんに盛り込んだつもりです。

ではいきましょう。


●フリーランスになってよかったこと

よかったことは周りのフリーランスさんが言ってることとほぼ同じです。

・働く時間を選べるようになった

やることやっていれば、いつ起きてもいいし好きなだけ遊んでいいし気が乗らなかったら寝てていい。

一方で作業するなら、早朝も深夜も平日も休日も旅行中もいつでもオンオフはありません。ダメな人はダメな働き方がだけど、自分にはこれが合ってたようです。(これに至った経緯は後ほど)

働き詰めというわけではなく平日昼間のイオンモールを目的なく徘徊する時間はぜんぜんあります。その気になればチケットを取っていつでも海外に高跳びできます。余裕は大事。

・働く量を選べるようになった

会社員は労働時間内でリソースに余裕があれば新しい仕事を次々お願いされがちですが、フリーランスはたとえリソースがあっても仕事を受ける・受けないを選べます。基本は断りませんが自分の優先事項と照らし合わせてスケジュールを相談させていただくこともたまにあります。

今は仕事を抱えすぎないようにしています。基本毎日作業してますが、月にならすと会社員時代の6割〜7割ほどでしょうか。こうしてできた時間でnoteが書けました。余裕は大事。

・働く場所を選べるようになった

これが一番よかったことです。前職はリモート勤務でしたが、フリーランスになってさらに行動範囲が広がりました。

昨年は東南アジアやヨーロッパの各国で旅しながら働き、渡航は7回、行った国は10カ国、合計2ヶ月以上は海外でいたらしい。Wifiと時差の都合がつけばどこでも働ける。(この記事のアイキャッチもタイで仕事してる時の写真です。)

いつかこうなったらいいなぁの生活が去年やっと叶いました。

・成果がわかりやすくなった

フリーランスは仕事の評価をダイレクトにいただけ、それによる成果がとてもわかりやすい。フリーランス裸一貫で勝負しているだけの対価は十分いただけています。いつもお世話になっている皆さま本当にありがとうございます。

・仕事がより好きになった

前述のやったことそのまま成果につながる明快さがそう思わせたのかも知れません。今やってる仕事はなんでも楽しくて嫌なことはありません。それだけで幸せなことです。

特に教育系の仕事は生き甲斐になりました。自分が何かを教えてその人の将来が明るくなることにどうやら強烈に喜びを覚えるらしい。もっとクリティカルに再現性高く伝えるにはどうするかをずっと考えています。

教えることはインプット→アウトプットの方法としてとてもいいです。お陰で思考が整理されて他の仕事にも活きるので、いいサイクルができています。

●フリーランスになってよくなかったこと

現時点で大きな問題はありません。でも先はわからない…。

色んな事情でフリーランスから会社に出戻った人もいるし自分もいつかそうなるのかなと不安になることがたまにあります。あとは税金とか保険料の高さとか、法人化どうするか考えるのとか(結局やめたが)。こうしたデザイン作業以外の面倒は明らかに増えました。

独立してから危機感を覚えることはあるので、それは後述します。

●意外だったこと

・普通のことをしてるだけで褒められた

「締切に遅れないので、本当にありがたいです」とクライアントさんからお褒めの言葉をいただいたことがありました。それ普通じゃないか?と思いましたが、別の人に聞くと締切を相談なしに破ったり急に連絡取れなくなったりするフリーランスさんもいるようで。そんな無邪気に働いててどうしてやっていけてるのか逆に知りたい。

・暇の先には虚無があった

自分はできることなら働きたくないし永遠にダラダラしていたいタイプで、会社員時代はそんな怠惰な生活に憧れていました。

独立してすぐ、仕事を調整して2週間ほど何もしない時間を作って海外に行ったときのことです。着いた初日は「この生活がしたかったんだ!」と解放された気分で、これがずっと続くなんて最高すぎないか…と。

しかし3日目くらいから落ち着かなくなりました。待ち望んだダラダラなのにダラダラできない。
直感的に「この生活を続けると病む」と察しました。Youtubeで「若いうちにFIREした一部の人がやることなくて病むらしい」と聞いたがこういうことなのかもしれない。コロナ直前に世界一周してたときは「明日はどこに泊まるか、次の国にどうやって行くか」をずっと考えてて、小さくてもちゃんと目的があったから病まずにすんだのかも。

自分は無限ダラダラタイプと思ってたのに、程よく張り合いがないとソワソワするタイプだったらしい。この先何もしなくていい暇は自分にとっては劇薬でした。
それからはオンオフは特に意識せず、ワークとライフが混ざり合う生活を意識するようになりました。何もなさすぎて何かしたくなりました。せっかくなら人の役に立ちたくなりました。

これは独立して1番の気付きです。

・自由に生きててごめんなさいってなった

空がまだ薄暗い平日早朝、海外行くために空港へ向かっている電車で自分以外の全員がスーツで眠そうにしているのを見たとき「自由に生きててごめんなさい」ってとても申し訳ない気持ちになりました。「いいだろー!」ではなく「ごめんなさい」って。なんだったんだあの感情。
でもその自由を作るために今まで必死で頑張ってきたし、さらにもっと良くしようとずっと考えてるし、全く気にしなくてよかったんですが。

