【ミャンマークーデター】7月のまとめ〜クーデター発生から半年 〜
こんにちは。
とうとう、8月になりミャンマーで起こっているクーデターも半年が経過しました。
コロナウイルスの爆発により、クーデターとコロナのダブルパンチの苦境の中にあります。
7月は、
・コロナとクーデターの二重苦
・軍による酸素ボンベ・医療機関の支配
・通信会社テレノールの撤退
などが主な注目の部分です。
備忘録として、あと、世間から忘れられないためにも、7月の出来事と個人的な所感をまとめました。
7月31日時点
・死者:940人
・拘束者:6994人
・コロナ感染者累計:29.4万人
・コロナ死亡者累計:8,942人
注)コロナ感染者数は2020年3月下旬からの類型です。2021年2月以降は情勢の影響で正確な統計ではないことが考えられます。
ここから先は、7月の国内情勢・国際情勢・少数民族の動き、の3つの観点で報道ニュースと解説(一部)や現地の動きをまとめていきます。
<国内情勢>
・7月3日国軍司令官の誕生日。65歳。
→各地で模擬葬儀や顔写真を燃やすなどの抗議が行われました。
・7月初旬の段階で、チン、シャン、サガイン、マンダレー、バゴーの20タウンシップがコロナ感染によるStayHome措置を発表
→7月末の段階で、一部地区では、家庭で一人までの外出に制限するための「外出許可証」を1家族1枚配布される。
・7月2日通信会社テレノール が事業売却の可能性を示し、7月8日にレバノンのレバノンの投資会社 M1 グループに 1億500万ドルで売却することが決定。
→テレノールは、ノルウェーの通信会社。
撤退は、経済・ビジネス環境の見通しの悪化とセキュリティの悪化が要因とされます。
しかし、1000億円以上かけて通信インフラの整備、基地局の設置などを行なったにも関わらず、150億円で売却。相当買い叩かれた模様。
M1グループは、シリアなど独裁国家での通信インフラを担っている会社です。
テレノールとしても、不本意だったはずですが、人道を無視した通信監視システムを導入して継続をするか、事業売却か厳しい判断が迫られていました。
テレノールの撤退が示唆される記事
撤退と事業売却について
*レバノンM1グループはイギリスのブラックリストに入っている会社。
・ミャンマー通信監視システム導入
→革命・抗議等の特定ワードで監視、録音。
電話SMS対象。
*通信監視について
通信傍受技術の導入を7/5までに完成するように各通信会社に軍政から指示。
ノルウェーのテレノール とカタールのオーレドーは未導入。
KDDI・住友商事が共同運営のMPTは導入済みで監視チームを組織。
テレノール は売却の報道があるが、各通信会社は、人道を無視した監視システムの導入で事業継続か、雇用・通信サービスを終了して撤退か、厳しい判断が迫られている状況に。
・通信会社幹部の出国制限
・7月10日、コロナの影響により店内飲食・学校通学禁止
・新しい太陽光発電プロジェクトの入札呼びかけ
→中国・タイなど約40企業が入札を計画
・ミャンマーの平和のための祈りを組織したカチン州の三人のキリスト教牧師を起訴
・金より「酸素」が貴重
→コロナ治療のための医療用酸素が不足各地で酸素を求める動きあり。
・ブリヂストン社が7月末で、ミャンマー事業のオペレーション停止を発表
