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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

27.妖狐

Bチームの赤髪の女性は自分の役割を公言した。

 …それをいま言うメリットは?

発言機会が多いチームのパサパサ金髪男が透かさず返す。

 ゲームを終わらせて早く帰りたいからよ。こんな茶番10日間もやってられないわ!

彼女の意見に同意したプレイヤーも少なくない。"上"が主催する研修だから無条件で受け入れるしかないという理由で参加している者が多いのだから当然である。

 とか言ってあなたがFOXだったりして?

 それもいいわね。Sが私をデリートしてくれればゲームは終わるから。

 いまあなたは自分がSって言ったじゃない。矛盾しているわよ。

 もしもの話よ。私は間違いなくSだわ。

 いや、Sは僕だよ。

 …あ、あんた!

 おいロンドォ。仲間割れかぁい?

 僕は事実を言ったまでさ。同じチームであっても嘘は見逃せないな。

 ロンド、この競技の本質は騙し合いよ。正直者はすぐに追放されてしまうわ。

 そうかな?彼女は早く帰りたくて自分をSだと公言したと言った。でも考えてみてほしい。もしソナタが国王になった場合、彼女をデリートするかな?

 うーん…しないわね。

 理由は?

 確証がないからね。

 じゃあ君は国王になりたいかい?

 う〜ん。私は遠慮しておくわ。いま王様になるメリットもないしね。

 私は王様になって誰かをデリートしてみたい!

ソナタと同チームの中学生は無邪気に自分の気持ちを表現した。実りある議論ができず、何も決まらないまま時間だけが過ぎ、最初の投票を迎えた。責任者は姿を現さず壁際に立っている黒服の1人が壇上に立ちその場を仕切り始めた。

 初日の議論お疲れ様でした。それではいまから1分以内にデスクの上のタブレットで投票を行なってください。

タブレットには一番上に一つ自分の顔写真、その下に3×3で他プレイヤーの顔写真が表示された。ロンドは試しに自分の顔写真をタップすると、顔写真の下に"この方に投票してよろしいですか?"という確認ボタンが出てきた。その横には"前の画面に戻る"と書かれた一回り小さいボタンがある。周りを伺うとその表情からすでに投票を終えていそうな者、まだ迷っていそうな者がいた。

 残り10秒です。投票される方はお急ぎください。…では、そこまで。それでは続けて国王とSは同じくタブレットでアクションを選択してください。国王に選ばれた方本人にはすでにタブレットから通知がされています。同じく1分間です。

首から下はパーテーションによりお互いの動きは見えないようになっている。またそれぞれはかなり離れているのでマイク付きのヘッドフォンで会話をするシステムだ。

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