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読書録「世界一子どもを育てやすい国にしよう」 ◎社会で生きていく武器を与える

 前回の記事の続きです。

 今回でこの本の紹介も終わりです。



 『日本は欧米に比べて30年くらい遅れているわけですが、日本の幼児教育に関わっている人たちも「子どもの非認知能力を高めていくべきだ」ということは知っています。』

 『非認知能力を高めるために大切なことのひとつに、よく遊ぶこと。遊びというのは非常に高度で、例えばひとりの子どもが「ガオー!」と言うと、もうひとりが「シュワッチ!」と言います。「ガオー!」と言った瞬間に、その子は「僕は怪獣だから、君はこういう役回りをやってね」と示唆している。メタメッセージを送っているわけです。それに呼応して、相手の子の反応が起きる。ここには、すごく高度なコミュニケーションがあるわけです。

 『そういうことを遊びの中で学べるからこそ、集団保育の方がいいんですね。

 『そうなんです。子ども同士、集団で育つことは非常に意味があります。

 著者は、幼児期からの集団保育を推奨しています。母と子の絆を育む時間も愛おしく大切ですが、小さい頃から集団の中で生活すると社会性が育つのだろうなと私も思います。




 『僕は、教育の目的はふたつあると思っています。ひとつは、自分の頭で考え、自分の言葉で感じたことや自分の意見をはっきり表明できる力を育てること。

 『もうひとつは、現実の社会で生きていくための武器を与えること。「我慢強さ」や「やり抜く力」も大切ですが、お金のつかい方や社会保障の仕組み、選挙の仕方など、我が国の社会で生きていく上で当然に必要な、生きた知識を教えることが、教育のキモです。

 『選挙前になると「〇〇氏優勢」などと、メディアが報じます。〇〇氏でよいなら、僕たちのとる方法は3つ。「〇〇氏の名前を書く「白票を出す」「棄権する」。どれも同じ結果になります。しかし、〇〇氏がイヤなら、とる方法はひとつしかない。それは、選挙に行って違う人の名前を書くこと。これが選挙です。こういう当たり前のことをきちんと教えるのが、本当の教育だと思います。』

 『「これらはシチズンシップ教育」と言われ、アメリカやヨーロッパの一部の国では教育の基礎として埋め込まれています。





 『ロンドンで暮らしていたとき、印象に残ったことがいくつかあるのですが、保育園では最初に、子どもたちがクラス全員とひとりずつ対面します。そして先生が「みんな一緒ですか?違いますか?」と子どもたちに聞き続ける。子どもたちは「みんな、違う」と答えます。
 すると先生は「みんな、顔も体つきも違うね。じゃあ、考えていることや感じていることは一緒かな?と質問する。子どもたちは「外見が違うのだから、中身も違うんじゃないかな?」と言い出すんですね。「そうだね。みんなそれぞれ外見も中身も違うのだから、感じたことや思ったことはきちんと言わないと、伝わらないよ」と教えるのです。』

 



 
 “教育”は正解があるようでない難しい分野ですが、私はロンドンの保育園のお話が大好きです。子どもの頃からこういう考え方を身につけられる機会があることは本当に素敵です。私も息子に同じことを伝えたいなと思いました。


 この記事で本の紹介は最後になります。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました!



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