・三菱商事のタイヤ販売7月末で事業撤退
(ミャンマーでブリヂストンのタイヤを販売)
・NLD副会長に対して、汚職容疑申し立て
・DICA(投資企業管理局)が100社の企業の登記抹消
→年次報告書の未提出
・インセイン刑務所内の裁判停止
→コロナ蔓延のため。
・スーチー氏、追加で4件の訴追で計10件の容疑で75年の懲役刑の可能性
・7/11に3461名のCovid陽性患者、82名死亡(クーデター後最大)
(その後、最大死者数は更新し続け、7月末は300~400人、把握されていない死者数を含めると1000人を超えている)
→医療用酸素ボンベ不足で連日行列だが、国軍が酸素ボンベ工場に国民に提供しないように圧力をかける。
・軍事政権、ヤンゴンの酸素生産工場を襲撃
→個人販売は禁止、政権が管理する病院・診療所のみに補給の指示
ツイッターの画像は、ヤンゴンで夜間に酸素ボンベを求めている様子。
・コロナ第3波により、病院で適切な治療を受けれず死亡者数増加。火葬場に行列
・ヤンゴンのインセイン刑務所でもコロナが蔓延し、現在3つの刑務所を閉鎖
(一部の感染した人は、外部の病院に移送されている)
・7月19日は、アウンサン将軍(アウンサンスーチー氏の父親)が殺された殉教者の日
*例年、スーチー氏が式典に出席するが、今年は出席は許されなかった。スーチー氏が公式の場で髪に花飾りをしない日。
・19日(月)は殉教者の日で記念式典が行われた。スーチー氏は出席せず。
・7月17日(土)〜25日(日)を全て公式の祝日になると発表される
→23日(金)に祝日が延期され8月1日まで祝日に。
19日(月)殉教者の日
21日(水)コルバニイード(犠牲祭)の日
(イスラム教のお祭りで集団礼拝など)
23日(金)満月の日
+その間の日を全て連休に。
→ロックダウンのような処置(出勤させないなど)
・イスラエルとカナダのロビイストが国軍との提携を断ち切り
→国際的な制裁により報酬支払いができないという理由
(何か成果が上がっていたのか疑問が残ります)
・電力部門の機能不全
→民主派によるボイコットにより電力エネルギー省(MOEE)の請求書の回収率が2~3%。
(国軍に資金を入れないため、税金・電力などの支払いを拒否)
・電力エネルギー省も、4058名のスタッフがCDM(不服従運動)に参加し、軍事政権によって解雇される
・ヤンゴンの管区長ピョーミンテイン氏がコロナに感染し、軍の病院で治療中
(スーチー氏にお金渡したと自白した/させられたヤンゴン管区長)
・国軍総司令官がアウンサンスーチー氏と面会?
・IRF(国際宗教自由)サミットでミャンマーの少数民族問題解決などに取り組んできた人権活動家のWai Wai Nu が次世代リーダーのチャンピオンとして表彰される
・ヤンゴンのタクシー登録停止
→タクシーと貨物用車両の登録業務の停止再開時期未定(コロナの影響のため)
・ワクチン600万回分の摂取実施方針
→ロシア製と中国製
・違法滞在者の深夜捜索を指示
→自宅以外の場所に違法滞在する人を取り締まり
・コロナ感染予防のため、栄養価の高い鶏肉や卵が値上がり
・医療用品が品薄
→中国との国境貿易停止のため。
タイとの国境貿易も停止し、市場に出回る輸入品が不足する可能性。
また、一部卸市場はコロナのため閉鎖されている。(連休中のみ?)
