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梅田スカイビル

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

JR大阪駅から歩いて5分ぐらいのところにある梅田スカイビルに時々出かける。私の目的はこのビルの中にある映画館で映画を観るためだ。

ここへ来るたびに思う。圧倒的に外国人が多い。来場者の9割以上は外国人ではないだろうか。インバウンドが解禁になってから、その数が驚異的に増えているように見える。

外国人が多い理由は、英国紙THE TIMESで「世界の建築TOP 20」に選ばれたり、海外のガイドブックで「大阪で訪れるべき1番のスポット」として紹介されているからだそうだ。

それゆえ、屋上の空中庭園への通路には行列が絶えない。私も5年前に海外での評価を知ったので空中庭園へ行ってみた。確かに、建物の構造は1993年に建てられたと思えないほど現在でも斬新的、独創的で、庭園から見る関西一円の展望も素晴らしかった。

北海道のニセコは、海外のスキーヤーに人気で、現在ではもうすっかり海外富裕層のための高級スキーリゾートになっているらしい。地価は高騰し、海外資本によって占領された現代の植民地のようだ。

実は私も50年前にニセコへ行ったことがある。最終リフトを降りて、さらに30分ほどスキーを担いで登ると、ニセコアンヌプリの山頂に到達し、360度のパノラマから滑り降りることが出来た。

確かにパウダースノーの雪質は素晴らしいし、海の見える景観も素晴らしい。だが、一緒に行ったスキーの上手な友達がカナディアンロッキーやヨーロッパアルプスのスキー場に一度は行ってみたいと言っていたから、ニセコは世界レベルではないと思っていた。

悲しいことに日本人は、日本の価値をグローバルな視点で適正に評価できないのではないか。梅田スカイビルは英国人によって評価され、ニセコの素晴らしさはオーストラリア人によって発見され、世界に発信されたそうだ。

何故だろう? 欧米人は大航海時代から世界中に進出し、価値あるものを探し出してビジネスにするという逞しい遺伝子が備わっているからなのか。日本人は鎖国の文化を引きづって閉鎖的、内向的になってしまっているのでグローバルな価値観が乏しいのか。

人や物、金、情報がグローバルにすばやく移動する時代に、日本という土俵だけで考えていては的確な判断が出来ない。グローバルな視点に立つことができなければ、世界から取り残されてしまう。いや、世界から浸食されて、日本人は貧しくなっていくのではないか。

先日の台湾の地震の報道を見て私は驚いた。崩れた建物の解体着手など素早い。避難所のレベルも高い。間仕切りがあり、ベッドがある。豊富な食糧も準備されている様子だ。

外国の事例と比べてみると、日本の災害対応はずいぶん遅れているのではないか、という疑問を初めて感じた。国内のことだけを見ていると気づきにくい。日本の私有財産権が強いのか、DX化の遅れなのか、タンスの中身が多いのか、素人の私にはその原因は分からない。

日本で暮らしているのだから、日本人が現状に満足していればそれで良い。行ったこともない外国と比べて落ち込む必要はない、と思う人もいるかもしれない。

だけどやっぱり、私自身は日本のテレビを見るのを少なくして、たまにはNHK衛星放送のワールドニュースを見て海外の視線にも触れてみようと思った。
<了>


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