・時間できたら〇〇しよう→ほぼやらない

忙しさを理由にやらなかったことは暇になってもほぼやらず。

昔先輩に教えられた「欲しいと必要を分けるといい」という意味が身に染みた瞬間でした。必要なものは勝手にやるけど、何となくやりたいことは余裕があってもやらないんだと。これからは「欲しい」の中でも積極的にやっていきたいです。(←これがまだ必要になってないかもだけど)

逆に忙しくても無理矢理でも時間を作ってやってたことは独立後はさらに濃厚になりました。

●ヤバいと思ったこと

・誰も注意してくれない

まわりに同僚も上司も先輩も後輩もいないし、気づけばアラフォーだし、もう老害に片足つっこんでるかもしれないし。フリーランスになって人から注意される環境が激減したことに危機感を覚えました。ちゃんと言ってくれる人がいる環境は今思うと貴重だったなぁと。

・結局働きすぎちゃった

前述した「何かしたい、役に立ちたい」という思いからどんどん仕事を受けて、以前と変わらない働き方に戻った時期がありました。でも今はちょうどいいバランスで働けています。お世話になっている皆さまのおかげです。何度でも言いますが、いつも本当にありがとうございます。

・スキルの幅を広げる機会が少ない

会社員だと自分1人では到底できないような規模のお仕事に携わる機会があります。とても大変ですがそれに見合う経験ができて、自分ができる範囲も広がります。フリーランスは今まで得たスキルや経験を切り売りすることが多く、新しいことをしなくてもそこそこ生きていけちゃいます。

もちろん独立後も挑戦し続ければいいのですが、会社員だったらリスクは会社が引き受けてくれますが、フリーランスは全かぶりです。こええ…

一方で、今あるスキルを誰にも邪魔されずに集中して成熟させることができるのがフリーランスの魅力です。切り売りする物の質を上げる努力をしつつ、そこそこ挑戦する姿勢で行こうかな。

・似た境遇の友人が近くにいない

そもそも「独立した友人」が周りに少なく、「独立したデザイナーの友人」なんて半径3km圏内に0人です。熱くデザインを語り合いたい!みたいなのは特にないのですが、似た境遇の方とざっくばらんに話し合いたいと思う時があります。
夕方に家の近所の立ち飲み屋で集合してさくっと飲んで1時間くらいで解散〜みたいな関係に憧れています。

●会社員時代の経験が活きていること

・チームで働いた

伝え方が大事なこと、報連相が大事なこと、みんなで作り終えたあとの達成感、などなどチームに属していないと味わえない経験ができたことは独立してからも糧になっています。今でもクライアントさんのチームに入れていただく機会があり、前とは少し状況が違いますがとても楽しめています。

・キャパ以上の働き方をした

新米デザイナーの時は、毎日怒られて上司が帰ったあと遅くまで作業して出し切ったと思った翌朝、チェックで全ボツになるのがデフォルト。遅くまで働いていたし週休1日だったし、自分のキャパはとうに超えていましたが、なんとかついていきました。
とても辛かったけど、無理やり引き上げてもらった経験は今となってはめちゃくちゃ活きています。当時の社長から「若いうちに排気量を上げておきなさい」と言われたことがずっと残っています。その広げたキャパで今生きれています。

令和になってこういった働き方をする会社も減って引き上げる側も気を遣う時代になったので、今の若い人はやる気次第でどんどん差が開くなぁ…と勝手に危惧しています。

・自分より遥かにすごい人がいると気づいた

広告デザインの仕事をしていたとき、周りはマジもんの超人ばかりでした。

代理店のエースクリエイターさん達の世の中を見ている視点や広さ、そこから出てくるアイデア、そして1番は「思いついたことを実現させるパワー」がケタ違いでした。その後に出会う人も優秀な人ばかりでしたが、あれに勝る巨大エネルギー空間は以後感じていません。

また、自分がいた会社の仕事の進め方も凄まじかったです。上司と一緒に夕方に代理店に打ち合わせに行き、終わった後にエレベーター降りながら内容を振り返って方針を固め、帰りのタクシーで上司が段取りを決めて、事務所に戻って一気に作業し、翌日の昼にできたデザインを送って一発OK。さぁ次の案件やろっか。みたいなのが日常。(n数が少ないのですが、これは普通じゃないですよね…?)
それができたのは上司の圧倒的スキル。先方の意図を汲む力、本質を見抜く力、それをビジュアルに起こす力、どう作るか段取る力などなど。超クオリティを超スピードで仕上げるのでクライアントさんの信頼は絶大。なので連絡が途切れず大きな仕事が次々やってきていました。