・銀行の機能不全のため、仮想通貨が代替投資先に
・NLDの中央執行委員会のメンバーU NyanWin氏がコロナのため拘束中に亡くなる
・インセイン刑務所には、約13000人の囚人が収容されているが、7月8日以降封鎖、裁判も中断。
ミャンマー全土の刑務所内315人が感染者、190人治療中、5名死亡(基礎疾患あり)
・国軍、ミャンマー市民に 仏教の詩を暗唱するように促す。
国軍の発言に対する僧侶の発言
「人々が必要としているのは酸素であり、詩ではありません。」
→現在、国軍は酸素ボンベ供給者に、個人用に補充しないように指示している。
・コロナ治療の慈善団体5人のボランティア医師が逮捕される
・ミャンマー軍、ノースダゴンの慈善団体の事務所を襲撃、2名の医師を逮捕
・カレン州タイ国境近く中国が支援するシュエコッコ新都市プロジェクトでスタッフを募集。
150億米ドルの
「ミャンマーシュエコッコ経済特区」で
疑惑付きカジノ都市
→ミャンマー軍が支援し、カレン州国境警備隊(BGF)によっても管理されている。
・クーデターへの抗議活動で逮捕された人以外の犯罪者を刑務所から解放
→刑務所内でのコロナ拡大のため。解放人数は不明。
・豆類価格が下落
→インドが加工業者や輸入業者向けにミャンマー産豆類の在庫制限をかけたため
・オリンピック、ミャンマーからはバトミントン、射撃、柔道の3選手が派遣される。しかし、開会式出席は0
・23日、インセイン刑務所に拘束されている国民が、シュプレヒコール(反体制スローガン)のデモ。
→刑務所内での抗議運動のリスクを考慮すると何らかの原因があったはずですが、現状不明のまま。
(コロナ対策の欠如、死刑判決への怒り、不当逮捕への怒りなど)
・24日、インセイン刑務所にて軍が発砲し20人死亡
・中国から200万個のワクチン寄付のうち73万個以上がヤンゴンに到着
→中国製品のボイコットと、国軍の管理するワクチンを受けたくない、という国民の意思もあるため、どのくらいワクチンが普及するかは不明。
・NUGと民族保健機関がコロナタスクフォースを結成
→国内避難民に医療サービスを提供するドクターやミャンマー各地域で医療を提供する民族グループの医療サービスチームを監督する民族健康委員会
・国際労働機関(ILO)、クーデターとコロナにより、約120万人の雇用が失われたと発表。
特に、建設、衣服、観光はそれぞれ35%、31%、25%減少。
・選挙管理委員会、NLDの圧勝を無効とする決定を発表。
→NLDの解答、幹部への有罪判決などが行われていく可能性。
・非「軍政」のアピールとして国政会議に軍服ではなく、平服で出席
・ヤンゴンの軍系病院に酸素タンク新設
・国軍内でのコロナ死亡数を公表しないように通達
→ミャンマー全国の警察内で1万人の感染とも報道あり。ますますコロナの実態がつかめなくなる。
・通信会社のテレノール売却についてOECD規則に違反すると市民側が批判
→ノルウェーの国営通信大手Telenorによる軍関連企業への売却が経済協力機構に違反しているとして苦情を申し立て。
・“From the people to the people”キャンペーン
→コロナ爆発が悪化し、慈善団体が開始したキャンペーンで黄色・白の服(旗)を家の外にぶら下げて、感染していて助けが必要であることを示す。
白は、食べ物が必要
黄色は、医薬品を必要
という家の中から外に助けを求める合図。
・ミャンマー人口の半分が、2週間でコロナに感染する可能性があると国連が予測
*ミャンマーのワクチン接種は2.8%
・ミャンマー西部ラカイン州で大規模な洪水
・国軍が新しい火葬場を建設
→コロナ予防や治療ではなく、火葬場の建設することに対し非難殺到
・マンダレーで抗議者に国軍が発砲、2名死亡
・ヤンゴン司令部の国軍の大隊にてコロナ感染が蔓延、上級指導者の中でも家族含め感染が広がる。
・国軍司令官が、国際社会に新型コロナ対策の支援を求める、と国内報道あり。
→本当に支援を求めているかは不明。
・7月30日ヤンゴンでのフラッシュデモにて私服の国軍が銃を持って紛れ込み、抗議者の女性が拘束される。
<国際情勢>
・2日、米国追加制裁22名追加。SACの閣僚7名、その配偶者や子どもも。
・2日、国連が政治犯全ての釈放を求めた。
・プレツェルで人気のAuntieAnnesが撤退
ジャンクションスクエア:6/30
ミャンマープラザ:7/16
ジャンクションシティ:8/16
→今後外資飲食チェーンの撤退が続きそう。。
・中国第9回世界平和フォーラムにて、軍事政権への制裁は不適切と発言
→内政不干渉。国の憲法と法律の枠内で対話をすべきと主張。
・ASEAN、特使派遣の選定に行き詰まり。
→4月にASEAN会議で合意された特使の派遣が未だに行われず。タイ・インドネシア・マレーシアでどの国の特使を送るか議論段階。
・中国との貿易、コロナの影響により国境封鎖
→7月初旬の段階で貨物トラックが100台/1日が、20台に減少。7月末には完全に封鎖。
・ロシア外相、訪問先のジャカルタで「ミャンマー危機解決のためASEANの外交努力を強く支持、軍の指導部にも同様のメッセージを伝達」
→ロシアと蜜月でしたが方向転換?
