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製版における出力見本考(2022年現在)

入稿の際、出力見本を添付してくださる皆様。いつもありがとうございます。
PDF入稿が当たり前になって久しい昨今、出力見本のおかげで救われた事故未遂がどれだけあったのか。
全てを数えることなどできませんが、出力見本は本当に大事です。

そもそも、出力見本を何に使っているのか、詳しくご存知でない方もいらっしゃるでしょう。
出力見本は、検版において大変重要な役割を担います。
読み方は完全な個人的解釈ですが、出力見本とは読んで字の如く「出力の見本となるもの」です。そうやってつけられて名前なのかは知りませんけども。文字の形、流れ、字間・行間から、配置・レイアウトまで、「この形でなければならない絶対の見本」です。
ちなみにプリンターの印刷色再現等の問題から、大抵の場合、出力見本が「色見本」の役割を兼ねることはありません。ひどいプリントを持ち込んでこのカンプに印刷の色合わせろとか無茶を言ってはいけませんよ?
「絶対の見本」つまり「正しい」存在であり、これが検版(けんぱん)の素材となります。
検版とは、製版処理(RIP処理)した紙面が、正しい姿で出ているのかを確認する作業です。
今日も現場で並行法・交差法を駆使した多くの製版作業者が、面白顔で出力見本&プルーフとにらめっこしています。(嘘です。)

検版というセーフティネットが成立するためには「正しい」姿の現物が必要であり、これが校了紙、別名:出力見本です。
そう、校了紙です。
校了した紙、校正者がOKした紙、目を通して良しとしたブツです。
(責了紙?それはちょっとめんどくさいので置いといてください。)

出力見本が検版の素材たるためには「校正者の了」が前提となります。
故に、印刷営業が校了紙を引き揚げ忘れて(やっべ、まあPDFからプリントしとけばいいか)みたいな軽い気持ちで手元のプリンターで適当に出した紙の束とは意味合いが全く異なるのです。
姿形が出力結果っぽいからと言って、何でも出力見本扱いしてはいけません。

再度、お礼を申し上げます。
入稿の際、出力見本を添付してくださる皆様。いつもありがとうございます。

え?
紙で校正してない?
PDFで校了して、校了後にプリントしてる?
紙には目を通さずに添付してるだけ?

…そんな皆様がお使いのプリンターの、PDF再現精度が高いことを祈っています。
まあ、そういう運用がきっとゴロゴロしてるよねっていう、そういうお話でした。

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