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日本酒を広めるにはライフスタイルでのVMD提案と勝手に思ってる

元祖セルフ日本酒飲み放題を経営していたやまちゃんのアカウントでのツイートで日本酒ユーザーの裾野を広げるという議題があがった。

しばしばツイッターの日本酒好きが話題にあげているが、やまちゃんが拡散とリプライを希望したことで、リプライ以外にも色々な意見が散見された。

このことに関して僕は常々主張しているのだが、日本酒売場のVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)を見直して、まずディスプレイに拘る、その上でライフスタイルでの訴求を高めるべきだと思っている。

VMDって何ぞやというと、衣料品店の店頭を思い浮かべていただければわかると思う。

※店頭でブランドの世界観とトーナルコーディネート、導線と店奥へのボリュームゾーンを展開する

雑に言うとスーパーで言えば冬の鍋コーナーみたいな。普通は野菜は野菜、調味料は調味料に展開するのだが、冬ということで、野菜と鍋の素が一緒に置いてあるコーナー(ディスプレイ)を設置するなどして売場を視覚的に訴えていくといった具合だ。

ところで、これは日本酒に限らず多くの小売りに言えることなのだが、シンプルな需要においては今やオンラインで買う時代になっている。

リアル店に行く手間はないし、在庫もリアル店より潤沢、値段も安いことが多い。その分、オンラインで買う人は元々需要がある人が多い。

そこで需要を新たに生み出すにはどうするかだが、当たり前だが日本酒が魅力的であるということを伝えていかなければならない。

日本酒はオジサン臭いイメージがあるから・・・居酒屋で美味しくない日本酒を飲ませるから・・・度数が高いから・・・

そんなイメージについては地方も大手も含めて蔵元さんは100も承知なことだと思う。それに今は低アルコールの日本酒やスパークリング日本酒、ワイングラスで飲んで美味しい日本酒・・・など魅力的なお酒が盛りだくさんだ。

また、ありがたいことに今やコンビニでも僕の好きな酔鯨や南部美人が買える時代である。スーパー、コンビニの商品力が弱いわけでもないと思う。もし商品力がないお店があったならそれは日本酒が「稼げない」と判断しているからだと思う。

※黒かどやさんだから辛口なツイートだ

ともあれ、そういった美味しいお酒(僕にとってまずいお酒って滅多にないけど)を我々が草の根活動で広げるのはとても大切なことだと思うが、ある程度限界があると思う。

だって興味ないことはそんな真面目に聞かないでしょ。せいぜい飲みの場でちょいと進められて飲むくらい。

僕が日本酒を好きな理由って、食事や行事(花見など)・・・端的に言って日本の文化に合うことなのだが、原点はやっぱり親が飲んでいたからだ。

食卓に自然に日本酒があったのである。家内も僕が日本酒を飲むから、鹿児島生まれだが日本酒の方を好むようになった。冷え性だからということもあるようだが。(日本酒は温まるが、焼酎は飲むとどうやら冷えるらしい。)

それでご家庭で日本酒を飲むならどこで買うというとスーパー、コンビニだと思う。都内に限ってそこらじゅうに酒屋もあるから買いやすいけど、全国的に言えば、御飯の買い出しついでにスーパーで買うことになるんじゃなかろうか。

今の日本酒の売場ってどうだろう。

パックや一升瓶が棚にひたすら陳列されている。

※こんなイメージありません?

質実剛健で僕はワクワクするし好きだけど、知らない人からしたら、「あ、このコーナーは日本酒ねー。」で素通りじゃなかろうか。

例えば、自炊しない人がスパイスコーナーに入り込んで見ますか?という話だ。

最近は、コンビニや冷凍食品、インスタント食品をかけ合わせたりアレンジすることでより美味しくするレシピがバズったりしている。そのレシピをコンビニでもPOPで貼って訴求した売場をみたことはないだろうか?

例えばどん兵衛のアレンジでラーメン二郎に近い味が出来る「どん二郎」。もやし、チャーシュー、味玉、牛脂、ニンニクとどん兵衛で出来るのだが、このどん二郎の売り場を作ることで、普段ならカップラーメンだけ買う人にもやしなどを売ることが出来るわけだ。

※こういうのもある

裾野を広げるということは興味がない人にまず認識してもらうことから始めなければならない。それにはヴィジュアルに訴えかけることが有効だと思う。

ワインなんか、元々日本にない文化を定着させただけあって、かなり努力していると思う。

チーズとワインが一緒に展開されているコーナーってみたことないだろうか?

※スーパーで売上が右肩上がりのヤオコーではワイン売り場にオードブルなどを置いている

これはワインを飲む場面、即ちライフスタイルをイメージしているからこういった売場が出来上がる。

じゃあ日本酒は?せいぜい「地酒コーナー」がある程度じゃないだろうか。強い言い方だけど、興味ない人からは「だから何。」って話だと思う。

勿論、ターゲットはいつも飲んでる地酒を飲みたい人や、お土産を探している人でそれはそれで必要なのだろう。でも裾野を広げるという意味では弱い。

先の例でいうとチーズコーナーにワイングラスで飲んで美味しい日本酒も置いてもいいだろう。

秋田の食材と一緒に秋田の地酒を置くとか、試食と試飲コーナーをペアリングとして展開するとか、何なら純米吟醸酒で造るすき焼きなんて提案もありだ。手毬寿司やリッチな缶詰を一緒に展開してもいいかもしれない。勿論、ただ棚にいれるのではなく。

折角、常温保存でも耐えうる日本酒なのだ、これを活かさない手はないのではなかろうか。

また、バレンタインや恵方巻、ハロウィン、ワインで言えばボジョレーみたいにイベントに乗っかるのもいい。

色々と小ばかにされているが、何だかんだ定着して、体験するきっかけにはなっているだろう。

日本酒も、10/1の日本酒の日をもっとスーパー・コンビニでアピールしてほしい。

※日本酒ゴーアラウンドのイベントは大盛況だから見込みはあると思うのだが…

また、新酒やひやおろしといった季節のお酒もあるのだから、単独でまとめた売場で訴求するだけでなく、魅せるディスプレイやイベント、色々やりようはあると思う。

具体的には、お節に合わせて、お屠蘇の素と日本酒を展開するとかチョコレートに合う日本酒、カボチャ料理にあう日本酒、秋の味覚とひやおろし、熱燗と鍋いくらでもあると思う。

もちろんPOPも日本酒と合わせて美味しい料理や缶詰置いてる売場を記載しておくなど工夫はできるだろう。それこそ、ワインなんかだと、魚や肉に合うとかいうラベル、POPが結構当たり前にあったりするけど。

日本酒の特定名称が分かりづらいって言うだけなら誰だってできる。分かりづらいならどう訴求するかを考えるべきだ。POP作りなどは大変かと思うけど、通年商品なら一回作ればある程度置いておける。

そういった意味ではブラインドテイスティングをして感覚的な感想を選ぶだけで好みのお酒をAIが提案するYUMMY SAKEはかなり良いサービスだと思う。

こんなイベントをスーパー、百貨店で展開したら面白い。

そもそも僕のお酒売場の見識が低く、色々やった結果今の売場構成がベストってなっているのかもしれない。

しかし、少なくとも僕がお酒を飲みだして17年、さらに自炊して10年でそんな日本酒売り場を見たことはないので、試してほしいなと切に願うのだ。

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