・国連特使、石油ガスへの制裁呼びかけ
→宝石、木材、鉱業の部門は制裁を科しているが石油・ガスの制裁はまだ。
・日本での緊急在留延長300人
→申請全体の3割
・ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がインドネシアとラオスを訪問。
→ASEANは貴重な戦略的パートナーとしての関係性を望む。
セルゲイ外相は、ミャンマーにも訪問しており、ミャンマーの国軍とも親密な関係を築いている一人。
・日本、6.4億円の緊急無償資金協力
→ミャンマー南東部でのクーデターの影響を受けた人に対し、UNICEFなど国際機関を通じて資金協力
・国連難民高等弁韓事務所(UNHCR)、クーデター以降21万人が国内避難民(IDP)になっていると推計を発表
・15日(水)、ASEAN外相とブリンケン米国国務長官が会議
→ASEANに対し、暴力の終結、ビルマの民主化への移行の回復、不当に拘束されたすべての人々の釈放を促すための共同行動を取るよう求める。
ミャンマー軍事政権の外相ワナ・マウン・ルウィンも出席。
(東南アジア外相としては八方塞がり状態)
・国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)、日本の官民が建設を進めている事業についてミャンマー事業撤退要求
・シンガポール、ミャンマーからの入国を厳格化。
→日本帰国では主にシンガポール便が利便性が高く重宝していた人も多かったはず。
・UNHCRによる難民への寄付の一団がチン州ミンダに到着したが
「国軍からの寄付」というラベルが貼られる。
・日本政府、酸素濃縮器700台を提供
・タイとミャンマー国境が8月4日まで閉鎖
・世界銀行、ミャンマーの経済は今年度18%縮小と述べる。
(クーデターとコロナ第3波のため)
→約100万人の雇用が失われる可能性と賃金の低下、収入の減少
ttps://www.irrawaddy.com/news/burma/myanmars-economy-to-contract-by-18-this-year-world-bank.html
・タイの国境警備隊が、タイからミャンマーに密輸されるマスクを押収
・資源輸出額、46%減
→石油と天然ガスを含む資源輸出額827億円に。コロナによる輸出規制が影響
・国軍、イギリスのミャンマー大使館の新たな責任者を任命
・難民申請のサッカーミャンマー代表選手がJ3クラブ練習生に
・中国からワクチンが到着
→300万回分のワクチン
(200万回分は、中国からの寄贈)
*中国のワクチン外交
昨年末以来、中国は、一帯一路(BRI)の医薬品拡張である「ヘルスシルクロード」の下で、80か国以上にCOVID-19ワクチンを提供することを約束。
・ミャンマーとタイ間の国境貿易、洪水のため停止する可能性が高い。
→緊急に必要な輸入医薬品と酸素ボンベの輸入の入り口であった場所。
・米国国防長官ロイド・オースティン氏が、国軍を叱責。
ASEANに暴力の終結を要求し続けるように促す。
・8/6 オンラインにて日メコン会議が開催予定。
参加国はカンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム。
<少数民族武装勢力・人民防衛軍(PDF)>
・1日、シャン州南部の山岳地帯にてSSPP(シャン州進歩党)とRCSS(シャン州復興評議会)が1ヶ月間領土問題を巡り闘争。
→2017年SSPPとミャンマー国軍が衝突している間に、RCSSが山間の村を占領。
*SSPPの裏には、ワ州連合軍(UWSA)がついているとされている。
・30日、チン州ハカとファラムの街で国軍とチンランド防衛軍の衝突
→約40人の国軍兵士が殺害される。
・ザガイン地区で25人の民間人が銃撃戦により殺害される。
・ミャンマーEAOの平和構築チーム責任者が辞任
*EAOとは、全国停戦協定に署名した10の民族武装組織
