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中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~BtoB企業編~

この投稿は、デザイン経営がBtoB企業では導入しづらい理由ついて論じた部分の要約になります。

ここまでは、中小企業の組織構造上問題点がデザイン経営の成功を阻害するという論点でした。

ここからは、企業規模に関わらずBtoBやサービス業もデザイン経営を導入しづらい理由があることについて論じていきます。

戦略デザイナー森田昌希のビジネスレビュー「中小企業におけるデザイン経営の戦略的重要性と新たな要件の要約⑬になります。

森田昌希プロフィールついてはこちら

●キーワード

デザイン経営/デザイン経営宣言/BtoB/サービス業


●BtoB企業に浸透していない事実

先に論じたように、デザイン経営の成功事例はBtoC企業に偏っています。

それはなぜか?

その理由を明確にし、原因を潰す対策を新たな要件として加えればデザイン経営はもっと浸透していくと考えています。

実際に、デザイン経営宣言の成功事例集を読んでも、大企業やBtoC企業の事例が殆どを占め、99.7%を占める中小企業の事例が殆どありません。

●BtoBとBtoCの違い

なぜデザイン経営はBtoB企業に浸透しづらいのか。

結論から言うと、BtoB企業におけるデザイン経営は売上に直結しないからです。

その理由をBtoBとBtoCの根本的な違いに求めにいきました。

BtoCとBtoBの最も異なる点はなんでしょうか?

顧客が個人か法人かですね。

つまり、個人と法人の購買行動や行動心理の先行研究から異なる点を比較してデザイン経営の関与度を見ました。

個人:短期、機能and情緒、少人数、情報量少ない、接点多い

法人:長期、機能>情緒、大人数、情報量多い、接点少ない

BtoB事業は顧客が法人のため購買行動に以下の特徴があります。

・長期

緊急を要しない限り、年次の予算と計画で必要なものを検討し購入(導入)へ至ります。衝動買いという概念がありません。

・機能

必要な情報を多く集め、論理的に比較検討します。価格だけでなく、納期、調達先の企業情報、実績、テスト導入など定量的な情報を多く集め論理的に評価します。

・情緒

「パッケージがカッコいいから思わずカゴに入れた」はほぼ起こりません。価格、納期、実績など定量的な条件を満たしていないサービスをデザインのみで衝動的に導入することは殆どないと言えます。BtoCのマーケやブランディングでは重要視される情緒的価値が意思決定のトリガーになりにくい特徴があります。

・人数

法人の意思決定には複数の承認が必要で意思決定が多層構造であること多いです。そのため情緒的価値が薄れていきます。

マシュー・ディクソン氏(2018)の調査によると、企業の購買関与者約3,000人に対して行った調査で平均5.4人が意思決定に関わっているというアンケート結果があります。

・情報

論理的な比較と承認のため多くの情報を求めます。意思決定が長期に渡るのは集める情報が多いからです。

この集める情報が多いという点が、デザイン経営導入の突破口になります。

逆説的ですが分かりやすい例えを入れておくと、お取り寄せグルメを買うときに会社概要や沿革や販売実績など企業情報を隅々まで見る人は少ないのではないでしょうか。(※ここでは買回り品を比較対象としています)

・接点

購入者は多くの情報を求めるが接点それ自体が少ないという特徴がBtoBには見受けられます。販売している法人が少ない、簡単に取引が開始できない、など取引の接点が少ないんですね。

接点が少ないところで多くの情報を集めるというBtoBの特徴がデザイン経営導入の突破口になります。


●まとめ

BtoBの意思決定における隠れた特徴をまとめますね。

意思決定のプロセスが論理的に実行されるということは、

限られた接点のなかで取引企業の情報を多面的に収集するということです。

顧客との接点は少ないが接する時間は長いことが特徴と言えます。

この投稿ではデザイン経営を導入するための要件ではなく、問題点を明確にする部分を論じているため問題点にフォーカスしています。

BtoBにおいて、コーポレートサイト等から信頼性や理念への共感があったとしても直接的に取引のトリガーになったかどうかの確認がしづらく、デザイン経営による成果が売上に直結していることを証明しづらいことが大きな問題点なのです。

この投資効果を計測することの難しさがデザイン経営の浸透を阻む最も大きな壁であると感がました。

次の投稿では同様にサービス業での問題点を明確にし、中小企業、BtoB、サービス業を、リソース軸で問題対策していきます。


(続く)中小企業にデザイン経営が浸透しづらい理由~サービス事業者編~

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