見出し画像

窓際のミノムシ、かく語りき

外で仕事をするときは、必ず、窓際の席を取る。
外が見えた方が気持ちがいいし、気分転換にもなる。

家でも、仕事に飽きたらベランダの多肉植物を眺めたり、裏の川に飛来する白い鳥を見たり、ぼーっと空を見たりするのに、窓際が都合がいい。
だからずっと窓際に机を置いていたのだが、そのせいでめちゃくちゃ寒いことに気づいた。

試しに温度計を置いてみたところ、私の机の下は、リビングのテーブルの下より2℃も寒い。
10月下旬、まだ暦の上では秋なのに、私は今、腰から下に毛布をぐるぐる巻きにして、ミノムシのような姿でこれを書いている。
やはり窓に近いところは、それだけ外気の影響を受けやすいのだ。

そうなると悩むのが、次の家での机の配置だ。
外が見たい、でも、寒いのはいや。
どこに置くべきだろうか。

けれど、考えてみると、悩むようなことでもなさそうだ。
だって、結局のところ、パソコンやモニターやプリンターをつなぐのに、コンセントの近いところに、机を置くしかないのだから。
選択の余地など、本来ないのである。

配置を考えるより、着て歩けるダウンのシュラフを探す方がよさそうな気がする。
たとえば、これなんて暖かそうだ。
トイレも困らなそうだし。

しかし。
もっと根本的な解決策として、「暖房を使う」という手があるのに、なぜ、私は、そちらを最初に思いつかなかったのだろう。
なぜ、今も寒い寒いと言いながら、頑なに電気ストーブを使わないのだろう。
これはおそらく、「夫の定年退職=収入がなくなった」ということが、じわじわ気持ちに効いているからだろう。
スーパーで値札を見ないで買い物をするプチハイソなこの私が、心のどこかで、暖房費用を節約しなくちゃ、なんてことを考えているのだ。
無意識は、怖い。
普段は「お金なんて、無ければ無いなりに、何とでもなるだろう」と思っているのに、潜在意識は、極貧節約モードに変わろうとしている。

いかん、いかん。
実際にお金が無いのと、うちは貧乏だから、と思っているのは、全然別のことだ。
「貧乏?それがどうした、金なんて稼げばいいんだ」と、基本はこのスタンスでいなくては。
心が貧乏になってしまうと、寒さが余計に滲みるし、気持ちも弱る。

少なくとも、電気代を節約しようと、毛布やダウンを巻き付けて、もこもことミノムシのような姿で窓際に座り続けるより、がんがんエアコンをつけて、バンバン仕事する方が、精神衛生上ずっと良いだろう。
気持ちまで無収入になったら、おしまいだ。

窓際のミノムシはそう思う。

**連続投稿631 日目**

この記事が参加している募集

スキしてみて

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。