・ザガイン管区のカタで、70回の衝突
→軍側兵士180人以上が負傷、PDF側3名死亡。PDFはKIAの支援を受けている。
・連邦政府のシャン州戦線(SSFF)から新たに結成されたシャンの政治組織とシャンの政党シャン州解放党(SSLP)は軍事政権に反対する統一戦線を求め、和解と休戦
・民族武装のカレンニー軍(KA)はカヤー州ロイコータウンシップで国軍と衝突、国軍側に7名の負傷者,1000人以上の避難民。
・カレン民族解放軍(KNLA)第一旅団と、ミャンマー国軍管理下のカレン国家国境警備隊(BGF)が衝突
・ザガイン地域の3つの村で銃撃戦。5000人以上の住民が、避難
・シャン州進歩党(SSPP)、中国からワクチンを購入、領土内の人々に予防接種
→約50万人分
・軍事政権と良好な関係性の民主カレン仏教軍(CKBA)のリーダーがコロナで無くなる。
・チン州ミンダで再び銃撃戦
→6月23日に一時停戦に合意し、約1ヶ月の停戦中だった。
ミンダの街には、UNHCRが約50家族に援助をしていましたが、人口の80%が農村に避難しているので行き渡っていない。
・ラカイン州のアラカン軍、コロナ蔓延を防ぐため2週間都市封鎖。
・ミャンマー国軍と同盟関係のカレン州国境警備隊(BGF)の上級司令官の司令官がコロナで死去
→タイ国境近くの中国支援の新都市プロジェクトの治安担当
・ザガイン地域で、57人のPDF戦闘員が国軍側に捕まる。
・ザガイン地域で、1万人以上の地元住民が避難民となりジャングルに避難。
・シャン諸民族民主連盟(SNLD)、国軍による2020年選挙無効決議を非難。
・ミャンマー北部KIA(カチン独立軍)が住民に大規模なコロナ検査
→病気になった場合は報告するよう促し、協力しない人に対して懲罰的な措置
<7月のまとめ>
国内状況、国際情勢、少数民族・PDFの3つの観点から7月のニュースをまとめました。
爆発事件やPDFの動きが活発化した6月と比較して、
7月は爆発事件は大幅に減り(なくなったわけではありません)、
コロナによる影響が大きくなりました。
7月末では、コロナの陽性率40%を超えたり、正確なコロナ死亡者数が推計できず、亡くなった方は1000人を超えている、と一部では言われています。
コロナの死者が激増した大きな要因は「医療崩壊」と軍による酸素ボンベの取締りです。
・医者不足
・・・・医者のCDM(不服従運動)により、職場に戻りたくても拘束されるリスク
・病院が、軍に占拠されている状態
・入院費用が10万円超え(ミャンマー人の所得で支払いができる額ではない)
・酸素ボンベ不足
・・・国軍による酸素ボンベ奪取、酸素ボンベの寄付を押収、
・酸素ボンベ供給の個人販売を禁止
・・・1本30万円超えの酸素ボンベも
・医薬品の欠如
などの要因があり、コロナに罹っても適切な治療を受けることができず、
自宅で亡くなる方が増えています。
自宅療養していた親子が、誰にも知られず死後に発見されたケースもありました。
死後は火葬場に運ばれますが、火葬場もパンク状況で、毎日1000人以上のご遺体が運ばれ、遺体を焼ききれない状態にまでなりました。
シンガポールや欧米の一部では、デルタ株の感染力であっても、インフルエンザと同じ扱いにするなど、徐々にコロナを「脅威」から「共存」にシフトするなどの動きがある中、
ミャンマーでは、コロナの猛威は治りません。
他国でのコロナの致死率を考慮すると、ミャンマーでも、まともな医療を受けることができれば、死亡者数もここまで増えることはなかったのではないか、と感じます。
医療崩壊というよりも、国軍によって一方的に治療を受けさせない、ということによって死亡者数が激増しています。
さらに、コロナが人に与える「不安」という感情が、現状をさらに混乱に陥れているのではないでしょうか。
若い方は比較的症状は軽く、回復している事例も多いですが、8月も、コロナによる混乱は続きそうです。
<8月に向けて重要な点>
