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情報を発信する側と、受け取る側の違い

良い腸内環境を語るうえで、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7という、
腸内細菌の割合を示したものがあります。

しかし、これらは近年(私の知る限りでは10年くらい前)、
一概にこの割合が「良い」とはいえず、腸内細菌の割合は“人によって違う”という見解が広がりを見せています。

とはいえ、ネットや専門書には、上記の割合が最善であるといった記事が今尚多く存在しており、

私はその理由として
『善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7』と言った方がわかりやすいから
と考えています。

今回はこの現象を通じて、情報を発信する側と、受け取る側の違いについて記そうと思います。


■情報を発信する側

情報を発信する側は、伝えたい分野について、専門的な知識が豊富であることが多いです。

言い換えると、知識の引き出しが多く、それらを多角的に捉えることことができるので、1つのテーマに対して様々な要素、或いは他の分野に紐づけることができます。

したがって、1つの問いに対して、1つの答えで断言するのではなく、
『○○と考えられている』
『○○な可能性がある』
というような、少しぼんやりとした回答になることが多いです。

一般的に『専門家』とよばれる方は、その分野についてズバっと答えを明言してくれそうな印象があるかもしれませんが、実際には、多くの可能性を知っているため、“こんな考え方もあるよ”といった説明になることは少なくありません。
※質問内容によっては明言されます。

さんまさんが司会進行を務める『ホンマでっか!TV』でも、専門家の先生方が説明の中で「・・・といわれていて」や「・・・と考えられていて」という言葉を用いている姿がよく見られます。

■情報を受け取る側

情報を受け取る側は、専門知識が少なく、いち早く(手っ取り早く)明確な答えがほしいと思っていることが少なくありません。

日本人はとくに“白か黒か”で答えを求めようとする傾向が強いといわれています。

言い換えると、無知な状態の時ほど断言したがる傾向があるともいえ、前述した「○○といわれている」というような答えは、曖昧でしっくりこない印象を持たれがちです。

■多元論と二元論

このように、情報を発信する側と、受け取る側には、若干のミスマッチが生じます。

1つの事柄に対して「色んな考え方があるよね」という考え方を『多元論』といい、
「良いか・悪いか」というような“白か黒か”な考え方を『二元論』といいます。

あくまでも個人的な印象ですが、
多元論は、多角的で思考の幅が広がりますが、若干わかりづらい傾向があり、

二元論は、短絡的な思考に陥りがちですが、わかりやすい傾向があります。

前述したように、日本人は“白か黒か”で答えを求めようとする傾向が強いため、二元論でやり取りすることが多く、流れてくるネット記事も二元論であることが多いです。

したがって、情報を発信する側が多元論的な思考である場合は、受け取る側に合わせて二元論的な回答にする必要があります。

前述したさんまさんの番組でも、先生方も二元論によせて話しているように思えます。

■多元論と二元論のバランス

改めて、冒頭の腸内細菌の話に戻すと、近年の情報が「腸内細菌の割合は人によって違う」であったとしても、その情報を得たい人、もしくはその分野に精通していない人にとっては、わかりづらかったり、納得できなかったりします。

発信する側は、受け取る側に納得してもらうことも大切ですので、純度100%の多元論では、ニーズに上手くハマらないこともあります。

情報を得ようとしている人が、何を知りたいと思っているのかを観察し、ニーズのバランス、即ち多元論と二元論のバランスをとりながら発信していくことが大切だと思います。

『善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7』という情報も、多角的な見解の中の1つであり、ウソではありませんし、なによりわかりやすいです。

そこで興味をもって「“人によって違う”っていう見解もあるんだな」と知見を拡げることができれば、とても有意義な学びになるはずです。

■まとめ

『善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7』という情報が今も色濃いのは、発信側が多元論と二元論のバランスをとっているから・・・
というのは、あくまでも私の予想ですが、専門性が増すと答えがぼやけていくのは事実です。

私もセラピストの知識が乏しい時、
「私の肩こりってなんでできるんですか?」
というお客様の問いに対して、
「重いものを持ったからです!」
なんて中身スッカスカな返答をしていましたが、

今同じ質問をされたら「原因にも色々あるんだよなぁ・・・」と色々考えそうです。

ということは、「私の肩こりってなんでできるんですか?」に対して「重いものを持ったからです!」のヘンテコ返答でも、納得してもらえたら、二元論同士でニーズにマッチしているともいえます。皮肉なことですが・・・(^-^;

セラピストは専門性を高めると、どんどん多元論的な思考が強まりますが、お客様の多くは専門知識が無く、二元論的回答を求めてくるものです。

セラピストをしていれば一生ついて回る問題ですが、質問の本質を探るスキルを高めるためには、まず、このミスマッチが少なからず存在することは知っておきたいところです。



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