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エッセイのなかの「序破急」

新潮社運営のオンライン教養講座「本の学校」で、編集者の森重良太氏の「600字からはじめる初めてのエッセイ講座」を受講した。そこで出てきた「序破急」という言葉に感銘を受けた。

序破急とは舞楽の3部構成を指す。序は曲の導入部分で無拍子、破は曲の中心部分でゆるやかな拍子、急は最終部で急速な拍子を表す。猿楽を大成したとされる世阿弥は著書「風姿花伝」の中で、序破急はすべての物事にあると説いている。

序破急をはじめとする三部構成は、演劇や映画の世界でも国内外問わず広く取り入れられている。有名な映画監督ジョージ・ルーカス制作の映画「スター・ウォーズ」も、アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルが提唱する「出立・離別」「通過儀礼」「帰還」の三部から成る英雄神話理論を用いて構成されて、大成功を収めた。

序破急を始めとする三部構成は、文学にもすでに用いられている。身近な昔話や文豪の残した文章にも用いられている。我々も常日頃から読んでいる。写実主義や自然主義が一時奨励された時期もあった。しかし、古くから継承されているこの序破急、三部構成で作られた芸能や文章が人間に取り入れられやすい理由も頷ける。

これからエッセイで、自分自身の考えを試しに書いていくことになる。今回学んだ序破急、三部構成に則って、「で、君は何を言いたいんだい?」と、エッセイの創始者とされるモンテーニュに問われても、胸を張って答えられる文章を書くようにしよう。


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