個人的な主観ですが、8月に重要になりそうな点を3つまとめました。
1、コロナ対策
上にも書いた通り、医療崩壊という言葉以上の破壊力があります。
・医療崩壊
・国軍による医療品奪取
・感染力の高いデルタ株
など。
中国・ロシアからワクチンは届きましたが、医療不信から摂取を希望する国民は少ないと考えられます。
自宅で医療をするしかない現状で、どのようにコロナと戦っていくのか(もしくは共存していくのか)、コロナ対策、医薬品の入手、ワクチン摂取、コロナによる営業規制と経済、など課題は尽きません。
欧米やシンガポールなど、コロナを風邪扱いにする国もありますが、
ミャンマーではまだ重症化ケースが多く、コロナとの戦いは長引くのではないかと考えられます。
国内では、酸素ボンベの供給不足、医薬品不足など、コロナ治療においては機能不全となっているため、海外からの支援をどのように受け取ることができるか、など今後の課題となってきそうです。
2、経済対策
7月末に、世界銀行より、
コロナ第3波とクーデターの影響で成長率は-18%という見通しが出ました。
さらに、外資飲食チェーン店や小売店の撤退(アンティアンズ、ブリジストンなど)も相次いでいます。
貿易関係も、
輸出30%減
輸入39%減
となり、米ドル収入が減っています。
しかし、中国・タイの輸出入額は、前年同期比はあまり変化が見られないので、主に、欧米の取引減少が影響していると見られています。
今後も、外国投資が見込まれないため、さらに国内景気は厳しく、雇用も維持できない会社が増えていく可能性があります。
また、コロナ第3波によって営業規制も重なり、経済は大ダメージとなっています。
人命第一ですが、企業としての雇用対策や撤退の有無など厳しい判断の最中にあるのではないでしょうか。
3、通信監視
7月に大きな衝撃だったことは、ノルウェー通信企業のテレノールの撤退とレバノンの投資会社M1グループへの売却でした。
通信企業は、国軍から監視システムの導入を言い渡されています。
通信各社は、
・人権を無視して、監視システムを導入し、事業継続(赤字覚悟)
・人権を重視して、監視システムを導入せず、事業撤退・売却
・人権を重視して、監視システムを導入せず、事業継続(拘束/ライセンス剥奪の可能性)
の大きく3つの選択肢しかありませんでした。何れにしても八方塞がりで、為す術もない程厳しい状況です。
結果、テレノールは「事業撤退・売却」となり、レバノンの投資会社M1グループに買い叩かれ、撤退。
(事業は継続、ライセンス譲渡、従業員・顧客は維持)
顧客情報や通信でのやり取りも全て渡されるかもしれません。
今残っている通信会社は、
・MPT:日本のKDDIと住友商事、ミャンマー国営MPT社との3社の合弁会社
・ooredoo:カタールの通信会社
・Mytel:ベトナムとミャンマー国軍系企業の合弁会社
の3社と、M1グループに買収されたテレノールです。
Ooredooも、撤退の噂が囁かれていますが、どのように結論が出るかはまだわかりません。
しかし、通信規制は免れない今後の流れの1つになりそうですので、VPNの利用や暗号、機密情報を電話で話さない、など自衛の措置が必須になるかもしれません。
長くなりましたが、7月のまとめと個人的な所感でした。
クーデターも半年が過ぎ、コロナの影響でさらに混沌としてきました。
国際社会からの呼びかけはもちろんですが、通信規制やコロナ対策にしても、個人でまず自分を守る、家族を守る、自社を守る、その輪を広げる、という人道支援の面で市民社会同士の繋がりや支援の輪が今後さらに重要になるのではないでしょうか。
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引き続き、ミャンマークーデターのことを忘れず、民主化を諦めず、伝えられること、伝えていきたいと思います。
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