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【続超訳・深掘り第3弾歌詞考察】フリースタイルピアニストけいちゃんの幻想即興曲アレンジの考察と感想と想像によるファンタジー


〈超訳と考察 第1弾〉

〈超訳と考察 第2弾〉


〈今回は第3弾〉

けいちゃんの幻想即興曲アレンジ聴くの
もう何百回目か不明だが飽きない。
演奏もさることながら厚みある曲の多重構造で後から色々仕掛けに気付く事が多い。
これを"けいちゃん無限リピート症候群"と私は呼んでいる。
今回マニアックな深掘りとなっている。
相変わらず想像が膨らみ過ぎている感ありだが
お楽しみいただければ嬉しい。

※元動画内の歌詞は「」内に示す。
日本語訳は必ずしも文法通りではなく私の個人的主観による超意訳となる。
あくまでも個人の受け取り方の1つであり推測や想像に基づく感想文である。必ずしも作者のけいちゃんの意図ではないだろう事をあらかじめご了承いただきたい。

〈けいちゃんの元動画コチラ↓〉


〈歌の始まり 字幕ない部分の歌詞〉

女子高生の万札を「いらない」と断った
けいちゃん演ずるストリートミュージシャン
彼が1音弾くと歌が流れ世界が変わる。

「I'll give this wretched heart to you.」
の後に
〜幻想即興曲 Fantasie Impromptu〜
とタイトルが出てその後の歌詞が字幕になっていないがおそらくこうだと思う↓

「I wanna be somebody else,oh」
誰か他の人にかわりたい
「Take me from this muddy city.」
この泥沼から連れ出して
「(I)should be somebody else,oh,oh」
生まれ変わらなきゃ

どこか遠くで独り言囁いてるようなボーカル
そこからの「When I turn around〜」は
何かに追われるようなビートに乗り鍵盤上を縦横無尽に指が疾走する。

のっけから引きつけて離さない展開だ。

〈嬰ハ短調の有名曲モチーフ隠れてた〉

モノクロームの森の奥、教会への扉が開く。
その辺りからテクノポップな低音サウンドでリズムが刻まれてゆく。
この音は私のイメージでは大きい熊さんがノソノソ歩き足音をつけてゆく感じ。
同じ3つの音(フルートのような)で少し不思議そうなキョトン顔でついて行くのは小さな熊ちゃん。

おや?そういえばこの旋律は…!
ラフマニノフ前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2
通称『鐘』の出だしの3音ではないか!
どおりでゾワゾワするはずだ。

ラフマニノフ 幻想小品集より
前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2
『鐘』

ラフマニノフさんご本人による演奏↓


〈完全に脱線・私が作った小さな物語〉

ラフマニノフの前奏曲 嬰ハ短調『鐘』は
浅田真央さんが2010年バンクーバーオリンピックで使用した曲としても知られている。
凍てつくロシアの大地とどこか悲劇的な運命のようなものを感じさせるメロディ。
そのイメージから私が作った小さな物語。

『ロシアの街 夕闇の鐘』

凍える息 かじかむ指先
頬にあたる風は痛いほど
吹雪の近づく匂いがする

何も持たずにどうして どうして
飛び出してきてしまったんだろう
あの人が あんな事を言うから

帰りたくない
帰れない もうあの家には
どこで体を温めたらいい?

誰か…誰か 助けてくれませんか?
涙で街の景色が曇っていたって
この夕闇では誰も気付いてくれない

手足がどんどん冷たくなる
このままではいけない
このまま夜を迎えてはいけない
どうしよう…神様!助けて!

あ、教会の鐘が聞こえる
祈りの時間…
そうだ!神父様!
シスターにも相談してみよう

きっと何とかなる
きっと未来はやってくる
きっと明日は光が差す
きっと
きっと
きっと… …


この物語は若き日のラフマニノフ少年が師事していた先生と仲違いし下宿していた先生宅から出てしまった史実を元にして私が創作したフィクションである。
最後に夕方6時祈りの時間を告げる鐘が6つ鳴る。
そこに悲痛、不安、躊躇、決心、希望、静かに歩き出すという変化を"きっと"という言葉で表してみた。

これがプロローグとなりこの後に同じラフマニノフのピアノ協奏曲第2番 ハ短調へと壮大な物語が広がっていく…というのが私のイメージ。

〈月光ソナタも嬰ハ短調〉

ベートーヴェンの『月光ソナタ』として有名な
《ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 
幻想曲風ソナタ
作品27-2

こちらにも幻想と名がつく。
一説によればショパンはこの月光ソナタ第3楽章に影響を受けて幻想即興曲を作曲したとも言われている。

嬰ハ短調の醸し出す雰囲気なのだろうか
それともベートーヴェンもショパンも
共に健康の悩みを抱えていたから
似たような想いが曲に宿ったのだろうか?

