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離島への旅 7日目 島のあれこれ

今日は朝から曇って風も強く、海で泳ぐには寒そうな予感があった。
そこで、ウミウシ探しは諦めて、阿嘉島に渡る船の時間を調べ、阿嘉島のレンタルショップに電話をしてバイクを借りた。

阿嘉島は、座間味村に属する島の一つだ。
座間味の港からもよく見える。
船で10分もあれば着くらしく、渡し賃は片道300円、座間味村営バスと同じ料金だ。

阿嘉島は、下の地図のように慶留間島、外地島と橋で繋がっている。
ここをバイクで走ったら気持ちいいだろう。

チケットを買って、ワクワクしながら船着場で待っていたのだが、時間を過ぎても船が来ない。
おかしい。
海が荒れてるわけでもないのに、こんなに遅れる理由がない。
嫌な予感がして、港の出口の方を見ると阿嘉島に向けて今まさに出ていく船があるではないか!
私が、乗り場を間違えていたのであった。

次の船は2時間後だ。
阿嘉島での滞在時間が短くなる。
これではたぶん、島を回りきれない。
自分が悪いので、誰にも八つ当たりできない。

諦めてしょんぼり宿に帰ると、捨てる神あれは拾う神あり。
ドアを開けたタイミングで、スマホの通知音が鳴った。
前日の夜、「私の耳に配慮しながらゆっくりマンツーマンで潜らせてくれるショップがある」と聞き、メールを送ってあったのだが、その返信が届いたのである。

こちらの事情は伝えてある。
リバースブロックが起きて、潜るのを止められたが、いつものことなので気にしてないこと。
別に風邪をひいているわけでもなく、元々耳管が狭く耳抜きがヘタなため痛めやすいこと。
愛媛からウミウシを探しに来たので、ぜひ、案内をお願いしたいこと、など。

返信には、
「夕方待ち合わせて、明日のダイビングの申込書を書いてください」
と書いてあった。
やったあ!

夕方まで暇なので、島の中をあちこち散歩する。

工事の看板。

こういう工事は、専門の業者さんの指導の下、島の人がバイトで作業することが多いのだそうだ。

座間味は観光の島なので、長期休み以外は来る人も少なく、民宿もダイビングショップも収入が減るため、副業でバイトをする人が多いらしい。
インストラクターのお兄さんたちも、ゴールデンウイーク明けから、島の海底ケーブルの敷設工事を請け負うのだと言っていた。
なるほどここでは、役場勤務や学校の先生以外では副業が当たり前なのだろう。
島暮らしは、いろんなスキルが求められるのだろうな。

アダンの実。

完熟している。

ナニモノカが食べた後がある。
ということは、食べても死なないということだ。
これは食べてみるしかない。
手でむしると、簡単にワンブロック取れる。
ひとくち齧ってみた。

見た目「柿」、食感「柿」、味「柿を30倍薄めたくらいの微妙な甘さ」、総合評価「よほどお腹が空いていたら、食べるかもしれない」。
つまり、おいしくはない。

長年、パイナップルみたいだな、食べてみたいな、と思っていた夢が叶った。

そんなこんなしているうちに、夕方。
ショップのお兄さんとの打ち合わせタイムだ。
ダイビング申込書に記入していると、お兄さんの顔色が変わった。

細かくて見づらいと思うが、10番目に「処方薬を服用していますか?」という項目がある。
ここに、正直に「はい」と書いたら、それが引っかかってしまった。

私は喘息持ちで、もう20年以上薬を使っていて、正常な状態をコントロールできているのだが、それでも「服薬している限り、それを処方している医師の診断書の提出が必須」なのだそうだ。
今さらかかりつけ医の診断書なんて入手できない。

他のショップでは指摘されたことがなかったので、「なんとかなりませんか」とちょっと粘ってみたのだが、ダメだった。
私くらいの年齢のダイバーが事故を起こすことが年々増えているのだそうだ。

お兄さん曰く、バブルのころに映画「彼女が水着に着替えたら」を見てダイビングを始めた人たちが、会社を引退する歳になり、高齢ダイバーになって海に戻ってくる事例が増えている。
そういう方々は、むかしの「イケてた自分」の感覚で海に入るのだが、体内ではもろもろの不具合が進行しており、潜った時にヤバいことが起きる。(一番多いのは心臓)
なので治療中の病気がある人は、医師の診断書提出を義務づけているのだそうだ。

「何かあっては、お互いに楽しいはずのダイビングが、悲しい思い出になっちゃいますからねえ」
としみじみ言うお兄さん、よほど怖い事故を経験されたのだろう。
そこまで言われては、諦めざるを得ない。

代わりに、島の中でシュノーケルでウミウシを探すポイント、時間、探し方など、詳しくレクチャーしてもらった。
明日は座間味最終日。
探すぞー!

**連続投稿812日目**

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