風景と鉱石
大分県 黒岳 男池湧水群
先日アップした風景写真を見て、
その風景を「ラブラドライトのよう。」
と、コメントを下さった方がいらした。
風景を鉱物に例えた感性がとても新鮮で、その感想に深く納得もしました。
本当に、ラブラドライトだったのです。
私は以前、宝石を扱う仕事をしていました。
ショーケースに陳列された宝石の中から、お客様自身に合う宝石と出会われた時のあの笑顔は、そこに立ち会えた私にとって真に喜びでした。
一期一会。本当にそう思える瞬間でありました。
何年もその仕事に携わっていると何とも説明の出来ない経験をするもので、ご来店された瞬間に、「あ、このお客様は何かをご購入される。」と、直感的に気づいてしまったり、または朝の開店前にふと目に留まる宝石がありそれはその日の内に、持ち主となるお客様との出会いがあった。などです。
時折感じていた説明し難い感覚は、石と人との間に働く磁力の様なものが起こしているのではないか、と思った事もありました。
ラブラドライトはパワーストーン的には月と太陽の石と言われているようです。(解釈はサイトにより微妙に変化しています。)
【ラブラドライト】
1770年 ラブラドル島でモラビア教宣教師によって発見され、ヨーロッパ諸国へと伝わる。
珪酸塩/テクト珪酸塩鉱物
三斜晶系 ガラス光沢
灰色〜青〜緑〜オレンジ〜黄〜桃色〜紫の色調を持つ。
産出国 カナダ、フィンランド、マダガスカル、メキシコ等。(※フィンランド産のみ、スペクトロライトと名称が変わる。スペクトロライトについては別記事にしたいと思います。)
自宅で保管しているラブラドライトはカナダ産となっていました。カナダ、フィンランド産の青は特に深い色味を持つ印象があります。
手にした時は、モルフォ蝶の様だなぁ…と言う、普通の感想でした。
それらの混入鉱物や、結晶構造、劈開の反射、散乱により鉱物面に微細な星々の様な煌めきを見せています。
イヌイットの伝承に、
戦士が槍でこの石を突いたところ、そこからオーロラが現れた。
そんな話が残されていました。西洋の宣教師が発見する以前から、現地ではこの長石の存在を知っていたのだと思えます。
鉱物に纏わる話を見ていくと、その土地の先住民と鉱物との関わりや伝承が残されている事があり、大抵それらは神聖なもの、精霊を宿すものといった内容です。
彼らは転がっている石をそのままに、それを観察し、微妙な石の変化を読み取っていた。
後に守護石として身に纏う様になって行く。
花冠と同じ様に、その力を授かろうとしたのですね。
そんな純粋な眼で鉱石を眺める事の出来る人。
イヌイットがラブラドライトとオーロラとを結びつけた様に、風景から鉱石を感じ取るのはやはり、本能なのだろうと思えるのでした。
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