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【ミャンマークーデター】休校2年目になるミャンマーの大学

今回は、休校2年目になるミャンマーの大学について紹介します。

以前に、ミャンマーの大学制度についてはこちらの記事で紹介させていただきました。

ミャンマーの大学制度について簡単に紹介します。

1、ミャンマーの大学制度

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基本的に、ミャンマーの大学に入学するには、
日本の学生と同様に、試験を受けますが、

ミャンマーの大学の特徴としては、

「自分自身で学部を選ぶ・大学を選ぶという選択肢が狭く点数によって決められる」

ということが特徴です。

ミャンマーでの学校制度としては、小学校から高校まで、11年間です。

11年目に、大学入試試験を受け、テストの点数で、
自分の大学がどこに行けるか?

が決まります。

点数が高ければ、上位の学部・大学に
行くことが許可されますが、

そうでなければ、化学学部などの学部を選ばざるを得ない制度で、

自分が行きたいと思った大学・学部に
希望通りに入れないこともあります。

2、なぜ点数制?

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点数制の大学入学制度は、世界的に見ても珍しい制度です。

点数制度になっているのは、
約50年間続いた軍事政権の教育制度によるものです。

学問を学ぶための大学ではなく、軍事に偏った国策が取られていたので、

知識人の輩出には力が入っておらず、「指示に従える人間」の育成が主でした。

学問の楽しさや、自分自身の興味・性格・やりたいこと、将来の夢、
はほぼ無関係に、

「暗記すれば試験に受かる」というあまり良くない教育制度です。

スーチー氏の政権になり教育制度を変えるという政策もあったそうですが、先生たちにとっても暗記重視以外の教育を受けてこなかったので

教育の変え方がわからず軍事政権時代と制度が大きく変わったわけではありませんでした。

しかし、その中でも発言の自由やディスカッションの時間、
私塾や留学、外国人との交流、インターネットなどで学業の幅は広がっていました。

制度的な変化は目に見えなくとも現場にいる学生・教員にとっては
大きく心境変化があったと思われます。

3、コロナ禍のミャンマーの大学は?

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ミャンマーでは、2020年3月の段階で、大学は休校となり、

そのままクーデター発生、大学職員のCDMや
生徒個人の意思により大学は実質休校2年目となりました。

今、ヤンゴン大学前には国軍が立ち、生徒はほぼ通学していません。

コロナで休校していた頃は、大学によっては日本のようにオンライン授業をする大学もあったそうですが

地方にいる大学生にとっては、全員がインターネットや電気を得られているわけではなく、昨年から学びの機会が減ってしまっているのが現状です。

また、大学の寮に入っていた学生も、ほとんど地方の実家に戻っていたので、家から学びにアクセスできない限り、ほぼ休みの状態になってしまっています。

すでに、学生かどうかも忘れてしまっている可能性も・・・・。

都市部ヤンゴン在住と地方在住では、差が開いているのが現状です。

日本のように、
「パソコンを通じて学ぶ」という意識も、
活用レベルも高いわけではありません。

環境整備的にも家に電気がない家庭や、停電の多さ、地方部ではインターネットも都市ほど早くないため、教育におけるオンライン活用は少し厳しいような感覚があります。

しかし、オンライン活用ができないから勉強しない、では教育にはよくないので、

厳しい環境であってもお寺で学ぶ、インターネットがある場所で教材をダウンロードする、など、色々な手段で教育にアクセスする方法が生まれました。

4、ミャンマーの教育課題と今の教育関連の動き

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教科ごとの課題はたくさんあると思いますが、ここでは、休校に関して。

コロナにより、大学も休講措置のまま、学びから離れてしまいましたが、2020年はその中でも、学びから離れないようにする個々人の動きも多くありました。

例えば、パゴダ(日本でいうと寺院)が、英語の授業をライブ配信をしていたり、お坊さんがfacebookライブで授業をしたりなどがありました。

大学よりは学びの質は下がるかもしれませんが、facebookライブを通してスマホから学べるように動いている方やお坊さんがいらっしゃることはとても良い動きですね。

お坊さんのオンラインライブは、ミャンマー独特の形だと思います。

しかし、ボランティアでのオンライン配信も増えた一方、

オンラインで学ぶという習慣が身についていなかったので、
躊躇する人や慣れていない学生さんもいらっしゃいます。

その感覚は日本でも同様だと思います。

また、今はクーデターのためほとんどの学生が学校に通っていません。

10%くらいしか学校に通っていないと言われています。

その理由として、

・学校に軍人・銃を持つ人が多く
 怖くて学校に通えない
・そのまま拘束・人質にされるリスク
・教員CDMによって授業がない
・爆破物など治安的問題
・軍事政権による教育は受けたくない

など。

その結果、ほぼ2年間の休校(それ以上)が確定しているようなものです。

留学・海外就職を視野に入れる人も多い傾向にあります。

しかし、その中でも教育業界は動き出しています。

・学年別によるfacebookグループでの授業
(登録制で7月授業開始のよう)

・オンライン大学の開講
(海外からの講師も登壇予定)

・各地区でボランティア講師による授業

・DrSaSa氏も、各国にオンライン教育の
 技術支援など呼びかけ

など。

少し裕福な家庭だと、習い事に通わせる親もいます。

知人の甥っ子さん(8歳)もつい先日、日本語学校に入学されました。

また、私個人では技能実習学校での仕事をしていますがスタッフの子供、親戚も技能実習生に混ざって日本語教育を受けていたりします。

算数、理科、社会も大事だよなあ・・
と思うところはありますが、

家で何もしないよりも専門的な勉強も将来の選択肢を広げる手段の1つです。

電化率・インターネット環境などの問題は多々ありますがスマホから学びにアクセスできるチャンスは広がってきているので、幅広く世界中の情報にアクセスできるための支援や各個人の努力は必要不可欠です。

まだ全員がインターネットに十分にアクセスできるとは言えないものの、

コロナ・クーデターがインターネット普及後であったことは不幸中の幸いだったと感じます。

因みにミャンマーでインターネットが一般化したのは2015年頃です。

三社競合になり、価格が一気に引き下げられました。

もしコロナとクーデターが2014年以前だったら・・・と思うと今回とは異なる未来だったかもしれません。


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