この人たちのムーブ、マネできない…。この強いエネルギーを目の当たりにしたとき「自分はこうはなれない」と思ってしまいました。

圧倒的な差にポキっと折れかけましたが「自分ができる最大限で喜んでもらえる場所を作ろう」と今の働き方が決まるきっかけのひとつになりました。当時のエッセンスは確実に今の自分に染み付いていて、「この状況、〇〇さんなら△△さんならどうするかな」と考えて行動することができています。あの環境にいなかったら今の自分はないし、必死についていった経験はかけがえない財産です。

・デザイン分野以外のプロの働き方を知れた

これは特に前職のLIGで実感しました。LIGはWeb制作以外にも様々な事業をやっています。デザイン部のメンバーは当然すごいのですが、違う部署の皆さんもめちゃくちゃすごい人ばかりでした。(語彙力)

ここでの気付きは「すごい人の根っこのスキルは同じ」ということです。それは課題の本質に気付く力だったり、それを解決できる力だったり、それをわかりやすく人に伝える力だったり。そうすると「突き詰めると、どの仕事も大事なことは同じなのでは」と思えるようになりました。今では制作以外の相談事をいただくことも増えましたが、この考え方がとても活きています。

・仕事の流れを知れた

デザイナーの中には目の前のアウトプットに集中しすぎて、その周りで何が起きているかを把握できてない or 把握する必要がないと思っている人が一定数いる気がします。自分も昔は前しか見てなかったので「最終的にモノを作れるのはデザイナーだけなんだから、誰かそれ以外のフォロー夜露死苦!」と本気で思っていました。
でもこの考え方は大阪から東京に転勤になったころから少しずつ変わっていきました。今となっては「フォローしてくれたのはいったい誰で、どんなムーブをしてくれたか、自分はなにもわかってなかったな」と反省しています。

会社員は業務が分担されがちで、何も考えずにやっててもいいかもですが(ほんとはよくないと思うけど)、特にフリーランスはいま自分の仕事があるのはどういうことなのかをちゃんと知っておく必要があると思います。

●引き続き意識したいこと

・普通のことをちゃんとする

  • 基本即レス

  • わからなかったら素直にすぐ聞く

  • 1ターンで終わるやり取りを心がける

  • 進捗をちゃんと報告する

  • 締切に遅れない(遅れるなら速攻で相談)

  • 感謝を伝える

などなど、ビジネスするなら誰でもできなきゃいけないこと。
いつも意識してますがいつも100点出せてるかは怪しいです。ここでの本質は相手を安心させるための先回りなのかなと。不安にさせない心地いいコミュニケーションを心がけたいです。

・気付きの感度を上げる

特に悪いことは誰も教えてくれません。
なんか遠回りに注意されてる?とか、言いにくくてめっちゃ気を遣われてる?と察した時点できるだけ自分で気づいて反省して次に繋げてPDCAサイクルを一人でぶん回します。

・仕事の流れを読む

この仕事は誰からいただいて、それはどういった経緯で依頼してもらって、決済者は誰で、クライアントさんの先に誰がいて、1番喜ばせる対象は誰か、その上で自分に何が求められているか。そしてその報酬はいくらか。
これを把握できないとやりとりが永遠に発生していずれ炎上するので、かなり気を配っています。デザイナーもビジネスの流れを把握しておくに越したことはないと思います。

・ラストスパートよりロケットスタート

※誰かが言ってたパワーワードに感銘を受けて拝借しました。

最近はどの案件も「できるだけ速く完成度70%くらいまで持っていく」ことを理想としています。初速はめちゃくちゃエネルギー使うけど、全体像が見えるところまでは一旦たどり着いておきたい。早い時点で確認してもらって、違っていれば軌道修正できるし、不明点が出ればそこで解決できるし。後半に焦ると会社員時代のトラウマが蘇るのでこのタイプになりました。
一方で期限ギリギリ追い込んでコミットできるタイプもいるし、それぞれのやりやすさで良いと思います。

・いつも好奇心旺盛でいる

独立してから周りのメンバーから刺激受ける環境が少なくなったので、自分から興味の幅を広げないと凝り固まってしまいます。今まで以上にいろんな経験を自分から取りに行かないといけません。
人と話すことも大事です。鬼の人見知りの自分にムチを打ち、色んなところに出向くようにしています。

・はじめに自分の人生の予定を立てる

以前までは仕事の隙間にプライベートの予定を入れがちでしたが、今は先に自分の人生の予定を立ててからその隙間にいただいた仕事を入れるようにしています。

仕事優先するのがダメだと言いたいのではありません。
たとえハードワークをしていてる人でも自分の人生で必要と思っているなら、覚悟があるので結果がついてきて日々が充実しているはずです。(あとそういう人ほど上手くリフレッシュしてる)

あくまでも仕事は自分が幸せになるための手段のひとつで、自分の中にある基準から働き方を考えたほうがいいのではと思っています。

まとめ

働き方を自分で決められることがフリーランスの大きな魅力のひとつです。縛られずに生きていくのはリスクもありますが、全て自分で選んで決めているので納得感と覚悟を持って進めます。これからも皆さんへの感謝の気持ちを忘れずに自分の人生を満喫したいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
ではまた!


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