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新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件

28.思議

 それでは結果発表です。ここではデリートの結果のみが公表されます。今回デリートされたのは…

 ま、そうなるよねぇ…。

初日はDチームの1人である中学生の女性が追放されるという結果となった。彼女はSではなかったらしく、競技は続行されるようだ。他に追放されたものはいなかった。

 それでは本日の競技は終了となります。本競技は他者との一切の接触が禁止となるため、明日から係員がみなさんのお部屋へお迎えに行きます。またこのあと係員が1人ずつみなさんを部屋までお連れしますので声がかかるまでその場でお待ちください。また、食事はお部屋までお持ちいたします。

ロンドは1人で自身の部屋にいた。まもなく夕食が運ばれてくる時間だ。出入り口には内側から鍵が掛けられており室外に出れないようになっている。これは監禁ではないか?と呟いたところで誰も助けにくることはない。勝敗にこだわらず1日でも早く競技を終わらせて帰りたいというチームメイトの希望は最もである。勝利のメリットも敗北のデメリットもない。正確には"分からない"のだ。分からないからこそ、敗北に全力を注ぐことができないのは事実であり、事務局は受講者がこの曖昧な状況でどんな行動を取るかを実験するため、あえて多くを語らないのではないかとも考えられる。分からない場合はどちらに転んでも臨機応変に対応できそうな道を選ぶしかないので、とりあえず勝利を目指すのがいまのロンドの意向であり、彼は"王様ゲーム"の勝ち方について考察を始めていた。

事実だけをまとめると、今日追放されたのはDチームメンバーである中学生の女性。Aチームの巨漢が王子であるため、彼女の役割は王子ではない。彼女以外に追放された者がいないということはFOXでもないということだ。さらに、1人だけが追放されたという事実から、王様かSのどちらか一方だけがデリートを選択したということが分かる。ここから考察に入るが、Sが巨漢をデリートの対象に選択し、結果として騎士Aであった中学生が追放された可能性があるだろう。理由は、まず王様の目線であれば、自身と巨漢の役割以外が全く分からない状態で無作為にデリートを選択するのはリスクが高い。SとFOX以外を選べばマイナスポイントを付与されるからだ。次にSの目線であれば、FOXをデリートの対象には選びたくはないが、王様のようにチェックの能力はなく、5回しかないチャンスの1回を捨てることになるナッシングを選択しないはずだ。自分なら騎士Aを追放するため王子である巨漢をデリートの対象にする。言い換えれば、今回王様に選出されたものはデリートではなく、チェックかナッシングを選択したかも知れないということだ。この場合、特にナッシングを選択する理由が見当たらないため、王様はチェックを選択したと考えられる。

こうしてロンドは"Sが巨漢をデリートの対象に選択し、結果として騎士Aであった中学生が追放された"という仮説に辿り着いた。あくまでも可能性の一つに過ぎないが、ソナタや旧友もきっと同じ思考ではないか…いやこのレベルの結論はプレイヤーの誰もが容易に行き着くだろうとロンドは考えていた。

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