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回顧手記「旅のカタチ」 2007.08.31

 「色々あって疲れ切ってこにこに辿り着きました。小樽・・・なんてステキなところなんでしょう。このあとまたがんばるぞ!」
 その旅人が残した言葉には、至高のプレゼントをもら ったような幸福がある。 彼女はこの旅で今までの考え方や人生観まで変わったと言っていた。「旅」にはそういう魅力がある。
 もう一つ、旅の魅力に「食」 がある。これは日本人に多い 傾向で、欧米系の旅行者は旅に「食」を求めていない。どちらかというと「食」に無頓着である。私の宿は自炊できるので、パスタなどを 自分で作る旅人もいるし、ワインとチーズを買ってきてそれで済ませる人もいる。ある意味自分のスタイルを崩さない頑固さを感じてならないのだが、彼らは彼らなりに旅を楽しんでいるようだ。
 日本人からは毎度のごとく同じ質問を浴びせられる。「安くておいしいおすし屋さんは?」 「お薦めのラーメン屋さんは?」 「カニを食べたいんだけど?」と。
 日本人の旅には「食」が欠かせない。キャンプなどは別のようだが、旅に来てまで自炊などしたくないと思う旅行者も多く、日本人でキッチン を使う人は少ない。
でも、ちょっと違った旅を してみるのも面白い。市場に行っていろいろ物色し、食材を買って、自分で作る。そこに新しい旅の「食」を感じると思うので、一度ぜひ試してもらいたい。

北海道新聞 夕刊 えぞふじ 2007年8月31日(金) 掲載

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