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第53話 本屋に行こう 続

屋久島の深い静かな森の塾を立ち上げから支えてくれた知人が京都に住み、蔦屋でアート担当として働いているというので河原町の高島屋を訪ねてみた。

蔦屋は、京都高島屋の新館の5階、6階のツーフロアを占めている。
その知人に蔦屋を案内してもらったのだが、まず最初に目につくのが、ギャラリーである。
というか、蔦屋全体がギャラリーと言っても良いのかも知れない。
至る所に、絵や美術品、工芸品が展示されており、いること自体が楽しくなってくる。
写真集や画集なども、普段目にしないけれど、ワクワクするものがあり、閲覧用の本があるのでつい見入ってしまう。
1メートル以上もある巨大な本もある。
フェラーリのエンジンを模った本もあり、ここは好奇心を掻き立てる大人の遊園地だ。
そして、多くは手に取れる。

一方で、本屋というのは、割りの合わない仕事だとも思う。
世界中の面白い良書を集めるには、
相当の手間と時間がかかるだろうし、
本当に売れるかどうかわからない本を在庫として持つというとてもリスクが高く非効率な仕事だ。
効率と利益を追求するだけの企業では、決して手を出さないだろう。
売れやすい本だけを置いている効率的な本屋もあるだろうけど、良い本屋とは人に驚きを与え知的好奇心を掻き立てる場所であり文化を作り出す良い仕事なのだと思う。

あらためて、本屋というのは、行く価値があるのだ。
自分の中に隠れていた好奇心が頭をもたげ、視野が広がって行く。
欲を捨てたいと思っていても、この本もあの本もあの絵もと欲しくなってしまう。

本屋に行こう。
本屋は、単に本を売る場所ではなく、人を覚醒させ、知を、好奇心を掻き立ててくれるワンダーランドだ。
ネットで本を買っている限り、フィルターバブルの中に閉じ込められて、可能性が制限されてしまう。
本屋に行こう、そこには、自由なる世界が広がっているのだ。



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