謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉

 早大探検部出身のノンフィクション作家 高野秀行が、日本独特の食べ物だと思っている人も多い納豆について、アジア各地で現地調査した記録です。
 各地の納豆と納豆料理を食し・作り方を見せてもらい・自分達でも作ってみる中で、日本の古来の作り方のように藁を使うのではなく各種の植物の葉を使うという違いはあるもののどれもまぎれもなく納豆であり、平原に住む民族から圧迫されて山岳地域に住む民族の間で納豆文化が生きているという共通点を見出します。
 日本の納豆の起源についても調査していますが、世界のどこかで生まれた納豆が他の国々にも伝搬したのではなく、各地で同時多発的に生まれたのではないかと筆者は想像します。
 最後には、稲作を始める前の日本の縄文人も納豆を作っていたのではないかという仮説の有力な状況証拠に到達します。
 高野さんらしい体当たりの取材が際立つ面白い本でした。

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