どこか憂鬱で現実と非現実をさまよって
衝動に駆られ走り出したり立ち止まったり
変わりたい変われない もう逃げ出したい!
絶望と希望を行ったり来たり戸惑って
微かな希望のようなモノを見てもそれは幻
どこに行くべきあてもなく答えは出ない
激しく揺れ動き定まらない心と身体

そんな風に感じられる。

ところで《月光ソナタ》も後からつけられた曲名でベートーヴェン自身は"幻想風ソナタ"とだけ書いていたと。
後年ドイツ人詩人で音楽評論家でもあるレルシュタープさんが「スイスのルツェルン湖に映る月光の波間に揺れる小舟のよう」と評した事で《月光ソナタ》と名がついたのだとか。
暗さを夜の湖、透明感を月光、葛藤や焦燥などの心の揺らぎを小舟の揺らぎとしたさすがに詩的な美しい表現だと思う。
ただ2楽章・3楽章は雰囲気が変わるので私は以下のような独自のイメージで聴いている。

第1楽章:逃れられない運命を知って消沈
第2楽章:現実逃避と微かな希望
第3楽章:どうしたって突きつけられた現実
→文献を調べまくったり頭を掻きむしって悩む
→どうにもならないという答えに行き着く
→絶望に浸る(ズドーンという低音部分)
→理不尽な怒りが込み上げる
→ちゃぶ台ひっくり返す(八つ当たり)
→疲れて何もかも放り出し大の字になる
→おもむろに押し入れに向かい布団敷く
→布団かぶって寝る

ちゃぶ台ひっくり返すあたりは完全に私の勝手な想像で何の根拠もないがあの第3楽章の低音から高音へイライラが募って爆上がりしていく感じ、3〜4回は我慢したけどついにやっちゃいました感を伝えたくてちゃぶ台を例にとった。
ベートーヴェン先生大変申し訳ない(土下座)
ただこの曲が作られた頃にちょうど耳が聴こえなくなり始めていたとは伝えられている。
ただでさえ"聴力を失う"という恐怖が耳が命とも言える音楽家にとってどれだけの苦痛と絶望をもたらすだろうか…それがこの曲に込められた心のように思えてならない。

〈月光ソナタけいちゃんアレンジ〉

昨年8月のファッションショー後のモデルさん達ご出演の月光ソナタ第3楽章けいちゃんアレンジ。
「まさかこう来るとは!」
という想像の斜め上を行く驚きと斬新さに満ちていて毎回開始5秒位で「わー待って待って!」
と巻き戻して聴き直すのが常だ。

途切れ途切れに聴こえてくる気だるいボーカルは
どこか斜に構えたような諦めた感があり派手でドラマチックな旋律と対称的だ。
鍵盤の白と黒 衣装の白と黒
この世とあの世 陰と陽
過去 現世 虚無 幽界 来世
そんな静かな世界観の中でピアノだけが
もがいてあがいて泣き叫んでいるよう。

「We'd never be the same」
ずっと同じではいられない
=変わらないものなんてない
=諸行無常

と歌っている。

サビ部分は

「This is a life time.」
これが人生さ。
動画全体のこの世ならぬ雰囲気から
"人間の生涯なんてこんなもんさ"
くらいの意味にも受け取れる。

そう考えるとアレ?
拡声器を持って歌っている方のけいちゃんが
"円人"に収録されている『Life Game』に
登場するおっちょこちょいな僧侶なのか?
と思えてくる。
長い袖をプラプラしていたり音遊びのような部分も多いのはそのせいだろうか。
取り巻くモデルさん達は百鬼や千鬼のイメージ?
実際幽霊役のモデルさんもいらっしゃるし"人ならぬ者"感が大いに漂う。

その中で唯一もがいて泣き叫んでいるのがピアノでありこちらのけいちゃんが夜行君役?
この動画は円人の世界観ととてもリンクしているのでそんな風に見てみるのも面白い。

けいちゃんご本人が「僕の死生観について語ったらもう…」と言っていた事がある。
もっともっと語りたい事があるという意味と思うがいつか是非それについて聞けるといいなと思っている。


第3弾は嬰ハ短調つながりでかなり脱線しましたが長々読んでいただきありがとうございました。


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